ドラゴニック・ブラッド ~竜騎士だった俺の転生先は死んだ公爵令嬢だった。令嬢なんて面倒くせえ!勝手気ままに生きてやる!~

なのの

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5.モルバーン学園(一年生編)

5-4.

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 早朝のランニング中にダグラス・ブライアント(生徒会会計)と出会った。

 彼の言うには適度な運動と規律正しい生活は頭脳の巡りを良くするらしい。
 如何にも事務向きと思ってたが、早朝のランニングが日課だと言う事に少し認識を改める必要があった。
 聞けば魔法使いの家系で、魔法使いにも基礎体力が必要だという、なんとも素晴らしい考えだ。

「カロリーナ君もランニングですか」
「体が鈍らない様にしたいのですが、ここでは碌なトレーニング方法がないのは少し残念ですね。せめて魔獣蔓延る森でも近くにあればいいのですが、王都にそんな物がある訳がないですね」
「冒険がしたいって事か?」
「有体に言えば」
「たしか、ルグランジ地下迷宮を攻略したのだったか?」
「いえ、それは途中までです」
「そうか、今度武器を持って来るがいい、良い所に連れて行ってやろう」
「武器ならありますよ」
「ほう?」

 *

 ところ変わって、元大きなお屋敷の入り口に俺達は来た。
 元と言うだけあって、今では完全な廃墟だ。
 その廃墟が結界に封じられ、外からは何も出れない状態にある。
 そこに入ると、何もない様に思えるのだが、ダグラスは地下に向かう階段を降り始める。

「ここはなんなのでしょうか」
「ふ、君の大好きなダンジョンだよ」
「!?」
「ここは以前はどこかの貴族の屋敷だったのだが、何を考えたのかダンジョンの生成魔法を練成してしまったらしい、それで溢れた魔物によって廃墟になった、単純にそれだけの場所だよ」
「まって、ダンジョンの生成魔法なんてあるのですか、そんなの聞いた事ないですよ」
「さあね、それは本当に魔法だったか、もしかすると自然発生したのか分からない、ただ、そういう儀式の跡があったと言うだけで、当人が死んでしまった以上、それ以上の事は何も分からないのさ」
「・・・世の中には、変わった事をする人がいるのですね」
「君が言うかね。さて、そろそろ武器を用意しておいてくれないか」

 ダグラスは、まるで体内から取り出すかの様に杖を抜いた。
 俺もセブンフェイスを手ごろなサイズにして取り出すと、ダグラスは軽い口笛を吹いた。

 階段を降りてすぐ、視界が切り替わり、周りは大自然の洞窟へと変貌した。
 ダグラスは照明魔法を唱え、灯玉を召喚する。
 そして注意を促した。

「ここはルグランジ地下迷宮とは違い、リールなんて物はないからな、命乞いする暇があれば逃げるんだ」
「もし、命乞いするような状況に陥るならそれまでの命、潔く散って見せます」
「馬鹿言うな、物によってはお前を糧にするんだよ。または苗床かね」
「・・・そんなに狂暴なのが?」
「まぁ、それほどの敵は少し深く潜らねば出ないだろうがね、君の事だ、強い敵を求め、どんどん奥に行くのだろう」
「そうですね、迷宮のボスクラスが居れば丁度良い感じです」

 そんな話をしていると、敵らしき者と遭遇する。
 コボルトレンジャーが五体。
 彼らは敏捷性に長け、鋭い爪で攻撃する。
 だが、今更な敵だ。

 俺は剣を揺らす。
 ゆらゆらと流れゆく剣先は触れてもないコボルトを切り刻む。
 この体に慣れて来たのか、これは今までとは異なる戦い方だ。
 魔力で作った極細で強度の高い糸を剣先から出して相手に纏わりつかせる。
 それは魔操糸術と言い、本来なら指先から糸を出す物らしい。
 ただ、俺にとっては剣先から出す方が操りやすかった、ただそれだけの話だ。

「ほう、魔操糸術ですか、最早剣舞にしか見えないと言うのに、なんとも恐ろしい技ですね」
「油断してると危ないですよ」
「成程、令嬢らしい優雅・・な戦い方だ」

 いや、覚えたの最近だけどな。
 それも馬鹿げた理由で編み出した物だ。

「次はダグラス様が倒しますか?」
「そうしよう、丁度、次の崖の下に居る、アイツらをしとめるか」
「ふーん・・・、アサルトワーム・・・?」
「そうだ、接近困難で遠隔攻撃する面倒な奴だ、だが頭上を取っている以上、僕が負ける事はあり得ない」

 そういうと同時に『オイルシャワー』を唱えた。
 それで降り注ぐは油の雨。
 そうなると次の魔法は炎系以外にはあり得ない。
 そして想像通り『ファイアーボム』を唱え、崖下は地獄絵図と豹変する。

「短縮詠唱ですか、最早掛け声でしかないですね、それ程の熟練度に達したという事ですね」
「良く知ってるじゃないか、君の所も魔法使いの家系・・・ではないな」

 魔法使いの家系は剣を持つ事を固く禁じている。
 そんな物を扱う暇があれば、少しでも魔術の鍛錬を行えという家訓だそうだ。

「ええ、高位メイジに知り合いがいるもので」
「何!もし、よかったらその方の名前を教えて頂けないだろうか」
「いいですよ、アルヴィンと言うのですが」
「アルヴィン様だと!そんな方と、お、お、お、お知り合いとはどうやって知り合ったのかね、いやいや、そんな事より僕にも紹介してもらえないだろうか!頼む、一生のお願いだ!」
「いいですけど・・・そんなに会いたいですか?」
「あ・・・こほん、すまない取り乱した。勿論会いたい。魔法使いの頂点だからね。常日頃、アルヴィン様の著書は枕の下に敷いて寝る程だ」
「ははは、伝えておきます、今は大図書館に入る筈なので」
「ありがとう・・・ありがとう・・・君とは真の親友になれそうだよ、半年で生徒会引退と考えると口惜しい」

 *

「そうだ!僕も留年すれば、あと一年は同じ学校に通える訳だ!なんて名案がっ・・・痛いじゃないか」
「何馬鹿な事を言っているのですか」
「だって、君みたいなかけがえのない親友が出来ると言うのに!」
「別に卒業してからでも、アルヴィン様と会いに行くくらい付き合いますよ」
「本当かね!」

 地頭が良い奴は、どこかがおかしいと言うが、コイツは何とも分かりやすいな。
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