心

模倣と呼ばれる小説家

小説家ってば、出たがりが多くていけないね。気難しいお人も、性格が悪くて仕方ないやつも多くって。けれど、世間に認められる素晴らしい作品を書いてくれるんだから、そんなとこも素敵って思われるんだと思う。
小説家っていうのは、性格が文字に現して、文の進め方、読点、句読点の打ち方、改行の頻度
その人の生きてきた様子をありありと写していく。
最近は似たような作品が多くって、なんて声が多く聞こえてくる。しかし、大きな影響を与えてくれる文士がいる、こんなに幸せなことは無い。
私だって、すきだ。今、私の書いているこの文だって、影響を受けている。ある文士のおかげで私は生きているのです。
きっと、似てると言われているまだ無名の文士よ。真似をしている訳では無いだろう、模倣なんてつまらないに決まってる。きっと、好きなものを自分の手で生み出してみたかったのだろう。自分で考えて、書くものだから。同じものなんてないだろう。努力して、這って、形創ったものが、模倣なんて言われたら。私は倒れてしまいます。
本当に、嘘では無いのです。
努力して、真っ当に生きている、それだけでも、褒めて欲しいと願うのに。模倣だ、ヘタだと否定でもされてみましょう。切に、切に私は自身を絞首するでしょう。
それほどに、それほどまでに私は否定が恐ろしいのです。
小説家は出たがりでいけません。出て批評や批判を気にする質がこぞってみんな出たがりなのです。気難しくていけません。納得いくまで書くくせに、否定されたら癇癪を起こすのです。性格が悪くていけません。自分は悪くないと、逃げながら他者を蔑むやからが多くてダメです。小説家はストレスを抱える人が多くって。酒に逃げ、煙草に逃げて、女に逃げる。
そうして生まれてくるのが。後の日本を揺るがす傑作だったりするのです。
自分の作品を読んで欲しいと願う無名の文士達よ、他者の作品にも手を伸ばしてみるといい。苦手なジャンルにも、怖気ながら、怯えながらそっと触れてみるといい。
やっぱりダメだと思うかもしれない。案外読めるかもしれない。文字には自分の人生がありありと写し出される。他者の人生を垣間見て、思うことは。自身の人生に多大な影響を与えてくれる。
まだ見ぬ無名の文士よ、名も知らぬ友よ。
私は君の作品を読んでみたい、私の作品も読んで欲しい。
小説家は出たがりで、ストレスに弱い生き物だ。だからこそ、傑作を生み出せるのだ。
名も無き友よ、無名の文士よ
私の人生は駄作だった。駄作を文字にすることで、傑作にして見せたい。
君の人生も、わたしにみせてはくれまいか。