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異世界サラリーマン〜貰ったチートはスーツでした〜
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【異世界サラリーマン~貰ったチートはスーツでした~】
微睡んだ意識が浮かび上がり周りを見渡すとそこは真っ白な奥行きも高さも認識出来ない空間だった。
そこに1人居た男性はこう叫ぶ。
「ビバ異世界へGO!!」
『何を言うとるんじゃ!』
スパーンッ!!
巨大なハリセンで頭を引っぱたかれた。
「ンゴー!!痛っ!何しよるんじゃこの爺!? ん? このパターンで行くとお前が神か?」
キョトンとした老人。
『お主、今話題の厨二病を抜け出せない社会人だのう』
呆れられた。
「まぁ1つだけ聞きたい。俺の死因何ですか?」
ここで1つ気になった事があった。
死因の特定が出来ない事、そして俺のPCの中身の心配だけだった。
『ん?お主の死因かのう……穴じゃな』
「は?穴?」
『くしゃみして操作盤ミスってのお主が歩いておった地面陥没させちった。メンゴ!』
俺は爺のハリセンを奪いフルスイングした。
ん? フルスイング?
「ちっ、避けんじゃねぇよ!」
『お主にはまだ早い。まぁ、厨二病のお主にはもうわかるじゃろ? テンプレじゃテンプレ』
男は先程の騒がしさはどこへやらと
「うん。転移ですか? 転生ですか? あ、ついでにあっちで生き残る"あれ"くれ」
『ある意味どっちもじゃな。ふむ、儂のせいじゃし"あれ"じゃな?』
男はニヤニヤして妄想を膨らませている。
老人は操作盤を操作しキャラクター設定の如く男のホログラムに何かをしている。
「魔法って使えんの?」
『うぬ、魔法追加・危機対処緊急マニュアルを組込み。年齢は15じゃな。ほほいのほい』
男の体が光る。
『うむ、それとあちらに行った際に必要な物は一緒に送るから達者での』
「へ?説明は?お、おい!爺ぃぃぃカムバックゥゥゥ」
男は一筋の光となりて消えていった。
『ハルヒト・サイトウか。最近のチィトは良く分からんが死なんじゃろ。まぁ頑張っ』
爺は座布団を敷きそれを枕にして目の前に水晶、煎餅、お茶を出しダラケ始めるのであった。
◇
再び、意識が浮かび上がる様な感覚を覚え瞼を開けると
目の前には日本では見られない様な1面草原だった。
「ワーオ、ハロー異世界、サヨナラ地球」
俺はタバコを吸おうとポケットに手を入れると不思議な事が起きた。
頭に『タバコ×∞』と浮かび上がるのだ。
まぁ、良いや!と先ずは落ち着く事が先決だと思いタバコに火をつけ時計を見ると14時15分だった。
「人里はどっちやろねー困った」
その呟きに反応するかの様に腕時計からホログラムの板が浮かび上がった。
-------------------------------------------
人器(神器)スーツ※()内は隠蔽中
メッセージを読み込みます。
さっきの神じゃ。
どうせ右も左も分からぬじゃろう?
その右腕に着いてる時計型の神器がお主に与えた……何て言ったかのう。
あ、そうじゃチィトじゃ。
その世界では、魔物やダンジョンがある世界じゃ。
ダンジョンでは人の魂に共鳴する道具"人器"がある。
主に3種類に分類され
・物質型(武器・道具の形)
・具現化型(別の物に変質したりするタイプ)
・寄生型(その人専用)
になる。
お主の神器は"神器"とバレると大変になるから人器に偽装しておる。
寄生型はその人が死ねば崩壊する人器じゃ。
聞かれたらそう答えれば狙われる事もないじゃろうて。
お金と多少の食料はポケットに入っておる。
ポケットに手を入れ念じれば取り出せるし逆に入れる時は触って念じれば収納出来るぞい。
タバコはサービスじゃ崇め奉るが良い!
名前は初期設定でこのメッセージが終了後決めれるぞ。
楽しめ若人よ、夢を抱け大志を……お主は調子に乗りそうじゃからやっぱり程々に楽しむが良い。
創造神メギルス
-------------------------------------------
「あの爺さん創造神だったのか……ありがとう。そして最低限しかこのスーツの機能教えてくれんのかよ。
まぁ、名前はハルヒトで良いだろ。ほいっとな」
俺は名前を決め、ホログラムを確認すると
-------------------------------------------
名前:ハルヒト
年齢:15
スキル:高速思考 算術 言語理解 敵意感知
人器(神器)Lv1
スキル:身体強化 剣術 体術
魔法:初級魔法
武器:ネクタイブレード
魔法装具:属性ボタン 属性カフス
-------------------------------------------
俺のステータスを見て気付いてしまった……あれ?
チートって普通、俺自身に付与する物であって道具渡されても俺自身耐えれんのこれ?
「魔物殴ったら俺の拳もメキャとかならんよな?」
その呟きは心地よい草原の草を撫でる風によってさらわれていくのであった。
俺はホログラムの板にオススメと書かれている文字を触ると右斜め方向に進む。
500m先街道に出て左。直進3キロ
と思いっきりスマホアプリのマップの道案内された。
俺は取り敢えずタバコを吸殻入れに捨てた。
ポケットに手を突っ込みながら中にある物を確認しつつ歩き出す事にした。
10分程歩きこのスーツの凄さに気付いた。
「暑さを感じず、歩き辛さも無い。ローブ着ても羽織っても全然余裕だし
そしてイベントリ機能付きあれ?結構やべぇの貰ったんじゃね?
でもなぁ……戦えんのこれ?」
そんな不安を持ちつつも街道に出て俺は指示通りに歩いて
水を飲みつつホログラムの板を触り新たにわかった事があった。
・任意で服を着替える事が可能。
今の所登録がスーツ、スウェット、下着、裸の4種類。
・索敵は出来ないがマップ機能がある事
昔のゲームにある、通った道を自動的に記録していくタイプのマップだった。
・操作は全て念じれば触らなくても使える
ホログラムや神器から出る音は全て俺のみにしか聞こえない感じだった。
・魔法を使ってみて魔力の量が危険値に入ると警告を鳴らしてくれる事
使用可能魔法欄に生活魔法があったから定番の『クリーン』を5回使ったら倦怠感が凄かった所で警告音が鳴った。
あれ? 魔力無さすぎて雑魚じゃね俺?
とありがたい機能と共に露呈した自分の素の弱さに打ちひしがれていた。
時計を見ると既に1時間程経って居た所で街の周りを囲む壁が見えた。
異世界やね。素晴らしきかな。
メギルスは多分俺に対して最低限転移直後死ぬ事が無い様に魔物の出現率が限りなく低い土地に送ってくれたらしい。
今の所、人も、魔物も動物も遭遇してなかった。
テンプレではあ!馬車が!何て事は無く、まぁ今そんな場面が出て来ても何にも出来ないんだけどね。
俺は異世界に来て1時間半歩いて門へとたどり着いたのであった。
◇
今の時刻は17時半でございます。
よもやよもやだよ!
たどり着いてからの方が長かった。
もしかしてここどっかの国の首都ですか?って位検問が厳重でさ。
並んでから既に2時間近く経っていてようやく俺の番が来た。
ホログラムには銀貨3枚が都市入税と書いてあった。
こういうサポートは有難いよね。
「次、何の用でガスパ王国王都にやって来た?」
いかついおっさんがすげぇ声を張り上げる。
しかも冗談で王都とか言ってたけど当たってたわ。
「仕事を探しに」
「なら水晶に手をかざせ」
おっさんが右手を前に出す、その手に乗っていた水晶に
俺が手をかざすと水晶は青色に光った。
「入税は大銀貨3枚だ」
あれれ? その言葉に俺は首を傾げる。
「どうした? 金が無いのか?」
「えっと、銀貨3枚じゃないんです?」
「チッ、合ってるじゃないか?早く払え」
イライラするように促されたので俺はポケットから銀貨3枚を手渡し木札を貰った。
うわぁーこの国やべぇのかもな。
あの兵士こっちが大銀貨3枚を払っていたらちょろまかしてポケットINだったんだろうな……怖ぇ。
俺は頭の中で冒険者ギルドへと念じると直進真っ直ぐ広場に出て右へ行くと到着点です。
指示に従い、色々キョロキョロしていると人に子供にぶつかられた。
「あ、痛。どんまい何かスろうとしたんだろうけど俺何も持ってないんだよね」
と呟いた時に頭に音が鳴った。
『属性カフスがハルヒトより半径500m許可なく離れました。強制的に帰属します』
あら? 一応盗られてたのか優秀だね。
それにしてもこのスーツ許可しなければ俺以外に持ち出す事も出来ないのか。やばいよね。
俺はふと、目に入る人が居た。
うむ、絶景かな絶景かな、獣人とは素晴らしきかな。
俺の目の前に居たのは犬系の獣人だった。
そこで気付いたのは獣人にも人に近い種、動物が二足歩行している種が居る事だった。
更に目を引いたのは露天で人が売られていた事だった。
主に子供ばかりで小綺麗にされては居るものの必要最低限といった感じだな。
多分、子供は教え込む事が出来る為需要が高いのだろう。
酷くボロボロなら俺も嫌な気持ちになるけど彼らの目はまだ絶望の闇に染まっては居なく。
むしろ反逆の灯火を光らせていた。
良識ある奴隷商なのだろうな。
そもそも俺は人権を!と言う言葉はあまり好きではない。
権利を主張した所で自分の身を守るには最低限の力であったり主張するまでの労力が必要になるのだ。
なければ結局多数派に呑み込まれて凄惨な目に合うのがオチだからだ。
そもそもイジメにあっても声を発した所で助けてくれる人は少ない。
逆にやり返せば、周りは掌返しをして相手と俺を平等・対等に捉えて成敗、処理しようとして振り出しに戻るのだ。
酷い場合だと、弱者の意見は通らず強者の意見が正しいと判断される事だってあるのだ。
何が人権なのだろうなぁ、人権は弱者の為にと銘を打ってるけど。
結局、主張や知識等の力無き者にはそれすら作用しないし多分人権を作った人は
知識がなければ"人"としてみなしてなかったのだと思う。
ベースが知識格差が酷くあった時代の物だから歪になるのは当たり前だ。
彼らにも事情はあるのだろう。
そこで自分を高く売り込もうとしている意志がある限りその道は正道と捉えることが出来る。
そんな思考の海を回遊していたら広場に到着して大きな建物が3つあった。
左から商業ギルド・生産ギルド・冒険者ギルド
と看板が着いて居たので俺は右の建物に入った。
うーオラわくわくすっぞ!と意気込んで入ったのだが……誰も居らんよ。
暇そうに受付嬢が毛繕いしてるわ。
あ、俺に気付いて営業スマイルをしてる。
ちょっと気まずいのでゆっくりUターンしようとしたら
「冒険者ギルドへようこそ!依頼ですか?登録でしょうか?こちらの受付が今空いております!
今なら最速でご用件を伺えますよぉぉ!」
む!やりおる。機先を潰された。
にへらと愛想笑いを浮かべ、受付嬢の目の前に立つ。
「新規登録で」
「かしこまりました。それではこちらの紙に記入をお願いします」
その紙を見ると名前、年齢、パーティ募集時のアピールポイントと書かれていたので。
『ハルヒト、15歳、ソロ希望』と書いて提出した。
受付嬢は紙を受け取ると。
「はい、ハルヒト様ですね?こちらに手を置いてください」
言われたまま手を箱の上に置くと一瞬光りそこからカードが出てきた。
「先ずは登録ありがとうございます。これから説明致します。
王都の場合少し特殊ですのでお聴き逃しの無いようよろしくお願いいたします」
受付嬢のマルさんの説明だと
・冒険者はG~SSランクまであり依頼をこなす事で昇級していくシステム。
・Gランクは試用期間であり雑用依頼や簡単な依頼しか無い。
・王都では王都警備の騎士団が数多く在住している為討伐依頼は無い。
・Fランクに上がると同時に王都から移動する事を勧められた。
「そして……Fランクまでしかなれないので王都支部は閑古鳥が鳴いています」
「あー最初から上に行ける都市でスタートを決めるのですね?」
よよよと嘘泣きをするマルさんだけど、美人さんがすると似合うのが少しムカつく。
「はい、なので王都の依頼はスーパー絶賛塩漬け中です!ハルヒトさんが消化して頂けると嬉しいのですが……」
上目遣いで見られるのは眼福なんだけどさ
「んーそれを処理して王都での滞在費と釣り合い取れます?
取れるなら多少は頑張りますけどね。無理ならFランクに上がるまでしか居れないですよ?」
そこでマルさんは「ちょっと失礼します」
と頭を下げて引っ込んでいた。
あ、やべぇカード貰ってないから逃げれない。
これ絶対貧乏くじ引いたぞ?ほらおじいちゃん出て来た。
「君が滞在費さえ釣り合えば雑用塩漬けを消してくれる新人かね?
私はガスパ王国王都支部ギルドマスターのウォルトだ。
頼む、宿の手配はこちらでするから王都支部の依頼達成率が年々下がり続け存続の危機なのだ」
頭を下げるギルドマスターウォルトさん。
えぇ……国の王都の冒険者ギルドが存続の危機ってヤバくないか?
「まぁ、時間はありますので宿さえしっかりした所があればしますよ?
まぁ、できる範囲になりますけどね?」
するとギルドマスターは手を握りブンブン振ってくる。
「ありがとう、ありがとうマル君頼む」
「はぁーい!はいどうぞハルヒトさん!」
俺は、束になった依頼書とカードを渡された。
「明日から出来る依頼をそこから見つけて処理お願いします。
依頼達成したら依頼者にサイン貰って受付に来れば依頼受理と達成を同時に処理しますのでよろしくお願いいたします
複数件一気に処理も出来ますのでガンガンお願いします!」
ギルドマスターは袋を持ってくると俺に手渡す。
「ここを出て右へ真っ直ぐ行くと木漏れ日の安らぎという宿がある。ここにこれを渡してくれ。
1ヶ月分の宿と食事代が入っている。
本当に助かった、どうしても無理そうな依頼はこちらに返してくれれば特殊依頼として出来る専門に依頼をするから」
そう言われて俺は感謝感謝を受けて何故か1ヶ月分の滞在費と食事代を貰うのだった……
ミスったなこりゃ、依頼報酬と滞在費が釣り合うなら受けると言ったのに
ギルドマスターから滞在費マルっと貰えちゃうとは気合いを入れてやらねばならぬ。
異世界来たからほんkんん"ぅおっとこれ以上先を言ったらBANされそうだ。
俺は冒険者ギルド出て木漏れ日の安らぎという宿に向かうと多分日本で言うビジネスホテル位の扱いの宿だった。
宿の店員さんに話を聞いたグレード分けすると
・最下級はネットカフェ的なうっすい仕切り板で狭い宿
常に身を守る術を持ってないと女の人は泊まれない。
・下級が部屋のみのトイレ、洗い場が共同で食堂無し
・中級がここの様な1部屋にトイレ、洗い場付きの食事有り
・高級宿は食事やサービスが1部屋1人の専門員が居て全て用意してくれる宿
・最高級になると最早可能な限りのわがままが通るやばい宿らしい(噂)
そんなこんなで俺は定宿が出来た。
食事は何かの肉のシチューみたいな奴と肉のステーキとパンだった。
パンは独特な風味があるけど少し硬いかな?って位だった。
まぁ、日本のフランスパン位かな?
普通に美味しかった。
俺は部屋に戻り裸になり洗い場で魔道具でシャワーを浴びて依頼書をペラペラめくっていた。
・掃除43件
・ドブ掃除25件
・公衆トイレ掃除1件
・家庭教師1件(受付日1年前だけど?)
・孤児院お手伝い1件(奉仕依頼って何?)
・薬草採取15件(何故に重複?)
・荷物整理(冒険者ギルド)
締めて87件、おいっ!最後のちゃっかり今日付の依頼書交付になってるじゃんよ!
俺は俺は掃除依頼をまとめて明日からスタートする事にしてスウェットになって眠った。
◇
朝早く鐘の音で起きた。
連鎖的に鐘が鳴るシステムで同時に鳴らないらしい。
今も遠くから鐘の音が聴こえる。
俺は朝ご飯の肉野菜炒めとパンを食べて掃除依頼書を持ち昨日調べた区画事に処理していく事にした。
北区画は王城を中心に貴族街になっている。
南区画は商業区で市場等賑やかな場所。
西区画は職人街となっている。
東区は住民区で各区画にも住居や店はあるが一極集中にしているのだと言う。
宿は南区の住居区に近い上、依頼書は東区と西区に集中しているので東区からスタートするのであった。
「よし!今日から仕事開始だぁぁ!!」
異世界では異形とも取れるスーツ姿で走って行く青年は奇異な視線を受け目立ちまくるのであった。
微睡んだ意識が浮かび上がり周りを見渡すとそこは真っ白な奥行きも高さも認識出来ない空間だった。
そこに1人居た男性はこう叫ぶ。
「ビバ異世界へGO!!」
『何を言うとるんじゃ!』
スパーンッ!!
巨大なハリセンで頭を引っぱたかれた。
「ンゴー!!痛っ!何しよるんじゃこの爺!? ん? このパターンで行くとお前が神か?」
キョトンとした老人。
『お主、今話題の厨二病を抜け出せない社会人だのう』
呆れられた。
「まぁ1つだけ聞きたい。俺の死因何ですか?」
ここで1つ気になった事があった。
死因の特定が出来ない事、そして俺のPCの中身の心配だけだった。
『ん?お主の死因かのう……穴じゃな』
「は?穴?」
『くしゃみして操作盤ミスってのお主が歩いておった地面陥没させちった。メンゴ!』
俺は爺のハリセンを奪いフルスイングした。
ん? フルスイング?
「ちっ、避けんじゃねぇよ!」
『お主にはまだ早い。まぁ、厨二病のお主にはもうわかるじゃろ? テンプレじゃテンプレ』
男は先程の騒がしさはどこへやらと
「うん。転移ですか? 転生ですか? あ、ついでにあっちで生き残る"あれ"くれ」
『ある意味どっちもじゃな。ふむ、儂のせいじゃし"あれ"じゃな?』
男はニヤニヤして妄想を膨らませている。
老人は操作盤を操作しキャラクター設定の如く男のホログラムに何かをしている。
「魔法って使えんの?」
『うぬ、魔法追加・危機対処緊急マニュアルを組込み。年齢は15じゃな。ほほいのほい』
男の体が光る。
『うむ、それとあちらに行った際に必要な物は一緒に送るから達者での』
「へ?説明は?お、おい!爺ぃぃぃカムバックゥゥゥ」
男は一筋の光となりて消えていった。
『ハルヒト・サイトウか。最近のチィトは良く分からんが死なんじゃろ。まぁ頑張っ』
爺は座布団を敷きそれを枕にして目の前に水晶、煎餅、お茶を出しダラケ始めるのであった。
◇
再び、意識が浮かび上がる様な感覚を覚え瞼を開けると
目の前には日本では見られない様な1面草原だった。
「ワーオ、ハロー異世界、サヨナラ地球」
俺はタバコを吸おうとポケットに手を入れると不思議な事が起きた。
頭に『タバコ×∞』と浮かび上がるのだ。
まぁ、良いや!と先ずは落ち着く事が先決だと思いタバコに火をつけ時計を見ると14時15分だった。
「人里はどっちやろねー困った」
その呟きに反応するかの様に腕時計からホログラムの板が浮かび上がった。
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人器(神器)スーツ※()内は隠蔽中
メッセージを読み込みます。
さっきの神じゃ。
どうせ右も左も分からぬじゃろう?
その右腕に着いてる時計型の神器がお主に与えた……何て言ったかのう。
あ、そうじゃチィトじゃ。
その世界では、魔物やダンジョンがある世界じゃ。
ダンジョンでは人の魂に共鳴する道具"人器"がある。
主に3種類に分類され
・物質型(武器・道具の形)
・具現化型(別の物に変質したりするタイプ)
・寄生型(その人専用)
になる。
お主の神器は"神器"とバレると大変になるから人器に偽装しておる。
寄生型はその人が死ねば崩壊する人器じゃ。
聞かれたらそう答えれば狙われる事もないじゃろうて。
お金と多少の食料はポケットに入っておる。
ポケットに手を入れ念じれば取り出せるし逆に入れる時は触って念じれば収納出来るぞい。
タバコはサービスじゃ崇め奉るが良い!
名前は初期設定でこのメッセージが終了後決めれるぞ。
楽しめ若人よ、夢を抱け大志を……お主は調子に乗りそうじゃからやっぱり程々に楽しむが良い。
創造神メギルス
-------------------------------------------
「あの爺さん創造神だったのか……ありがとう。そして最低限しかこのスーツの機能教えてくれんのかよ。
まぁ、名前はハルヒトで良いだろ。ほいっとな」
俺は名前を決め、ホログラムを確認すると
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名前:ハルヒト
年齢:15
スキル:高速思考 算術 言語理解 敵意感知
人器(神器)Lv1
スキル:身体強化 剣術 体術
魔法:初級魔法
武器:ネクタイブレード
魔法装具:属性ボタン 属性カフス
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俺のステータスを見て気付いてしまった……あれ?
チートって普通、俺自身に付与する物であって道具渡されても俺自身耐えれんのこれ?
「魔物殴ったら俺の拳もメキャとかならんよな?」
その呟きは心地よい草原の草を撫でる風によってさらわれていくのであった。
俺はホログラムの板にオススメと書かれている文字を触ると右斜め方向に進む。
500m先街道に出て左。直進3キロ
と思いっきりスマホアプリのマップの道案内された。
俺は取り敢えずタバコを吸殻入れに捨てた。
ポケットに手を突っ込みながら中にある物を確認しつつ歩き出す事にした。
10分程歩きこのスーツの凄さに気付いた。
「暑さを感じず、歩き辛さも無い。ローブ着ても羽織っても全然余裕だし
そしてイベントリ機能付きあれ?結構やべぇの貰ったんじゃね?
でもなぁ……戦えんのこれ?」
そんな不安を持ちつつも街道に出て俺は指示通りに歩いて
水を飲みつつホログラムの板を触り新たにわかった事があった。
・任意で服を着替える事が可能。
今の所登録がスーツ、スウェット、下着、裸の4種類。
・索敵は出来ないがマップ機能がある事
昔のゲームにある、通った道を自動的に記録していくタイプのマップだった。
・操作は全て念じれば触らなくても使える
ホログラムや神器から出る音は全て俺のみにしか聞こえない感じだった。
・魔法を使ってみて魔力の量が危険値に入ると警告を鳴らしてくれる事
使用可能魔法欄に生活魔法があったから定番の『クリーン』を5回使ったら倦怠感が凄かった所で警告音が鳴った。
あれ? 魔力無さすぎて雑魚じゃね俺?
とありがたい機能と共に露呈した自分の素の弱さに打ちひしがれていた。
時計を見ると既に1時間程経って居た所で街の周りを囲む壁が見えた。
異世界やね。素晴らしきかな。
メギルスは多分俺に対して最低限転移直後死ぬ事が無い様に魔物の出現率が限りなく低い土地に送ってくれたらしい。
今の所、人も、魔物も動物も遭遇してなかった。
テンプレではあ!馬車が!何て事は無く、まぁ今そんな場面が出て来ても何にも出来ないんだけどね。
俺は異世界に来て1時間半歩いて門へとたどり着いたのであった。
◇
今の時刻は17時半でございます。
よもやよもやだよ!
たどり着いてからの方が長かった。
もしかしてここどっかの国の首都ですか?って位検問が厳重でさ。
並んでから既に2時間近く経っていてようやく俺の番が来た。
ホログラムには銀貨3枚が都市入税と書いてあった。
こういうサポートは有難いよね。
「次、何の用でガスパ王国王都にやって来た?」
いかついおっさんがすげぇ声を張り上げる。
しかも冗談で王都とか言ってたけど当たってたわ。
「仕事を探しに」
「なら水晶に手をかざせ」
おっさんが右手を前に出す、その手に乗っていた水晶に
俺が手をかざすと水晶は青色に光った。
「入税は大銀貨3枚だ」
あれれ? その言葉に俺は首を傾げる。
「どうした? 金が無いのか?」
「えっと、銀貨3枚じゃないんです?」
「チッ、合ってるじゃないか?早く払え」
イライラするように促されたので俺はポケットから銀貨3枚を手渡し木札を貰った。
うわぁーこの国やべぇのかもな。
あの兵士こっちが大銀貨3枚を払っていたらちょろまかしてポケットINだったんだろうな……怖ぇ。
俺は頭の中で冒険者ギルドへと念じると直進真っ直ぐ広場に出て右へ行くと到着点です。
指示に従い、色々キョロキョロしていると人に子供にぶつかられた。
「あ、痛。どんまい何かスろうとしたんだろうけど俺何も持ってないんだよね」
と呟いた時に頭に音が鳴った。
『属性カフスがハルヒトより半径500m許可なく離れました。強制的に帰属します』
あら? 一応盗られてたのか優秀だね。
それにしてもこのスーツ許可しなければ俺以外に持ち出す事も出来ないのか。やばいよね。
俺はふと、目に入る人が居た。
うむ、絶景かな絶景かな、獣人とは素晴らしきかな。
俺の目の前に居たのは犬系の獣人だった。
そこで気付いたのは獣人にも人に近い種、動物が二足歩行している種が居る事だった。
更に目を引いたのは露天で人が売られていた事だった。
主に子供ばかりで小綺麗にされては居るものの必要最低限といった感じだな。
多分、子供は教え込む事が出来る為需要が高いのだろう。
酷くボロボロなら俺も嫌な気持ちになるけど彼らの目はまだ絶望の闇に染まっては居なく。
むしろ反逆の灯火を光らせていた。
良識ある奴隷商なのだろうな。
そもそも俺は人権を!と言う言葉はあまり好きではない。
権利を主張した所で自分の身を守るには最低限の力であったり主張するまでの労力が必要になるのだ。
なければ結局多数派に呑み込まれて凄惨な目に合うのがオチだからだ。
そもそもイジメにあっても声を発した所で助けてくれる人は少ない。
逆にやり返せば、周りは掌返しをして相手と俺を平等・対等に捉えて成敗、処理しようとして振り出しに戻るのだ。
酷い場合だと、弱者の意見は通らず強者の意見が正しいと判断される事だってあるのだ。
何が人権なのだろうなぁ、人権は弱者の為にと銘を打ってるけど。
結局、主張や知識等の力無き者にはそれすら作用しないし多分人権を作った人は
知識がなければ"人"としてみなしてなかったのだと思う。
ベースが知識格差が酷くあった時代の物だから歪になるのは当たり前だ。
彼らにも事情はあるのだろう。
そこで自分を高く売り込もうとしている意志がある限りその道は正道と捉えることが出来る。
そんな思考の海を回遊していたら広場に到着して大きな建物が3つあった。
左から商業ギルド・生産ギルド・冒険者ギルド
と看板が着いて居たので俺は右の建物に入った。
うーオラわくわくすっぞ!と意気込んで入ったのだが……誰も居らんよ。
暇そうに受付嬢が毛繕いしてるわ。
あ、俺に気付いて営業スマイルをしてる。
ちょっと気まずいのでゆっくりUターンしようとしたら
「冒険者ギルドへようこそ!依頼ですか?登録でしょうか?こちらの受付が今空いております!
今なら最速でご用件を伺えますよぉぉ!」
む!やりおる。機先を潰された。
にへらと愛想笑いを浮かべ、受付嬢の目の前に立つ。
「新規登録で」
「かしこまりました。それではこちらの紙に記入をお願いします」
その紙を見ると名前、年齢、パーティ募集時のアピールポイントと書かれていたので。
『ハルヒト、15歳、ソロ希望』と書いて提出した。
受付嬢は紙を受け取ると。
「はい、ハルヒト様ですね?こちらに手を置いてください」
言われたまま手を箱の上に置くと一瞬光りそこからカードが出てきた。
「先ずは登録ありがとうございます。これから説明致します。
王都の場合少し特殊ですのでお聴き逃しの無いようよろしくお願いいたします」
受付嬢のマルさんの説明だと
・冒険者はG~SSランクまであり依頼をこなす事で昇級していくシステム。
・Gランクは試用期間であり雑用依頼や簡単な依頼しか無い。
・王都では王都警備の騎士団が数多く在住している為討伐依頼は無い。
・Fランクに上がると同時に王都から移動する事を勧められた。
「そして……Fランクまでしかなれないので王都支部は閑古鳥が鳴いています」
「あー最初から上に行ける都市でスタートを決めるのですね?」
よよよと嘘泣きをするマルさんだけど、美人さんがすると似合うのが少しムカつく。
「はい、なので王都の依頼はスーパー絶賛塩漬け中です!ハルヒトさんが消化して頂けると嬉しいのですが……」
上目遣いで見られるのは眼福なんだけどさ
「んーそれを処理して王都での滞在費と釣り合い取れます?
取れるなら多少は頑張りますけどね。無理ならFランクに上がるまでしか居れないですよ?」
そこでマルさんは「ちょっと失礼します」
と頭を下げて引っ込んでいた。
あ、やべぇカード貰ってないから逃げれない。
これ絶対貧乏くじ引いたぞ?ほらおじいちゃん出て来た。
「君が滞在費さえ釣り合えば雑用塩漬けを消してくれる新人かね?
私はガスパ王国王都支部ギルドマスターのウォルトだ。
頼む、宿の手配はこちらでするから王都支部の依頼達成率が年々下がり続け存続の危機なのだ」
頭を下げるギルドマスターウォルトさん。
えぇ……国の王都の冒険者ギルドが存続の危機ってヤバくないか?
「まぁ、時間はありますので宿さえしっかりした所があればしますよ?
まぁ、できる範囲になりますけどね?」
するとギルドマスターは手を握りブンブン振ってくる。
「ありがとう、ありがとうマル君頼む」
「はぁーい!はいどうぞハルヒトさん!」
俺は、束になった依頼書とカードを渡された。
「明日から出来る依頼をそこから見つけて処理お願いします。
依頼達成したら依頼者にサイン貰って受付に来れば依頼受理と達成を同時に処理しますのでよろしくお願いいたします
複数件一気に処理も出来ますのでガンガンお願いします!」
ギルドマスターは袋を持ってくると俺に手渡す。
「ここを出て右へ真っ直ぐ行くと木漏れ日の安らぎという宿がある。ここにこれを渡してくれ。
1ヶ月分の宿と食事代が入っている。
本当に助かった、どうしても無理そうな依頼はこちらに返してくれれば特殊依頼として出来る専門に依頼をするから」
そう言われて俺は感謝感謝を受けて何故か1ヶ月分の滞在費と食事代を貰うのだった……
ミスったなこりゃ、依頼報酬と滞在費が釣り合うなら受けると言ったのに
ギルドマスターから滞在費マルっと貰えちゃうとは気合いを入れてやらねばならぬ。
異世界来たからほんkんん"ぅおっとこれ以上先を言ったらBANされそうだ。
俺は冒険者ギルド出て木漏れ日の安らぎという宿に向かうと多分日本で言うビジネスホテル位の扱いの宿だった。
宿の店員さんに話を聞いたグレード分けすると
・最下級はネットカフェ的なうっすい仕切り板で狭い宿
常に身を守る術を持ってないと女の人は泊まれない。
・下級が部屋のみのトイレ、洗い場が共同で食堂無し
・中級がここの様な1部屋にトイレ、洗い場付きの食事有り
・高級宿は食事やサービスが1部屋1人の専門員が居て全て用意してくれる宿
・最高級になると最早可能な限りのわがままが通るやばい宿らしい(噂)
そんなこんなで俺は定宿が出来た。
食事は何かの肉のシチューみたいな奴と肉のステーキとパンだった。
パンは独特な風味があるけど少し硬いかな?って位だった。
まぁ、日本のフランスパン位かな?
普通に美味しかった。
俺は部屋に戻り裸になり洗い場で魔道具でシャワーを浴びて依頼書をペラペラめくっていた。
・掃除43件
・ドブ掃除25件
・公衆トイレ掃除1件
・家庭教師1件(受付日1年前だけど?)
・孤児院お手伝い1件(奉仕依頼って何?)
・薬草採取15件(何故に重複?)
・荷物整理(冒険者ギルド)
締めて87件、おいっ!最後のちゃっかり今日付の依頼書交付になってるじゃんよ!
俺は俺は掃除依頼をまとめて明日からスタートする事にしてスウェットになって眠った。
◇
朝早く鐘の音で起きた。
連鎖的に鐘が鳴るシステムで同時に鳴らないらしい。
今も遠くから鐘の音が聴こえる。
俺は朝ご飯の肉野菜炒めとパンを食べて掃除依頼書を持ち昨日調べた区画事に処理していく事にした。
北区画は王城を中心に貴族街になっている。
南区画は商業区で市場等賑やかな場所。
西区画は職人街となっている。
東区は住民区で各区画にも住居や店はあるが一極集中にしているのだと言う。
宿は南区の住居区に近い上、依頼書は東区と西区に集中しているので東区からスタートするのであった。
「よし!今日から仕事開始だぁぁ!!」
異世界では異形とも取れるスーツ姿で走って行く青年は奇異な視線を受け目立ちまくるのであった。
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