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1.アバークロンビー家
1-5.
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俺には心残りがある。
前世の俺の娘だ。
しっかりした娘で俺が勇者パーティーへの参加となり、中々帰れないと知っても文句の一つも言わず送り出してくれた。
しかも俺は出先で死んでしまうなんて、なんて娘不幸な親なんだ。
妻とは死別しているし、身寄りが無くなっただけに心配でならないのだ。
俺が出向いて「パパだよ、一緒に公爵家で住もう!」なんて言っても信じてもらえないだろう。
同年代の女の子がそんな事を言い出せば脳みそに寄生魔物が湧いてるのかと怪訝な顔をされるだけだ。
下手すりゃ誘拐犯扱いだな。
困った。
困ったポイント1.せめて様子を伺いたい。
ワイバーン便の兄ちゃんを捕まえて竜騎士団に連絡を取れば、連れてってくれはするだろう。
もしくは竜騎士団の連中に頼むか、だな。
困ったポイント2.できたらお金を送りたい。
これが問題だ、まず俺には自由にできるお金はない。
それこそ自力で稼ぐか、今の父親に出させるかだ。
んー、俺は娘なんだし言ってみるか?いや、ここはグレッグに経由の方がいいか?
困ったポイント3.可能なら一緒に暮らしたい。
このポイントの難儀な所は、俺はここに長居する気がないと言う事だ。
さらに言えば、娘に不信感を抱かれないように、女らしくしないといけないという点か。
後者の方が辛いな。
うだうだ考えるのは俺らしくない、まず2をクリアすべきだ。
「爺や、俺が自由にできる金はあるか?」
「ございますぞ、月500ゴールドのお小遣いが──」
「500ゴールドだとおおお!?」
「それがどうかなさいましたか?」
「ああいや、なんでもない」
俺の給料の何十倍なんだ!いやいや、考えるのはよそう、空しくなる。
貴族様なんだから、俺らと次元が違って当たり前か。
「あ、お嬢様、こんな所に何か御用でも……お嬢様?」
その大金をまるまる送るなんて娘の教育にも良く無いし、何よりそんな大金を持つ事自体が危険だ。
「お嬢様が厨房に……なにかあるのしら!?」
平民の金銭感覚で言えば、月1ゴールドもあれば毎日外食して飲みまくってもおつりがくる。
「ものすごい慣れた手さばきだ、コック長の私もびっくり!」
10ゴールドもあれば屋敷が買えるぞ。まぁ買わないけどな。
ふと気が付けば、周りをメイドに囲まれていた。
頭にはいつの間にか布巾を被ってるし、可愛いエプロンも付けて、パウンドケーキを焼いてるオーブンの前に座り込んでいた。
俺は一体、何をしていたのだ?
「これは……?」
「お嬢様、やっとお目覚めに、ずっと上の空で黙々とパウンドケーキを作っていたのです」
「するとこれは俺が作った物か」
「そうですよ、料理もされるのですね、驚きました」
そして『ビービー』という音がする。
どうやら焼き上がりタイマーまでセットしていたらしい。
オーブンから取り出すと、甘く美味しそうな匂いが厨房全体に広がった。
「せっかくだから、みんなで食おう。メイド長のデライラ、切り分け頼んでいいか」
「承知しました」
メイドの人数は結構多いからか、一人当たりは随分小さくなってしまった。
まぁいいかと思い、食べるがいつもの味だった。
娘の為によく作った物だが、それを無意識にやってしまうあたり流石俺だな。
「美味しいですわ」
「ええ、これはなかなか」
「そうか、良かった、今度レシピを書いておくよ」
「ありがとうございます」
そうして、その日は娘の対応を決めれないまま終わってしまった。
*
「カロリーナ、そこに座りなさい」
「父よ、既に座ってるぞ」
「そうか、今日、厨房でパウンドケーキを作ったそうだな」
「そのようだな」
「どうしてパパにも分けてくれなかったんだ?」
「メイドがいっぱい居たからだろうな」
「次から、1番にパパに食べさせなさい。これは命令だ」
「それはいいのだが、条件がある」
「ほう、何かね、言ってみたまえ」
にやりと口角を上げ、俺は一つの条件を出した。
前世の俺の娘だ。
しっかりした娘で俺が勇者パーティーへの参加となり、中々帰れないと知っても文句の一つも言わず送り出してくれた。
しかも俺は出先で死んでしまうなんて、なんて娘不幸な親なんだ。
妻とは死別しているし、身寄りが無くなっただけに心配でならないのだ。
俺が出向いて「パパだよ、一緒に公爵家で住もう!」なんて言っても信じてもらえないだろう。
同年代の女の子がそんな事を言い出せば脳みそに寄生魔物が湧いてるのかと怪訝な顔をされるだけだ。
下手すりゃ誘拐犯扱いだな。
困った。
困ったポイント1.せめて様子を伺いたい。
ワイバーン便の兄ちゃんを捕まえて竜騎士団に連絡を取れば、連れてってくれはするだろう。
もしくは竜騎士団の連中に頼むか、だな。
困ったポイント2.できたらお金を送りたい。
これが問題だ、まず俺には自由にできるお金はない。
それこそ自力で稼ぐか、今の父親に出させるかだ。
んー、俺は娘なんだし言ってみるか?いや、ここはグレッグに経由の方がいいか?
困ったポイント3.可能なら一緒に暮らしたい。
このポイントの難儀な所は、俺はここに長居する気がないと言う事だ。
さらに言えば、娘に不信感を抱かれないように、女らしくしないといけないという点か。
後者の方が辛いな。
うだうだ考えるのは俺らしくない、まず2をクリアすべきだ。
「爺や、俺が自由にできる金はあるか?」
「ございますぞ、月500ゴールドのお小遣いが──」
「500ゴールドだとおおお!?」
「それがどうかなさいましたか?」
「ああいや、なんでもない」
俺の給料の何十倍なんだ!いやいや、考えるのはよそう、空しくなる。
貴族様なんだから、俺らと次元が違って当たり前か。
「あ、お嬢様、こんな所に何か御用でも……お嬢様?」
その大金をまるまる送るなんて娘の教育にも良く無いし、何よりそんな大金を持つ事自体が危険だ。
「お嬢様が厨房に……なにかあるのしら!?」
平民の金銭感覚で言えば、月1ゴールドもあれば毎日外食して飲みまくってもおつりがくる。
「ものすごい慣れた手さばきだ、コック長の私もびっくり!」
10ゴールドもあれば屋敷が買えるぞ。まぁ買わないけどな。
ふと気が付けば、周りをメイドに囲まれていた。
頭にはいつの間にか布巾を被ってるし、可愛いエプロンも付けて、パウンドケーキを焼いてるオーブンの前に座り込んでいた。
俺は一体、何をしていたのだ?
「これは……?」
「お嬢様、やっとお目覚めに、ずっと上の空で黙々とパウンドケーキを作っていたのです」
「するとこれは俺が作った物か」
「そうですよ、料理もされるのですね、驚きました」
そして『ビービー』という音がする。
どうやら焼き上がりタイマーまでセットしていたらしい。
オーブンから取り出すと、甘く美味しそうな匂いが厨房全体に広がった。
「せっかくだから、みんなで食おう。メイド長のデライラ、切り分け頼んでいいか」
「承知しました」
メイドの人数は結構多いからか、一人当たりは随分小さくなってしまった。
まぁいいかと思い、食べるがいつもの味だった。
娘の為によく作った物だが、それを無意識にやってしまうあたり流石俺だな。
「美味しいですわ」
「ええ、これはなかなか」
「そうか、良かった、今度レシピを書いておくよ」
「ありがとうございます」
そうして、その日は娘の対応を決めれないまま終わってしまった。
*
「カロリーナ、そこに座りなさい」
「父よ、既に座ってるぞ」
「そうか、今日、厨房でパウンドケーキを作ったそうだな」
「そのようだな」
「どうしてパパにも分けてくれなかったんだ?」
「メイドがいっぱい居たからだろうな」
「次から、1番にパパに食べさせなさい。これは命令だ」
「それはいいのだが、条件がある」
「ほう、何かね、言ってみたまえ」
にやりと口角を上げ、俺は一つの条件を出した。
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