聖女は記憶の残滓に恋焦がれる ~男体化してしまった聖女の妹が私を汚そうとするんですが誰か助けてください~

なのの

文字の大きさ
23 / 51

19.奇跡の影響

しおりを挟む
 父は非情な決断をした。

 一族郎党全員死刑──。

 この事に、やり過ぎだと抗議してもそれが戦争だと言われてお終いだった。

 宣戦布告から終結まで、たったの5日しかかからなかった。
 一族と兵士以外の死者は0という珍しい結果であった事と、聖女の奇跡という話が広まっている事で貴族や平民からの反応は穏やかな物となっていた。

 最早の脅しとも言える状態だった。
 サザーランド公爵わたしたちに逆らえば、奇跡の恩恵は来ないと言ってる様な物だった。
 これにより保守派から離脱する者が後を絶たず、筆頭であるドルヴァー公爵の力は弱まって行った。

 そうであれば、どうしてブキャラン侯爵が自害したのか。
 保守派から抜ければ良かっただけでは?と考えたのは浅はかだった。

 ブキャラン侯爵の妹は保守派筆頭のドルヴァー公爵の長男と結婚しており、人質に取られている様なものだそうだ。
 更にはブキャラン侯爵領の位置が悪かった。
 サザーランド公爵領とドルヴァー公爵領の両方に接している事は最早不幸でしかない。
 裏切ればドルヴァー公爵に攻められた上、妹の命は無いとでも言われたのかもしれない。
 それはあくまで私の想像であって、事実は闇の中だった。

 私はため息をつくしかなかった。
 人の死が身近にあった。
 試作の通信機を父に渡さなければ、あんな奇跡を起こさなければ、私が妹の代わりになっていなければ。
 そういったIFもしもを探して後悔する。

 今回の虐殺は私のせいでなくとも、父のせいではある以上、何も変わらない。
 それは重い十字架を背負わされたような物だ、彼らの死を忘れる事は無いだろう。

 でも、本当に父の考えている事が分からない───
 ついて行けない──


 収穫期が終わり、奇跡は一旦休止となった。
 ただ、収穫期は作物ごとにあるので、ゆっくりできるのは今の内だけという極めて悪辣な労働環境だ。
 休みになった反動でパーティのお誘いが5倍程に増えた。
 それもこれも奇跡の影響でしょう。
 私の魅力が増したわけでも、人気が出た訳でもない。

 招待状の選別作業をダリアとマーガレトが担当した。
 どこに行くかは、派閥、力関係、メリットの3つで判断される。
 それとは別に、風船王子からの招待や、付き添いの誘いには付き合う必要があった。
 さらにあの風船王子はこれ見よがしに毎日の様に予定を埋めようとした。

 聖女が婚約者だと自慢したいみたいにはしゃいでいたよ、あの風船王子は。

「もう、ウンザリよ~」
「いいじゃないですか、交際が順調で。相手はイケメンなんですし、アリアナ・・・・様は不満なのですか?」
「じゃあダリア行って来てよー代わりでー」
「はぁ、それで相手が怒らないのであれば、それでもいいですけど、責任はとれませんよ」
「・・・やっぱだめ、変に逆鱗に触れてダリアが処刑されるのは見たくない」
「はい、じゃあ準備してください」
「・・・あ、そうだ、エリアナ・・・・に変装して、参加すればいいんじゃない?アリアナ・・・・は体調不良で参加できないと言ってしまえば通るよね?」
「まぁ、それは眼鏡さえかければ、わたくし達でも判別つきませんから出来るでしょうけど、何が目的ですか?」
「浮気調査よ!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~

サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました

由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。 ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。 遠い存在になったはずの彼。 けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。 冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。

【完結】嫌われ公女が継母になった結果

三矢さくら
恋愛
王国で権勢を誇る大公家の次女アデールは、母である女大公から嫌われて育った。いつか温かい家族を持つことを夢見るアデールに母が命じたのは、悪名高い辺地の子爵家への政略結婚。 わずかな希望を胸に、華やかな王都を後に北の辺境へと向かうアデールを待っていたのは、戦乱と過去の愛憎に囚われ、すれ違いを重ねる冷徹な夫と心を閉ざした継子だった。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

異世界に転生してチートを貰ったけど、家族にハメられて敵国の捕虜になったら敵国の王子に求婚されました。

naturalsoft
恋愛
私は念願の異世界転生でチートをもらって旅立った。チートの内容は、家事、芸術、武芸などほぼ全ての能力がそつなくプロレベルに、こなせる万能能力だった。 しかし、何でも1人でやってしまうため、家族に疎まれて殺されそうになりました。そして敵国の捕虜になったところで、向こうの様子がおかしくて・・・? これは1人で何でもこなしていた弊害で国が滅ぶ寸前までいったお話です。

君は番じゃ無かったと言われた王宮からの帰り道、本物の番に拾われました

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ココはフラワーテイル王国と言います。確率は少ないけど、番に出会うと匂いで分かると言います。かく言う、私の両親は番だったみたいで、未だに甘い匂いがするって言って、ラブラブです。私もそんな両親みたいになりたいっ!と思っていたのに、私に番宣言した人からは、甘い匂いがしません。しかも、番じゃなかったなんて言い出しました。番婚約破棄?そんなの聞いた事無いわっ!! 打ちひしがれたライムは王宮からの帰り道、本物の番に出会えちゃいます。

処理中です...