ドラゴニック・ブラッド ~竜騎士だった俺の転生先は死んだ公爵令嬢だった。令嬢なんて面倒くせえ!勝手気ままに生きてやる!~

なのの

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3.王宮

3-14.謁見室にて

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 王宮に行くと、廊下にやつれた顔の令嬢が歩いていた。
 そのやつれ様を見て、なんとなく察してしまった。

「兄よ、もしかしてあれが…」
「ああ、王太子の婚約者、セシリア・マルティネス、ウォートン侯爵令嬢だ」

 俺はその令嬢の横に立った。
 1歳差のハズなのに、見上げる程の身長に差が出来ている。

「よう、ねーちゃん」
「カロリーナ………」
「ん、俺の事を知ってるのか」
「知ってるもなにも……、まぁいいわ。貴女の思い通り婚約は破棄されるわ。おめでとう。王太子殿下に乗り換えればいいわ」
「どうしてそんな話になるんだ?俺は王太子殿下に興味はないぞ」

 その一言に酷く動揺し、勢いよく振り返ると彼女の大きなポニーテールが綺麗な弧を描いた。

「あんなに熱烈なアプローチしときなが──」

 べっちーんっ!

「いてて」

 彼女のポニーテールが勢い余って俺の顔面に直撃した。

「ああああ、申し訳ありません」

 コイツ、もしかして…。
 その時になって兄が間に入って俺を彼女から守ろうとしたのだが…。

「申し訳ありません、申し訳ありません」

 何度も謝る彼女に兄も油断してしまった。
 少なくとも、俺には悪気があるようには見えなかった。

 べちーんっ

 何度も頭を下げて謝る彼女のポニーテールが、兄にぶつかった。
 兄は無言でズレた眼鏡の位置を調整する。

 そこで俺は確信した、間違いないだろう。

「精霊よ、異常を見つけ我に知らせよ『サーチカース』!」

 やはりだった。

「なぁ、セシリアはその髪飾り、誰から貰ったんだ?」
「えっと、王太子殿下ですわね」
「まじか……。それ呪われてるぞ。周りに不幸を振りまいてる。もしかするとそれ以上の効果があるやもしれん」
「嘘でしょ……、王太子殿下のプレゼントってのが悔しいんでしょ!」
「そうじゃねえ、ちゃんと教会で解呪して貰えって言ってんだよ!」
「いやよ!いやよ!」

 もはや聞く耳をもちゃしねえ。
 ブンブンと左右に頭を振るせいで、ポニテの先が右から左から攻撃してくる。
 ポニテの先っちょに重しを着けていて、より一層攻撃力が増してる様だ。
 いや、まぁ、当たってもたいして痛くはない。
 ちょっと精神的ダメージが蓄積するだけだ。
 これが呪いのせいだとしたら、軽い嫌がらせ程度。
 実はコイツが素でドジなんじゃないか?なんて疑いたくもなる。

「ええいっ、せめてポニテだけはやめろ!ちょっとしゃがめ!」
「こう、ですか」
「そうだ、髪を纏めるぞ」

 ポニーテールを崩し取り出した櫛で整え、三等分にし両サイドの束をまとめ間を開き、くるっと毛先を中に入れ込んだ。
 再び三等分にし、三つの三つ編み作り中にいれこんでいって纏めてやった。
 お団子の特殊なタイプだ。
 娘が時々喜んでいたのを思い出しならやってみた。
 すると、兄が最初に感想を漏らす。

「ほぅ、可愛いじゃないか」
「か、かわっ、やだっ、わたくしを照れさせてどうする気なのよ!」
「いや、何もするつもりはありませんよ」

 とりあえず、髪の毛が攻撃的になる事は無くなった。
 というか、髪飾りを髪に触れさせていなければ発動しないらしい?

「これ、髪飾りな。次使う時は解呪してからにしろよ」
「はぁ……」

 *

「所で、俺、あんま記憶ねーんだけど、アンタとはどんな仲だったんだ?」
「ライバルですわ、何事も競い合ってたって感じの」
「そうか、まぁそういう関係は何物にも代えがたいものがあるな。今はどうかしらんが、後になっていい思い出になるだろうさ」
「そうかしら」
「それに、王太子殿下は婚約破棄しねーよ、たぶんだが」
「いいえ、婚約破棄するのは、わたくしの方からですわ」
「そりゃなんでだ?」
「知ってるでしょ。父がクーデターに加担してたって事」
「じゃあ、家を出ればいいじゃねえか」
「わたくしに、平民になれと!?というか、もう、そうなってますわ。いまさら……」
「いや、平民にはしない。だが家を出る覚悟をしろ。俺に考えがあるから任せろって」
「はぁ……」
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