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5.モルバーン学園(一年生編)
5-18.
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吸血鬼になりたい。
それ程までに血が足りていない。
立ち上がる事すら億劫で、何もする気が起きない。
ついでに碌に力が入らないから、筋トレもする気が起きない。
もはや、思考すらも重症と言えよう。
それにしても───
「オルドリッジ様の魔法、カッコ良かったなぁ・・・」
うっかり口に出してしまった独り言。
同室のセシリアが聞き逃す筈もなく。
「え、カロリーナ様はオルドリッジ様の事が好きなのですか?」
「ちがう、そんな事ないって!」
「ムキになる所が怪しいですね、気にはなっているのでしょう?」
「気にはというか・・・、そうだな、仲間になれば頼もしいとは思う」
「はぁ・・・それって、好きって事なのではなくて?」
「好ましくは思っている。と、言う程度だよ」
セシリアは俺の言っている事をまるで信じていないかの様だった。
結局、俺自身は根が男なのだから、男を好きになること自体異常なのだ。
それとも、俺の精神がこの体に引き摺られ、徐々に女になろうとしているとでも言うのだろうか。
そう言えば、胸も膨らんできているし、体は少なくとも女になろうとはしている。
まぁ、微々たる膨らみ方だが。
とりあえず、今は、誰かに抱かれるとか結婚するとか現実感は全くないのだ。
そういう意味で婚約はただの雇用契約のような物だ。
アレグサンダーの件は、罰こそ与えられるが王太子である事や婚約者の関係は維持したままとなった。
流石に今、斬られた記憶が生々しくて今は会いたくないと面会を断っている。
いっそのこと、セシリアとの婚約関係を復活してくれれば俺としても気が楽なのだが、現状でセシリアを推すには危険人物を押し付ける様で気が進まない。
実際、呪いの品々の流通元を抑えるまでは、俺ですら安心できないのだ。
「セシリアは実はまだ、アレグサンダーの事が好きなんじゃないか?」
「それは私にアレグサンダー様を譲って、オルドリッジ様に乗り換えたいと言う事ですか?」
「だからどうしてオルドリッジ様が出てくるんだ」
「私から見れば悪くない相手だと思いますよ」
「そうなのか?彼の出自を知らないのだが、そこの所どうなのだ」
「それは当人から直接聞いた方が良いですよ」
「まさか、ウエスター侯爵の関係者とか言わないよな?」
「違いますよ、どこからウエスター侯爵が出てくるのですか?」
「いや、ちょっときな臭いんだよ、王弟、ウエスター侯爵が」
しばらくして、部屋に尋ねてくる者が居た。
フラヴィア様とオルドリッジ様だ。
女子寮に男子が入る事は禁止されているが、生徒会役員の女子が同行すれば問題ないらしい。
オルドリッジ様は軽い挨拶をして、すぐに核心の話を始める。
「君はこんな目に遭っても婚約を続けたいか」
「その問いに答える権利は私にはありません。親が決めた事ですからね。私自身は婚約自体に固執していません」
「そうか、強いんだな、君は」
「実は学内で噂が流れ始めているのだ」
「どの様な噂ですか?」
「一つはこんな目に遭っても王太子の婚約者に拘っているというもの、二つ目は逃げる様に婚約を破棄したというもの」
「逃げるも進むも角が立つ感じですか」
「今回、目撃者が多すぎるからな」
「それで、私は生徒会のメンバーから除外される感じですか?」
「いや、それは現状のままで構わない。今考えているのは、アレグサンダー君の処遇だ」
「殿下は操られているだけ、というのは理解しているのでしょう?」
「それは勿論だ。その上で彼の方から辞退してきたのだから、考えざるを得ないのだよ」
「責任を感じているのですね」
「それは兎も角、もし、力が戻ってもしばらく力がない振りをした方が良い」
「それは、敵の目を欺くため・・・ですか」
「そういう事だ。どうやら先日の誘拐事件も、今回の殺人未遂も君にターゲットを置いていたみたいでな、君を利用して、殿下の立場を悪くしようと言う魂胆が見え隠れしている・・・いや、隠れてないか」
「隠れていませんね」
そういう話を真面目に言う姿は、俺の事を心配しているのが分かった。
それはとても有難い話だ。
何せ俺には味方が少ない。
学校に出ればセシリアはいないし、同学年での味方なんてカレンくらいだ。
二年になれば兄を慕う女子は味方になってくれるが、三年になると逆に敵視している人が多い。
その三年の敵視の理由はこの生徒会長にあるのだ。
*
「まだ、熱があるんじゃないか?顔が赤いぞ」
「さり気なくおでこを触るなっ!熱なんてない!」
「いや、十分熱かった。気を付けた方がいい。斬りつけた剣に毒が塗ってたくらいだからな」
「そうか・・・今の体調不良はそのせいか」
「それは分からない。なんせ、普通なら死んでいる毒だったから」
それ程までに血が足りていない。
立ち上がる事すら億劫で、何もする気が起きない。
ついでに碌に力が入らないから、筋トレもする気が起きない。
もはや、思考すらも重症と言えよう。
それにしても───
「オルドリッジ様の魔法、カッコ良かったなぁ・・・」
うっかり口に出してしまった独り言。
同室のセシリアが聞き逃す筈もなく。
「え、カロリーナ様はオルドリッジ様の事が好きなのですか?」
「ちがう、そんな事ないって!」
「ムキになる所が怪しいですね、気にはなっているのでしょう?」
「気にはというか・・・、そうだな、仲間になれば頼もしいとは思う」
「はぁ・・・それって、好きって事なのではなくて?」
「好ましくは思っている。と、言う程度だよ」
セシリアは俺の言っている事をまるで信じていないかの様だった。
結局、俺自身は根が男なのだから、男を好きになること自体異常なのだ。
それとも、俺の精神がこの体に引き摺られ、徐々に女になろうとしているとでも言うのだろうか。
そう言えば、胸も膨らんできているし、体は少なくとも女になろうとはしている。
まぁ、微々たる膨らみ方だが。
とりあえず、今は、誰かに抱かれるとか結婚するとか現実感は全くないのだ。
そういう意味で婚約はただの雇用契約のような物だ。
アレグサンダーの件は、罰こそ与えられるが王太子である事や婚約者の関係は維持したままとなった。
流石に今、斬られた記憶が生々しくて今は会いたくないと面会を断っている。
いっそのこと、セシリアとの婚約関係を復活してくれれば俺としても気が楽なのだが、現状でセシリアを推すには危険人物を押し付ける様で気が進まない。
実際、呪いの品々の流通元を抑えるまでは、俺ですら安心できないのだ。
「セシリアは実はまだ、アレグサンダーの事が好きなんじゃないか?」
「それは私にアレグサンダー様を譲って、オルドリッジ様に乗り換えたいと言う事ですか?」
「だからどうしてオルドリッジ様が出てくるんだ」
「私から見れば悪くない相手だと思いますよ」
「そうなのか?彼の出自を知らないのだが、そこの所どうなのだ」
「それは当人から直接聞いた方が良いですよ」
「まさか、ウエスター侯爵の関係者とか言わないよな?」
「違いますよ、どこからウエスター侯爵が出てくるのですか?」
「いや、ちょっときな臭いんだよ、王弟、ウエスター侯爵が」
しばらくして、部屋に尋ねてくる者が居た。
フラヴィア様とオルドリッジ様だ。
女子寮に男子が入る事は禁止されているが、生徒会役員の女子が同行すれば問題ないらしい。
オルドリッジ様は軽い挨拶をして、すぐに核心の話を始める。
「君はこんな目に遭っても婚約を続けたいか」
「その問いに答える権利は私にはありません。親が決めた事ですからね。私自身は婚約自体に固執していません」
「そうか、強いんだな、君は」
「実は学内で噂が流れ始めているのだ」
「どの様な噂ですか?」
「一つはこんな目に遭っても王太子の婚約者に拘っているというもの、二つ目は逃げる様に婚約を破棄したというもの」
「逃げるも進むも角が立つ感じですか」
「今回、目撃者が多すぎるからな」
「それで、私は生徒会のメンバーから除外される感じですか?」
「いや、それは現状のままで構わない。今考えているのは、アレグサンダー君の処遇だ」
「殿下は操られているだけ、というのは理解しているのでしょう?」
「それは勿論だ。その上で彼の方から辞退してきたのだから、考えざるを得ないのだよ」
「責任を感じているのですね」
「それは兎も角、もし、力が戻ってもしばらく力がない振りをした方が良い」
「それは、敵の目を欺くため・・・ですか」
「そういう事だ。どうやら先日の誘拐事件も、今回の殺人未遂も君にターゲットを置いていたみたいでな、君を利用して、殿下の立場を悪くしようと言う魂胆が見え隠れしている・・・いや、隠れてないか」
「隠れていませんね」
そういう話を真面目に言う姿は、俺の事を心配しているのが分かった。
それはとても有難い話だ。
何せ俺には味方が少ない。
学校に出ればセシリアはいないし、同学年での味方なんてカレンくらいだ。
二年になれば兄を慕う女子は味方になってくれるが、三年になると逆に敵視している人が多い。
その三年の敵視の理由はこの生徒会長にあるのだ。
*
「まだ、熱があるんじゃないか?顔が赤いぞ」
「さり気なくおでこを触るなっ!熱なんてない!」
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