紗 塵埃

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遺書

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死を覚悟した。
私は生まれてから今現在も、何かに依存しないと生活できない人間であった。
そんな私の依存先はいつも、私の手で壊してしまう。
またひとつ壊れてしまった。言葉にして拒否されると、どうしても死にたくなる。
人間、悲しみが大きすぎると、涙は出てこなくなるものです。ただ、冷静に、死ぬための準備を始めるのです。
今の私は、心にポッカリと穴が拡がっており、彼女の大事さがありありと伺えるのでした。
きっと、私の愛情が重たかったのでしょう。苦しめたい訳では無いのです。苦しかったのは私なのです。きっと、伝わらないでしょう。
体が途端に重たくなるのです。ポッカリと穴が空いているはずなのに、体が重たくて動きません。彼女のために動いていた体なのです。彼女が居なくなった今、動く必要がなくなったのです。
そんな体に鞭を打ち、働かせます。
私は今から死ぬのです。
死に支度をしなければ行けません。溜まっている洗濯物を洗い。部屋を片付け。彼女が好きそうなものは遺してやりましょう。
首を吊るための頑丈な紐と、床が汚れないように布でも敷いて。私の気持ちを綴った手紙も書きましょう。私を虐めた奴らへの恨み言をしたためてやりましょう。離婚だ不倫だと騒ぎ、私にストレスを与え続けた両親へ、苦言を呈してやりましょう。私を見限った彼女へ、一生消えない枷を嵌めてやりましょう。あなたのせいです。貴方が悪いのです。
我儘で、傲慢な彼女を私はきっと嫌いになれないのです。嫌いになれない、しかし、辛いものは辛いのです。私はさんざん言いました。幸せだと、幸せな時に死にたいと。このまま死にたい、死なせてくれと。
今、あの時死ななかったことを、深く、深く後悔しております。
過去の私よ、死になさい。後悔することになりますよ。
このまま死んで、この作品も遺書になるのでしょうか。
それならきっと見つけてください。私の残したこの遺書を。きっと、きっとお願いします。
私は彼女に、何をしてやれたでしょう。
彼女にどれだけ買い与えたでしょう。どれだけ身を呈したでしょう。どれだけ泣かされたでしょう。きっと、彼女にとってはどうでもいい事だったのです。そうでしょう?そうでしょう。だってあなたは、私が死のうとすることも、わかっていた。わかっていて突き放すのです。この思考こそが、見限られる原因だと理解していますとも。きっと、生まれ変わったら二度と会いたくないです。本当に。
大勢に愛されるあなたは、幸せでしょう。
続きませんよ。ええ、絶対に。断言します。
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