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24.探し物
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ダリアは律儀にも私の願い事を聞いてくれていた。
──魔女と会いたい。
だが、その願い事は未だに叶わないでいた。
当の魔女が体を壊しており、会う事が難しいという。
聞けば以前仕えていた所で酷い虐待を受けていたらしく、その影響だと言うのだ。
薬代であれば、私が全て出すと言ったがそれは、それでも中々治るものではないらしい。
そして、以前本屋で出会った魔女についても考えねばならなかった。
魔女たちは命を狙われていると言う、それが私に関係する人物による犯行だと知らされた。
その答えは父でしかない。
あの、ブキャラン侯爵の一族を全員殺害し、それからは魔女を探し見つけ出しては殺害しているのだろう。
第一騎士団の人数は軍隊だけあって余りある程に居る。
それを使って、炙り出し、そして殺害して周っているだろう。
父であれば、一言、そういう命令をするだけで出来るのだ。
情報があればだけどね。
私が父に何かを言って聞いてもらえるだろうか。
それは考えるまでもなく、全く聞く耳を持たないと分かっている。
父が私の言う事を聞いてくれた事なんてない。
私は魔女たちに問うた。
『私に出来る事は何?何をすればいいの?説得しろとか言わないよね、それは無理な話よ』
魔女たちに、質問をぶつけるのは些か御門違いだった。
けれど、本当にわからないのだから、そうするしかない。
『現役魔女年鑑を手に入れたのは存じております、それを取り返して頂けないでしょうか。その情報を元に魔女が狩られると思われるのです、勿論、十分な額をお支払いします』
現役魔女年鑑を父も手に入れたと言う事であれば、納得が行く。
それが何処にあるのかは父の書斎、もしくは第一騎士団の誰かが持っている可能性が考えられた。
私はその事に協力しきれるかは分からないと答え、立ち去ろうとした。
『もし、取り返せないのであれば相手にこのネックレスを渡して頂けないでしょうか』
魔女が取り出したのは、少し大きめの瓶に入った筒状のアクセサリー。
中には液体が入っていて、アルコール漬けにも見えなくもない。
『それは?幸運のお守りには見えませんが』
『魔女避けですよ。乾いた状態ですと魔女が嫌う波長を発す様になります。自然に魔女は近づかなくなります』
『狂犬に首輪をつけようっていうのね。近づかないんじゃなくて、逃げる様になるのでしょ』
『そういう見方もあります。7個、お渡ししておきましょう、呪い除けと言っても強ち間違いではありませんよ』
『それは私が付けても割れない?』
『勿論』
『じゃあ最初からそれを渡してくれればいいのに・・・』
『目的が違うのですよ』
ネックレスは誰にどうやって渡すのか考えないとですね。
そして、私にかかった呪いという物の事については、私は気にしない事にした。
そもそもがどんな呪いかも分からない上、それによって不自由を感じていない以上に、この呪いのお陰で新たな呪いに怯える必要が無い。それはそれだけ強い呪いにかかっているからだ。
それは十分にメリットだと言えるでしょう。
ま、そういう事を教えてくれた分のお仕事くらいはしましょう、と言った感じに父の書斎に潜り込んだ。
父は不在だから、書斎の鍵をちょこちょこーっと針金で開けて──
「御開帳!」
いひひ。
ついでに報酬をちらっと見るくらい良いですよね?
だけど、片っ端から本棚を見て回るも、やはり『現役魔女年鑑』は見つからない。
その上、『世界錬金術大全』も見つからない。
「あのクソオヤジどこに隠した!」
おっと口がすべっちゃいました。
でも、その事は床に腰を落としてしまう程のショックだった。
あの本を覗き見る事が出来ると思ったのに、この高まったテンションをどうしてくれる。
引き出しの中を調べるのは危険だと思いつつ、一応確認する。
探してる本はサイズ的に引き出しに入らない。
なら、何があるのかと言えば分かりません。
開けてみてのお楽しみ。
いくつか紙の資料を取り出してペラペラと捲り、確認してゆくとそれはあった。
目的の物とは違うけど、現役魔女年鑑なんかよりも詳細に書かれた情報。
人数こそ少ないけど、その中の一人に注目をした。
クリスタという魔女は、特別な魔女だった。
複数人に呪いをかける事が出来るという特異性。
その呪いと言うのが、姿を変える呪い。
ただ、その呪いは同じ性別の別人になれるだけという事なので、妹にかけた呪いとは別。
この呪いによって別人になり得るのだから身を隠すのに好都合。
ようやく父の思惑が透けて見え始めた気がした。
その呪いによって誰が魔女か分からなくなり、全員殺すしかなかったのかも。
それにこの魔女の情報、これは魔女年鑑なんて必要とせず、独自に調査したものだと思う。
つまり、殺害対象はもう決まっている可能性が高く、その魔女について詳細に調べ上げている。
この時点で魔女除けのネックレスを渡すしか手がないと結論づけた。
そうなると誰に渡すのが正解なのか、と言う問題になる。
父は実働部隊ではないのだから除外するとして、やはり可能性は第一騎士団が高い。
どうやって渡すかは、いい案が出るまで考えてみようと思った。
──魔女と会いたい。
だが、その願い事は未だに叶わないでいた。
当の魔女が体を壊しており、会う事が難しいという。
聞けば以前仕えていた所で酷い虐待を受けていたらしく、その影響だと言うのだ。
薬代であれば、私が全て出すと言ったがそれは、それでも中々治るものではないらしい。
そして、以前本屋で出会った魔女についても考えねばならなかった。
魔女たちは命を狙われていると言う、それが私に関係する人物による犯行だと知らされた。
その答えは父でしかない。
あの、ブキャラン侯爵の一族を全員殺害し、それからは魔女を探し見つけ出しては殺害しているのだろう。
第一騎士団の人数は軍隊だけあって余りある程に居る。
それを使って、炙り出し、そして殺害して周っているだろう。
父であれば、一言、そういう命令をするだけで出来るのだ。
情報があればだけどね。
私が父に何かを言って聞いてもらえるだろうか。
それは考えるまでもなく、全く聞く耳を持たないと分かっている。
父が私の言う事を聞いてくれた事なんてない。
私は魔女たちに問うた。
『私に出来る事は何?何をすればいいの?説得しろとか言わないよね、それは無理な話よ』
魔女たちに、質問をぶつけるのは些か御門違いだった。
けれど、本当にわからないのだから、そうするしかない。
『現役魔女年鑑を手に入れたのは存じております、それを取り返して頂けないでしょうか。その情報を元に魔女が狩られると思われるのです、勿論、十分な額をお支払いします』
現役魔女年鑑を父も手に入れたと言う事であれば、納得が行く。
それが何処にあるのかは父の書斎、もしくは第一騎士団の誰かが持っている可能性が考えられた。
私はその事に協力しきれるかは分からないと答え、立ち去ろうとした。
『もし、取り返せないのであれば相手にこのネックレスを渡して頂けないでしょうか』
魔女が取り出したのは、少し大きめの瓶に入った筒状のアクセサリー。
中には液体が入っていて、アルコール漬けにも見えなくもない。
『それは?幸運のお守りには見えませんが』
『魔女避けですよ。乾いた状態ですと魔女が嫌う波長を発す様になります。自然に魔女は近づかなくなります』
『狂犬に首輪をつけようっていうのね。近づかないんじゃなくて、逃げる様になるのでしょ』
『そういう見方もあります。7個、お渡ししておきましょう、呪い除けと言っても強ち間違いではありませんよ』
『それは私が付けても割れない?』
『勿論』
『じゃあ最初からそれを渡してくれればいいのに・・・』
『目的が違うのですよ』
ネックレスは誰にどうやって渡すのか考えないとですね。
そして、私にかかった呪いという物の事については、私は気にしない事にした。
そもそもがどんな呪いかも分からない上、それによって不自由を感じていない以上に、この呪いのお陰で新たな呪いに怯える必要が無い。それはそれだけ強い呪いにかかっているからだ。
それは十分にメリットだと言えるでしょう。
ま、そういう事を教えてくれた分のお仕事くらいはしましょう、と言った感じに父の書斎に潜り込んだ。
父は不在だから、書斎の鍵をちょこちょこーっと針金で開けて──
「御開帳!」
いひひ。
ついでに報酬をちらっと見るくらい良いですよね?
だけど、片っ端から本棚を見て回るも、やはり『現役魔女年鑑』は見つからない。
その上、『世界錬金術大全』も見つからない。
「あのクソオヤジどこに隠した!」
おっと口がすべっちゃいました。
でも、その事は床に腰を落としてしまう程のショックだった。
あの本を覗き見る事が出来ると思ったのに、この高まったテンションをどうしてくれる。
引き出しの中を調べるのは危険だと思いつつ、一応確認する。
探してる本はサイズ的に引き出しに入らない。
なら、何があるのかと言えば分かりません。
開けてみてのお楽しみ。
いくつか紙の資料を取り出してペラペラと捲り、確認してゆくとそれはあった。
目的の物とは違うけど、現役魔女年鑑なんかよりも詳細に書かれた情報。
人数こそ少ないけど、その中の一人に注目をした。
クリスタという魔女は、特別な魔女だった。
複数人に呪いをかける事が出来るという特異性。
その呪いと言うのが、姿を変える呪い。
ただ、その呪いは同じ性別の別人になれるだけという事なので、妹にかけた呪いとは別。
この呪いによって別人になり得るのだから身を隠すのに好都合。
ようやく父の思惑が透けて見え始めた気がした。
その呪いによって誰が魔女か分からなくなり、全員殺すしかなかったのかも。
それにこの魔女の情報、これは魔女年鑑なんて必要とせず、独自に調査したものだと思う。
つまり、殺害対象はもう決まっている可能性が高く、その魔女について詳細に調べ上げている。
この時点で魔女除けのネックレスを渡すしか手がないと結論づけた。
そうなると誰に渡すのが正解なのか、と言う問題になる。
父は実働部隊ではないのだから除外するとして、やはり可能性は第一騎士団が高い。
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