変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜

赤井水

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共和国編〜好きに生きる為に〜

118話

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 トヤとスクテロで暇つぶしをしながらふと先程の生徒達の目を思い出していた。

 女2人の目は恐怖と好奇心の目だったが、男2人は何か薄暗い感情と羨望の目だった。

 30分程すると視線を感じたので後ろを見やると4人とも起きていた。

 そちら側に移動して最初の生徒の言葉は

「てめぇいきなり何しやがる!」

 だった。えぇ……教えを受ける前段階すら出来てないのか。

 女2人ドン引きしてるよ? そもそも話し方が格上のランクの冒険者への話し方ではないな。

「その前に「うるせぇ早く威力の高い魔法を教えろよ依頼者だぞこっちは!!」
 はぁ……その力で何をする気だ?

 いやいいや。どうせ何処ぞでのカモられた奴らへの仕返しか?
 まぁ復讐でもありそうだな」

 ほらね? 2人目も俺の話を遮って来たよ。
 少し魔圧と殺気を偲ばせて声を掛けているが『復讐』や『仕返し』に反応したし。

「うん、お前ら男2人は不適格として判断した。
 魔法を教えるとお前らはどうせ最初はその復讐に力を注ぐだろうがその内
 お前らをカモにした連中と同じ事をするだろうな」

「あぁ? 強さが何だよ。それが無いから習おうとしたんだろうがぁ」

 怒鳴り散らしたので男2人を『サイコキネシス』で吹き飛ばしたのを『身体強化』をかけて追い掛け
 マジックボックスから短剣を2本取り出し2人の首筋に当てた。

「冒険者は実力主義だ。力やランクが正義だ。
 しかし力やランクには責任が伴うんだよ。

 俺がお前らに力を与えてもし犯罪をしたなら俺の評価が落ちるんだよ。
 だからふるいにかけてるのがわかんねぇか?」

 本気の殺気を当てると訓練場の壁が軋みだした。

「お前ら如きが冒険者を語ってんじゃねぇよ。
 本当に上のランクにはお前らが目の前に立って0.1秒掛からずに殺せる連中が数百人は居るんだよ。

 そして、下のランクから地道に活動してAランクになった人達だって居るんだよ」

 俺は魔の森で只管、魔物を狩り続けて帝国の北の辺境の地で
 Aランクになった人々を思い出す。

 あの人達は常日頃殺し合いをしているが、それでもそのピリつきを
 絶対に市民には悟らせない出来た人達だった。

「そんなに強くなりたいなら魔の森じゃ無くても良いから毎日魔物と戦え。
 死線をお前ら如きのレベルなら200位重ねれば一端の冒険者になれるだろう。

 あのゴミみたいな行動してる連中でも毎日ダンジョンに潜って活動してるからこそ
 それなりの強さを持ってるんだよ。お前らには教える資格は無い失せろ」

 小便撒き散らしながら男2人は逃げて行った。
 ため息を着きながら振り返るとスクテロとトヤを含め女2人も失禁していた。

「あ、ごめんなさい。今生活魔法使います」

 めちゃくちゃ謝りながら全員に『クリーン』をかけまくった。
 床は土魔法で上の土と地中の土を入れ替えた。

「あ、あの……ケビン様は「あ、ケビンで良いよ?」じゃあケビン君は死線を結構超えて来てるのですか?」

 女の片方が質問してきた。

「んー……俺は……仲の良かった子が目の前で死んだ時がショック過ぎてね?
 それ以来、絶対に周りに知り合いが居る時は死なせ無い様に死に物狂いで魔物倒してるよ」

 ん? よく見たらギルマスはちゃっかり結界張ってトアとミアを護ってるな。

「ギルマスー! 男2人資格無しで脱落で。
精神的に終わってる奴に魔法は教えられないです!」

 軽く引きつった表情でギルマスは了承してくれた。

「あーそれで君達2人には最初に言っておくよ。
 さっきの話だけど、力には責任が伴う。
 その力を教えた側にもだ。
 つまり魔法でもし君達が悪さをした場合……
 俺が地の果てまで追い掛けてこの世から塵も残さず消すから」

 そう笑顔で伝えると何故かトヤとスクテロまで首を縦にブンブン振っていた。

「 あっ!これからやるのはトヤとスクテロも基本中の基本だからお前らも参加しろ」

 2人が列に並んだ所で俺は体の周りの魔力に光属性を加えて軽く発光させながら
 体の周りの魔力をグルグル回し始める。

 「今は分かりやすく見えるようにしてるけど、魔力も気も体の中で血の様に循環させて操作する事によって
 身体能力をあげる事が出来る。これが俗に言う『身体強化』だね。

 そしてこの循環の操作が一流か二流かで体感的には
 多分2倍位変わる位基本だからこれは毎日する様に

 後衛に居る魔法使いだから動けないとかは無いから。
 寧ろ気や魔力を扱える奴らは全員動けなきゃ話にならない。

 獣型の多い魔物の中でズドンと立ち止まって戦闘するなんて愚の骨頂だからね」

 こうして4人には魔力循環による身体強化の練習に入る。
 俺はそれを感知を使い、只管眺めていた。

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