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5.モルバーン学園(一年生編)
5-1.入学式にて
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入学式とは、人生の切り替わりの瞬間であり、人生の終わりが始まった瞬間でもある──
王妃様に頂いた制服の袖に腕を通し、リボンを締めて気合を入れた。
カロリーナ・アバークロンビーは、これよりモルバーン学園への入学式に参加する。
俺の身長は130cmと、以前と変わらず伸びなかった。
周りの身長と言えば、158cmが平均値で明らかな身長差があった。
そしてここに通うは全員が貴族。
前世の俺なら絶対近寄りたくない領域だ。
入学式にあたり、俺は一般生徒と同じ列には並んでいなかった。
舞台の上に用意された席に座り、成績優秀者として新入生代表を務める羽目になっていた。
校長の長い挨拶が終わり、俺の出番となった。
だが、俺が立ち上がると、会場が一斉に騒めいた。
この場には王太子が居ると言うのに、それを差し置いて新入生代表をこんなチビが行うと言うのだ、文句も言いたくなるだろう。
周りの声はまるで俺を異端と捉えている様だった。
「あの子供はなんだ?」
「3年飛び級だってよ、それで成績トップ入学ってどうなってるんだ」
「ははぁ、さては金の力だな、聞けば公爵家の者だと言うではないか」
「金が余ってる上級貴族は良いよな~」
「知ってたか?王太子の婚約者らしいぞ」
「まじか有り得ねえ。汚い、流石公爵家、汚い!」
こっちだって好きで婚約者になった訳じゃないんだ。
この在学中に王太子と誰かとくっつけて別れる予定なんだから、放って置いて欲しい。
そんなのノイズを払いのけ、俺は挨拶を述べた。
「あーあー、本日はこのような盛大な入学式を開いて頂き───」
テンプレートの挨拶にぱらぱらと拍手が起こり、そして次の挨拶が始まる。
いやさ、何で俺が成績優秀者なんだよ。
貴族学校と言うだけあって入試で落とされる者は殆ど居ないと言われていた。
形式的な試験と実技が行われるだけだ。
その模擬戦でこの国の騎士団長とやらを、やっつけてしまったのがケチの始まりだった。
魔法実技では今まで攻撃魔法を撃てた事が無いのに、それが撃ててしまった上に試験会場が半壊。
筆記では満点を連発という、常軌を逸した成績を収めてしまったのだ。
そもそも前世で攻撃魔法を撃てなかった俺が、魔法を撃てた事自体が奇跡だった。
ただその点の才能はこの体の持ち主の才能だと考えれば納得が行く。
筆記もそうだ。
自室の壁に敷き詰められた蔵書の山もパラパラみるだけで、頭に入って来る。
それはこの体の持ち主の才能だったんだろう。
俺はその才能をちょっと借りてるに過ぎない。
さて、入学式も終わり、セシリアが声を掛けて来た。
あべこべな話だが、一つ年上のセシリアは再来年入学となる。
だから、俺の付き人として付いて来たのだが、ついでに寮では同部屋にされた。
彼女にしてみれば父親や弟の2人を相手にするよりも、俺を世話してる方が気が楽だと言う話らしい。
男子寮には2年となる、兄、ブレイクが居る。
そして当然と言えば当然だが、去年、俺を玩具にして楽しんでいた兄の学友の女子達もこの寮生だ。
バタバタバタッと廊下を走る音がすると思えば、10人以上の女生徒が挨拶に来た。
全員が見覚えがある。件の兄の学友共だ。
「「「カロリーナちゃん、入学おめでとう!」」」
同学年と比べて温度差があるのは異常だと思いつつも、そう言われて嬉しくない訳ではない。
「お姉様方、よろしくお願いします」
笑顔で返すと、わーと皆が喜ぶ。
その大半は『こんな妹が欲しかった』と言う声。
それほどまでに、兄がモテているのだ。
ある意味、有難い話だ。
その恩恵は、同学年に及ぶ。
上級生が贔屓にしている子を、同学年で表立って苛める事は出来なかったのだ。
むしろ、関わらない方がいいと思われたのだろう。
そんな訳で、俺は授業初日から孤立していた。
「それで、カロリーナちゃん、お友達は出来た?」
先輩からの何気ない質問に俺は特に飾る事をせずにありのままを答える。
「それでしたら、私の妹を紹介しますわ、たしか同じクラスだったハズですから」
そう言って一人の女子を連れてきた。
気弱そうで大人しそうな見た目のレイラ・エヴァンズはゼランド侯爵の次女にあたる。
先輩方が見守る中、レイラは緊張で緊張で硬くなりつつも挨拶した。
「よ、よろしく・・・お願いします」
「レイラって呼んでも宜しいですか?よろしくね。私の事はリーナと呼んでください」
「はい、よろしく、リーナ」
頼りないけど、同学年って事は3つ上なんだよな。
おどおどする仕草から、中身はまるで子供じゃないかと思ってしまった。
*
「レイラは迷宮は好きか」
「いえ、あのような所、貴族の行く所ではありませんよね」
「じゃあ、剣技は何を使える?」
「いえ、その様な物は騎士団でないと使わないですよね」
「・・・そうか・・・年頃の娘って難しいな」
「?」
趣味が噛み合わない・・・。
王妃様に頂いた制服の袖に腕を通し、リボンを締めて気合を入れた。
カロリーナ・アバークロンビーは、これよりモルバーン学園への入学式に参加する。
俺の身長は130cmと、以前と変わらず伸びなかった。
周りの身長と言えば、158cmが平均値で明らかな身長差があった。
そしてここに通うは全員が貴族。
前世の俺なら絶対近寄りたくない領域だ。
入学式にあたり、俺は一般生徒と同じ列には並んでいなかった。
舞台の上に用意された席に座り、成績優秀者として新入生代表を務める羽目になっていた。
校長の長い挨拶が終わり、俺の出番となった。
だが、俺が立ち上がると、会場が一斉に騒めいた。
この場には王太子が居ると言うのに、それを差し置いて新入生代表をこんなチビが行うと言うのだ、文句も言いたくなるだろう。
周りの声はまるで俺を異端と捉えている様だった。
「あの子供はなんだ?」
「3年飛び級だってよ、それで成績トップ入学ってどうなってるんだ」
「ははぁ、さては金の力だな、聞けば公爵家の者だと言うではないか」
「金が余ってる上級貴族は良いよな~」
「知ってたか?王太子の婚約者らしいぞ」
「まじか有り得ねえ。汚い、流石公爵家、汚い!」
こっちだって好きで婚約者になった訳じゃないんだ。
この在学中に王太子と誰かとくっつけて別れる予定なんだから、放って置いて欲しい。
そんなのノイズを払いのけ、俺は挨拶を述べた。
「あーあー、本日はこのような盛大な入学式を開いて頂き───」
テンプレートの挨拶にぱらぱらと拍手が起こり、そして次の挨拶が始まる。
いやさ、何で俺が成績優秀者なんだよ。
貴族学校と言うだけあって入試で落とされる者は殆ど居ないと言われていた。
形式的な試験と実技が行われるだけだ。
その模擬戦でこの国の騎士団長とやらを、やっつけてしまったのがケチの始まりだった。
魔法実技では今まで攻撃魔法を撃てた事が無いのに、それが撃ててしまった上に試験会場が半壊。
筆記では満点を連発という、常軌を逸した成績を収めてしまったのだ。
そもそも前世で攻撃魔法を撃てなかった俺が、魔法を撃てた事自体が奇跡だった。
ただその点の才能はこの体の持ち主の才能だと考えれば納得が行く。
筆記もそうだ。
自室の壁に敷き詰められた蔵書の山もパラパラみるだけで、頭に入って来る。
それはこの体の持ち主の才能だったんだろう。
俺はその才能をちょっと借りてるに過ぎない。
さて、入学式も終わり、セシリアが声を掛けて来た。
あべこべな話だが、一つ年上のセシリアは再来年入学となる。
だから、俺の付き人として付いて来たのだが、ついでに寮では同部屋にされた。
彼女にしてみれば父親や弟の2人を相手にするよりも、俺を世話してる方が気が楽だと言う話らしい。
男子寮には2年となる、兄、ブレイクが居る。
そして当然と言えば当然だが、去年、俺を玩具にして楽しんでいた兄の学友の女子達もこの寮生だ。
バタバタバタッと廊下を走る音がすると思えば、10人以上の女生徒が挨拶に来た。
全員が見覚えがある。件の兄の学友共だ。
「「「カロリーナちゃん、入学おめでとう!」」」
同学年と比べて温度差があるのは異常だと思いつつも、そう言われて嬉しくない訳ではない。
「お姉様方、よろしくお願いします」
笑顔で返すと、わーと皆が喜ぶ。
その大半は『こんな妹が欲しかった』と言う声。
それほどまでに、兄がモテているのだ。
ある意味、有難い話だ。
その恩恵は、同学年に及ぶ。
上級生が贔屓にしている子を、同学年で表立って苛める事は出来なかったのだ。
むしろ、関わらない方がいいと思われたのだろう。
そんな訳で、俺は授業初日から孤立していた。
「それで、カロリーナちゃん、お友達は出来た?」
先輩からの何気ない質問に俺は特に飾る事をせずにありのままを答える。
「それでしたら、私の妹を紹介しますわ、たしか同じクラスだったハズですから」
そう言って一人の女子を連れてきた。
気弱そうで大人しそうな見た目のレイラ・エヴァンズはゼランド侯爵の次女にあたる。
先輩方が見守る中、レイラは緊張で緊張で硬くなりつつも挨拶した。
「よ、よろしく・・・お願いします」
「レイラって呼んでも宜しいですか?よろしくね。私の事はリーナと呼んでください」
「はい、よろしく、リーナ」
頼りないけど、同学年って事は3つ上なんだよな。
おどおどする仕草から、中身はまるで子供じゃないかと思ってしまった。
*
「レイラは迷宮は好きか」
「いえ、あのような所、貴族の行く所ではありませんよね」
「じゃあ、剣技は何を使える?」
「いえ、その様な物は騎士団でないと使わないですよね」
「・・・そうか・・・年頃の娘って難しいな」
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