変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜

赤井水

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共和国編〜好きに生きる為に〜

149話

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 朝ご飯が終わると執務室にナギに来てもらった。

「さて、お前が違法依頼を受けた依頼主とそれにお前がもらう予定だった報酬は?」

 沈んた表情のナギはポツリと呟く。

「石毒化症って知ってる?」

 俺は聞いたことあるな? と思い頷き昔読んだ本から知識を呼び起こす。

「一応は知ってるぞ? 確か蛇系魔物や蛇に関連する人型魔物の毒やその攻撃方法で受けた病気だろ? もしくは状態異常の名称だよな?
 バジリスクだったりメデューサが一般的だな?
 それの解毒薬か? 何の魔物に食らった?」

 更に落ち込んだナギはボソリと一言。

「私よ……」

「は?」

「だから私が力を扱いきれなくて暴発して妹を害したの!!」

 涙を流しながらそう言うナギに俺は一言。

「ん? なら解毒薬用意は無理じゃねぇか?」

 その一言に固まったナギは俺の顔を見る。

「え……どうして?」

「だって龍の毒だぞ? 薬師や錬金術師に毒龍やドラゴンの素材を確保することなんて出来ないだろ?
 だって依頼の報酬に莫大な世界のどこに居るかもわからん素材をどうやって確保するんだ?

 俺が龍を討伐したって話が出た時にここ数百年記録がないんだぞ?」

 これはギルドで確かめたので竜と呼ばれたりするドラゴンはそこそこ討伐記録は残っていたけど龍は居なかった。

 まぁ、俺が持ってる龍の素材もアバターなんだけどな。
 どこまでこの世界で生きている龍と同じかわからんから世の中に出せないんだよ。

「そっか……私。騙されたんだ。あのクソ錬金術ギルドのグランドマスターに」

 はい、犯人判明しました! 錬金術ギルドでした!
 そういや左右に別れた奴も錬金術ギルドのギルドマスターだったな? ゴミしか居ねぇのか?

「うーん。どうすっかなぁ。いや……でも出来るし。解毒薬は流石に無理か?
 細胞自体が石になってるなら復元は無理か?」

 色々想定して仮説を立てていると何か驚いてるナギがいた。

「ん? どうした?」

「いや? 何か治るみたいなことを言ってるから」

「はて? 誰も薬は作れないと言ったけど治せないとはいってないぞ?」

 恐る恐るという感じでナギが俺に言葉を紡ぐ。

「な、治るの?」

「治るけど症状次第で治療方法が変わるだけだ」

 俺ははっきりと宣言する。

「ほんと?」

「ほんとだからその妹さんを連れてくる方法を考えろ。
 今回の件で俺は今動けないからな。あ!そういや『ゲート』使えるか?」

「うん……できる。ありがと」


 涙を流しながらそう言うナギだが。

「まだ治ってないから泣くな。ほら魔法を使ってみろ」

「うん……ぐずっ。『ゲート』」

「ほいっ!『掌握』」

「ほぇ? ちょっと!! 魔法を乗っ取らないでよ!!」

 そんな俺達のやり取りが聞こえたのか? ゲートの先で反応があった。

「お姉ちゃん?」

「メル!待ってて、今行くから」

 そう言ってナギはゲートの先に消えていくのであった。




 ゲートを繋いで5分。ドッタンバッタンと音が聞こえるが見に行こうと思わない。
 女性の部屋に入ったら非難されるなんてこと普通に有り得るからだ。

 優雅にコーヒーを飲んでいるとナギが1人の少女を連れて戻ってきた。

 俺は顔を顰める、顔や見えている箇所の手のの色がおかしかったからだ。

「君がナギの妹のメルだね? 俺はケビン。
君のお姉さんにいの「ちょっと!!お願いだから!」ムゴムゴ!! プハッ! 冗談だよ
 治療するから少し見させてもらうよ?」

 メルをソファーに座らせて包んでいた毛布を取ると……

「やはりか……参ったなぁ。治せるけど大規模になりそうだ」

 それは石になっているのが皮膚では無く、血管なのだ。

 つまり中からじわりじわりと石化してる。

「お、お願いケビン! 妹を治して」

 そう言って頭を下げるナギだけれども……

「そう言う意味で言ったんじゃ無いから気にすんな。
 『おーい、誰か手伝って助けてぇ』」

 俺はいきなり空中を見てそんな気の抜けた声をあげる。

『『『『ほーい!!』』』』

 執務室の中に大量の気配がいきなり現れて部屋中光の球だらけになりメルもナギもポカーンとする。

 そして俺も……軽く顔が引きつった。

 呼び出した以上こんなに要らんとは言えないと思った時に更に強大な気配が出てくる。

『僕も来た!』

「お前は要らん!需要過多だ!」

『えぇ~なんでぇ~』

 いきなり来た人型の精霊に驚く2人は放置して俺は目の前に来た奴に即答した。

『創造神様とエスト様にあの龍が迷惑かけたからお詫びに手伝いに行けって言われたのにぃ~』

「なんか……ラル緩くなったか? まぁいいや。
 なら精霊達の総司令官的なものになって尚且つ補助してやってくれ」

 俺は数年ぶりに見た元ラルクこと光の大精霊のラルにそう告げて準備を始めた。
 そして迷惑な龍神のことを周りに伝えない為に龍と言ったからには結構な頻度で見られてると感じた。

『僕の扱いが雑だよぉ~』

 その会話にポカーンとしてるメルとナギだった。

「ふぅ。準備完了! それで何か問題はあるかい?」

『うーん。問題は無いけれど血を全部入れ替えるんだよね? もしかしたら進化? 存在昇華しちゃうかも?』

「ん? なんて?」

 恐ろしい、思い出したくもない事象の名称が聞こえやがった。
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