聖女は記憶の残滓に恋焦がれる ~男体化してしまった聖女の妹が私を汚そうとするんですが誰か助けてください~

なのの

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17.教会の不思議(前編)

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 その日は休息日で教会にお祈りにやってきていた。
 毎週の行事ながら、先日の失態をした私には丁度良い気分転換だ。
 部屋でウジウジしているよりかは何百倍もマシという物です。

「あの、エリアナ様?」
「あ、大司教様、お邪魔しています」
「女神像をじっと見つめてどうなされたのですか?」
「この女神像に祈りを捧げたら、その神聖力?ですか?が、各地の女神像に分散して恩恵を授けるのですよね」
「ええ、そうですとも」
「これって、一種の魔導具ですよね?構造的にどうなってるのかなぁって」
「いえいえ、似て非なる物ですよ、魔導具の様に複雑な構造はしておりません、物としてはただの石像です」
「ではどうやって分散を?」

 そこで大司教様は、答えに詰まった。
 教えられない程のシークレットな情報がそこにある。
 私の嗅覚は好奇心に直結しているのだ。

「えー・・・ご内密にお願いできますか?」
「もちろんです!」

 すみませんねぇ、私は甘い物と不思議な物に目がないのですよ~。

 女神像同士の接続は実に親子の関係に似ていた。
 元となる女神像の一部を削り、他の女神像の中に埋め込む。
 削った方は其れを修繕する。
 作る度に修繕した所を削り、複製をつくって、修繕と言う事を繰り返す。
 そもそも元となる女神像自体が、神の御業で作られた物である事が前提だそうです。

 つまるところ、魔導具と全く違うのは分かった。
 毎回、大司教様の言う事は、私にとって欲しい情報が含まれていない。
 というか、そもそも持ってないのだから仕方ない事なのでしょう。
 各地に繋がっているのだから、その繋がりを何かに利用できないかと考えたのだけど、ままなりませんね。
 例えば隣村の教会周辺に居る魔女の波長を観測できるとか、あっちの状況を観測できるとかね。
 無理でしょうけどねぇ。

『お前も、へんな言いがかりつけてごめんね』

 なんて、心で語り掛けながら、女神像のひざ元をぺちぺちと叩いた。
 すると祈ってもないのに光が私を包み込み始め、私の視界は光に包まれ、全身の力が抜けた。

 膝がカクッと抜ける感覚に驚き、力強く踏みとどまった。
 眩しい光が収まると共に、周りの景色は古びた教会へと変貌していた。

『なに?夢でも見てる?』

 疑問にも思いつつも、周りに居る人に誰一人として知った顔は居なかった。

 神父らしき人が私に話しかけて来た。
 というより、祈りを捧げ始めた。
 その行動を皮切りに、全員が手を重ねて祈り始める。

「おお、女神様が、降臨なされた、ありがたや、ありがたや」
「女神?どこ?」
「貴女様でございます、女神様」

 聖女の次は、女神呼ばわり、どうなってんのよ。

「女神さまは、教会にある石像よね」

 そう言って、女神像がありそうな場所を指差した。
 だが、そこには何もない。
 女神像が立っていそうな台座があるだけだった。
 そして今、私が着ている服も変わっている事に気が付いた。
 それはまさしく、女神様の服で、ちょっとえろちっく。
 服装で勘違いさせちゃった感じかぁ~なんて思っていると、修道女の一人が大き目の鑑を持って来た。
 その姿は女神の姿そのもの、それが生きた人間の様な肌色になって動いている。

「つまり、ここにあった石像が、人の姿になって動いてるって事?私の事だけどさ」
「人の姿とは、滅相もありません、女神様は女神様です」

 いやいや、意味が分かんないって。
 でも、女神様の幻想を壊すのも悪いし、どうしたらいいのかなぁ。
 とりあえず、祈っとくか。

「えっと、ではこの村の為に祈りますね。村の名前を教えて頂けますか?」
「おお、ありがたや、この村の名前は、パレーゾです。よろしくお願いいたします」
「そう、パレーゾですね、では・・・」

 私は祈りをささげた。
 豊穣の恵みがこのパレーゾに降り注がれます様にと。

 しばらく目を閉じて手を重ねていると、外から歓声が聞こえてくる。
 その歓声を上げている一人が、教会の中に入って来た。

「神父様!大変だ!作物が一気に実ってしまったぞ!豊穣の恵みがやってきたんだ!最近は作物の育成が調子いいだけじゃないんだな、すげーよっ」
「おお、流石は女神さまでございます、ありがとうございます、ありがとうございます」

 その感謝の言葉を、村人が次々と口にし始めた。
 それだけでなく、先ほど教会に入って来た人も、感謝の言葉を言い始め。
 それに釣られてか、その周辺の人も、口々に感謝の言葉を天に届けようとした。

「神父様、この事を王都の大聖堂にいる大司教様に連絡して頂けますか?」
「勿論でございます、パレーゾの奇跡として伝え、そして語り継ぎましょう」
「よろしくね」

 で、どうやったら戻れるの?
 こうかな?

 台座の上に立ち、女神像がしている筈のポーズを取ると、またもや視界が光に包まれた。

 しばらくして視界が戻ると、そこは大聖堂のベッドの上。
 私は夢でも見ていたのかと思った。

「ようやく、目が覚めたのですね、急に意識を失って吃驚しましたよ」

 私に話しかけてくるのは修道女のレイラさん。
 時々話し相手になってくれる、親切でとても癒される美人だ。

「何か夢を見てたみたいで、パレーゾ村で女神に成り代わるなんて不敬な夢でした」
「不敬でもありませんよ、大聖女様には時々ある奇跡です、きっと予知夢か何かだったのでしょう」
「あははは、そうだといいですね、予知夢が本当なら、パレーゾの村が大豊作になっているかもです、まぁ夢は夢ですね」
「うふふ、素敵ですわ」

 ───翌日、緊急で大聖堂に呼び出され、夢ではなかった事を告げられた。

 なんてこった。
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