変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜

赤井水

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共和国編〜好きに生きる為に〜

127話

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~暁の蛇アジト~

 暁の蛇のアジトでは今、外の酔っ払い同士の喧嘩の声が聞こえる程静まり返っていた。

 嫌がらせを命じた連中の1人が隻腕の状態になり一緒に行った連中の生首をお土産に持ち泣き叫びながら帰ってきたと思うと

「ボボホボ、ボス! 抜けさせてください。
腕がなくなっちまったら生きていけねーよ」

 コイツはそういうが……明らかに顔面蒼白で怯えていた。

「やめてーならやめろよ? その前に報告だけはちゃんとしろ」

 報告を聞いて初期メンバーの幹部達は頭を抱えた。

「なんだって!? アホかお前ら! アイツらを非難する事も出来ねぇじゃねぇかよ!」

 まさか、あのクソガキ共に甘々だった保護者的な男が抜剣して敵対行為をしただけで
 相手を殺し、1人だけは戦闘能力と戦意を奪い伝言役にするとは思わなかった。

「もう1人の長髪の奴も強かったのか?」

 そういうと、首を横に振り

「すみません。見えませんでした。でも……仲間が死んだ位で動揺するとは甘いと言われました」

「ばっ!バカヤロウ! 相手は後暗いことも経験してきた連中だったっていうことじゃねぇか!」

 そんな時だった。
 何と窓の本の少し開いた隙間から矢が飛んできたのだ。

 全員が窓から離れ、追撃が無いかを確認すると
 ふと矢をみると、手紙がついていた。

 俺はそれを剥がし読むとプルプルと怒りで

「ガァァァァ!! くそっ!舐めやがって!
ざけんな! 俺はこの州都市で1番高ランクの冒険者だぞ!」

 手紙にはこう書いてあった。

『薄汚い懲りないアホ共へ
 久しぶりだねぇ。トヤ達がこの都市に来た時に絡まれて以来だな。

 あんまり猿山の大将で居るといつの間にか後ろに狼が居たなんて後悔するぞ?
 法律がなけりゃ、お前らのアジトごと灰燼に帰しても良かったんだ。

 無法地帯で出会って敵対行動をするなら遠慮はしないぞ?

 警告1つ目だ。俺の気はそこまで長くない。
 2つ目をとったら消すと思え。ケビン』

 他の幹部達は顔面蒼白になっていた。
 多分、こちらが法律を逆手に取って転がしてたと思ってたら
 逆に法律があるから死んでなかったという事実を受け入れることが出来ないのだろう。

「マスター大変です!」

 そこに部下の1人が慌てて入ってきた。

「あ゛ぁ? 何だ騒がしいぞ!?」

 汗だくになりながら入ってきた部下を叱責する。

「す、すみません。でもそれ所じゃなくて……
 孤児や浮浪人達が暁の蛇の勧誘を断り始めたのといつも暴力でまとめてた連中が全員捕まってます!!」

 部屋の中に居た幹部は全員もうお腹いっぱいだと軽く酸欠になりつつも報告を聞いていた。

 そんな時だった。

『えー……住民の皆様! 私達は近々、青の鱗というクランを立ち上げたいと思っておりまーす!

 最近の冒険者は治安維持所か、治安悪化の道に行かせていたと思いますので私達青の鱗が立ち上がり! 治安悪化の原因を取り除こうと思います!!』

『うぉぉぉ!!頑張ってぇ!』『頼むぞぉぉ』『応援してるぅぅ』『トアちゃんミアちゃん結婚してくれぇぇホゲラッ!』

 魔法で音を街中に拡散しているが明らかに暁の蛇への宣戦布告にクランマスターの額に青筋が入り遂にブチ切れた。

「グヘッ、グヒヒヒ。舐めやがって……良いだろう。受けて立とうじゃねぇかよ!
 おいっ! スラムの裏の人間も使うぞ! 声掛けてけ! 
 それとあの女2人は絶対に攫え。変態豚貴族に売り渡してやるぞ!」

「「「「おう!!」」」」

 そんな様子を天井裏から聞かれていたとは露知らず。

 暁の蛇は各々がアジトから出て行くのであった。

(……ここまであの方の計画通りに行くとは、仕掛け人としては笑えてきますね? )

 そんなことを思っていたタビはブルりと肩を震わせる。
 タビは声を録音と再生する事が出来る魔道具を止めるのであった。




 次の日、全員がアジトに入り作戦を練ろうと朝早くから招集をかけて
 会議室に幹部とスラムのマフィアの連中でいっぱいになった。

「さて、今回の敵は珍しい青髪のトアとトヤ。そのパーティメンバーのスクテロとミア。
 トアとミアは変態豚貴族に売るから手を出すなよ?

 アイツらの拠点は元成金趣味の教会跡地で孤児院を経営してるらしい」

 スラムのマフィアの1人が手をあげた。

「その孤児院を襲う時に子供は売っても良いのか?
 お前らの報復で余りこちらに旨みがないのだ。収入として扱いたい」

 暁の蛇のクランマスターは少し考えた後、どうでも良いと切り捨てた。

「あぁ、良いぜ。しかもあそこは今何か無料で飯を配ってるから集りがかなり集まってる。
 そいつらも売れば良いさ」

 全員がニヤニヤと笑い出す。
 誰も失敗した事など頭に無かった。

 既に何人攫って売れば幾らになるだろうかと勘定を始める者や、豚貴族に売り払う前に味見してやろうと企むアホまで出ていた。


 その様子をすぐ近くで呆れながら見てる2人の悪魔の様な奴らが居るとも知らずに……

(完全に俺とタビの事が頭からすっぽ抜けた様だな……
 ここまでアホだとは思いもしなかったが
 遠慮する必要が無くなったと思えば楽かもな?)

 こうして作戦会議と名ばかりの話し合いが終わり準備に入ろうと全員で気合いを入れる暁の蛇とマフィア達だった。
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