変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜

赤井水

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最終章:知識の街

253話

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 ケビンは弱肉強食の辺境伯の寄子の男爵家や子爵家領地を見て呆れていた。
 今は男爵家の2つの領地の領主をぶっ飛ばして救いようが無かったのでしてきた所だった。

「セラ真っ当な貴族子女として生まれたお前はどう見る?」

 本当ならセラには見せられないような光景が目の前で行われているのだけれど

「脳筋、クズ。変態の集まり?
 それとケビン兄も一応貴族の子供だよ?」

 そんな妹からのジト目はここでは無視だ。

 そんな会話の最中、街では賑わいでは無く悲鳴がそこかしらの所で起きていて
 原因は冒険者が住民を襲っているのだ。

 それを悔しそうに見つめる男達や青年が羨望の眼差しや歯ぎしりが鳴りそうな位の顔をしている者も居た。

 そして今、目の前で家の扉が破壊され上半身の服が破れた10歳前後の少女を見て舌なめずりしてるアホがいる。

 俺は咄嗟に結界を街全体に張り目を瞑り魔力感知を最大限に発揮しそう言う不貞な行為をしてるアホ共を一斉に魔力で魔圧で威嚇した。

 次々と男が倒れ、女達が必死に逃げる。
 少女は既にセラが助けていた。

 魔力感知が最大限になっているので慌てて情事をやめて
 威嚇された方に向かってくる気絶を免れたそこそこの実力者達がこちらに向かってくる。

 1番速く飛んできたのはここの領主である情報によると元Sランク冒険者の子爵家当主だった。

「貴様、急に街全体を威嚇するなど頭がおかしいのか?
 それに私には一切威嚇しないとはマヌケだな?」

 その目には一切の負けるという思いが無いような自信に満ち溢れた目をしていた。
 そんな言葉は一切俺の耳には入ってきてなかった。

「お前、それ程の実力があるなら森にでも入って魔物倒してこいよ?
 なんだこの街の有様は? いくら国王から数年の税が免除されてるとは言えここまで崩壊してたら税金なんて払えんだろうが?」

 俺は素直に思ったことを伝えてみた。
 このような世紀末な状況になって、街は暗く絶望して農作業や商業も全く動いていない。

 それにあくせく働いているのは低ランク冒険者だけ、森の表層ですら死にかねないレベルの奴らしか外に出てないのだ。

「はっ! そんな物私にかかれば踏み倒せば良いではないか!
 何の為のSランク冒険者だと思ってるのか!? 国の最重要戦力だぞ!?」

 俺は素直にため息が漏れ出た。アホすぎる……

 神に宣誓する貴族の誓いは破れば与えた物を剥奪は出来ずとも弱体化は出来るのにな。

 俺は無言で魔力大鎌を出す。
 その武器を見た瞬間に相手は少し眉を顰めた。

「なんだその武器は……呆れた、共和国の英雄の真似か?
 虎の威を借る狐ではないか! はっはっは!
 他の奴らには効いても私には一切効かんぞ?」

 俺は軽く小手調べついでに身体強化で相手に近付き一言も喋らずに大鎌を振るう。
 相手はギョッとしていたが剣を抜き、弾き醜い笑みを浮かべた。

 そんな時、神のイタズラか? という程タイミングよく突風が吹いてセラのローブのフードが外れる。

「あ……」

 子爵家当主はセラを見た瞬間に下卑た笑みを浮かべる。

「ふむ、貴様可愛いではないか。私の物にしてやろう。この男の仲間だな。今晩は可愛がってやろう!」

 ブチッ、俺の脳内でこいつは『確殺』になった。
 それと毎回アホと戦う時に顔を見せるセラよ? わざとじゃないよな?

「おい? 人の妹に何勝手に欲情してんだボケ」

 俺は数段階引き上げた身体強化で奴を斬ろうとする。

「私も本気にならざるおえん位の力はあるようだな!
 精霊憑依『風神』ははは! これで貴様の……ら?」

 精霊の困惑が見て取れる。絶対に敵対しちゃいけない相手を見て逃げたがってるみたいだな?

「おいお前……精霊憑依とか言ってるけどなぁ」

 俺は転移で目の前にショートワープする。
 いきなり現れた俺をみて驚き固まったままの奴の顔面に拳を叩き込んだ。

「お前が使ってるのは妖精でしかも下から数えた方が早い位の奴だわぁぁ!」

「ぶべら!?」

 空中に飛ぶ奴をそのまま俺は真っ二つにしてやった。
 その時に綺麗に妖精も散っていったのでこれで諸悪の根源は居なくなっただろう。

 妖精は相手にイタズラをすることが多い為にキチンと躾をしてからじゃないと逆にこちらが取り込まれてしまう。

 俺には闇精霊という心理バリアがあるが普通の人は徐々に関わるごとにその防御を削り心に侵入してくるのだ。

 こいつも被害者なのかもしれないが全くもって自業自得だ。
 鑑定を使える者に聞けば精霊か妖精かなんてすぐに分かるだろうよ。

 高位や中位の精霊は人型だけれど妖精は全ての階位が人型なのだ。
 妖精は精霊と違い、確かにブースト機能があるがそれは相手が自分を使役出来る所まで引き上げる作用だけだったりする。

 つまりこいつはたまたまSランクになっただけだ。
 本来の能力がAランク上位ならば少しのブーストでSランクまで届いたのも納得できるからな。

 その貴族の左右対称の死体を見て街の人が歓声を上げ冒険者達は慌てて逃げ出した。
 俺は逃げ出した連中の顔を覚えているので後で紙に書いてギルドに提出しておいてやろう。

 こうして俺達の水仙国はいい所という想像やイメージは尽く破壊されるのであった。


 セラに話をかける。

「することは分かってるな?」

「流布?」

 セラが首を傾げて答える。俺は咄嗟にツッコミを入れた。

「違うわっ! 炊き出しだ! やるぞ!」

「う?  おぉ?」

 挙動不審になったセラをみてお前も料理ダメなのかよ……

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