ドラゴニック・ブラッド ~竜騎士だった俺の転生先は死んだ公爵令嬢だった。令嬢なんて面倒くせえ!勝手気ままに生きてやる!~

なのの

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5.モルバーン学園(一年生編)

5-24.大聖堂にて

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 人を憎むべからず───

 隣人を愛し、慈悲の心で接しなさい───

 それが徳となり、汝の力となるであろう───

 改めて教会に行って教えられた聖女になる為の考え。

 ざっくり言うと、人には徳を貯める器と言うものがあるらしい。
 善行をし続け、それを一定量以上貯めていると、聖女の力が発現する。
 驚いたのはパトロネス・システムとは関係の無い仕組みだという事。
 そのお蔭でマイナスになっているランクに影響を受けないという訳だ。

 さて、実際に使ってみる段になってヒューゴが回復魔法を使っていた時の事を思い出していた。
 そのせいで詠唱がある物だと思っていたが、聖女の御業の発現は詠唱を必要としない。
 想いを込める事で発動すると言われたが、ピンと来ない。

 聖女の御業の発現の第一段階は力の発散。
 人を慈愛すれば、その人に良い効果を。
 土地を慈愛すれば、その土地に良い効果を。
 さらには『こうなればいい』と想う事で、特定の効果を発現させれる。
 成程、よくわからん。

 第二段階で発散した力の固定を行う。
 人や土地を守護まもりたいと想いそれを維持する事で発現する。
 これがまた、持続するにあたり燃費がかなり悪いらしい。
 発動中は体力が減るか、慢性的な頭痛が伴う。
 その他にも魔を払うといった浄化もこの段階になるそうだ。

 カレンが言ってた無防の盾は第三段階で、発散した力で相手の思考を弄り戦意を失わせる。
 発散させる力に自身の思考を乗せるらしいが、その際に神との対話を必要とするそうだ
 成程、さっぱりわからん。

 異世界からやって来たという聖女となると何等かの恩恵で、その第二段階を楽々やってのけるらしい。
 そういう異次元レベルの者は、大聖女と呼ばれ区別されるだとか。
 最近も大聖女が現れたと話題があったそうだが、まだ幼いので名前は公表されていないらしい。
 ラミレス王国に行く前に一度会ってみたいものだ。

 そして、俺がどこまでできたかという話になると、全く話にならない。
 セシリアの話では、第一段階は発現で来ていたらしいが、確認する方法が難しい。
 とりあえず、自分の手のひらを切って発動しようとするが、軽い傷だと何もしなくてもたちまち治る。
 それ以上となると痛いから嫌だ。
 そういう訳で、確かめるに至っていない。
 なんとなく、やり方の基礎だけが分かった気がしているというのが現状だ。

 それから首輪についてもヒューゴに聞いてみた。
 この首輪は宗教的な首輪らしく、呪いと言うよりはパトロネス・システムを全否定するモノらしい。
 その為、パトロネス・システムに関わる者との相性は悪く、解除できそうにないらしい。
 そして出所については、やはり魔族由来の物だろうという結論になった。
 要するにヒューゴやアルヴィンでもお手上げだという事だけが分かった。

「それにしても、自己回復能力が異常に高まっていますね、以前は手首に縄の跡が消えなかったのに」

「何だろうな、あ、首輪が付いてからか」

「成程・・・、もしかすると、パトロネス・システムが拒絶されたというよりは、内部に封印されていると考える方が正しいかもしれませんね」

「どういう事だ?」

「パトロネス・システムが外に向う力に加担できなくなった分を内に、つまり自身の回復にあてたから異常な回復力に繋がったという事ではないでしょうか」

「それなら辻褄は合う、ヒューゴはそんな事例知ってるのか?」

「いえ、そんな首輪自体、初めて見ましたからね」

「一度、部位破損なり死んでみるなりして、どこまで復活できるか試したい気もする」

「お気を付けください、痛みはあるでしょうし、トラウマは残るものです。その様な事は」

「やらねぇよ、流石に死ぬのは怖いわ」

 この時、オルドリッジ様がシスター達と式の打ち合わせを行っている間、ヒューゴと二人きりになっていた。
 オルドリッジ様と離れた事で油断をしていた。

「と、ところで、カロリーナ、訓練の具合はいかがでしょうかね」

「いや、さっき言ったじゃないか、てんで、ダメだって」

「ああああ、そうでした、カロリーナ、アクセサリーなんてどうでしょうか、お安くしておきますよ」

「あ、あれか、あのアクセサリー助かったぞ。あれが無ければ魅了されて今頃どうなっていた事やら」

「カロリーナあああああ」

 ヒューゴが壊れた。
 振ってはいけない話題だったか?
 どうしてだろうかと考えたが、もっと早くに気付くべきだった。

 不意に耳元で声がした。
 最近よく聞く声だ。

「随分仲が良い様だね、カロリーナ」
「オルドリッジ陛下!!わ、わたしはここで失礼しますっ」

 バタバタと慌てふためき出て行くヒューゴを目で追いながら、アクセサリーの話題がマズかったのかなんて回想していた。

「・・・もう、打ち合わせは終らわれたのですか」

「ああ、その件は少し意見を聞きたくてね、話を聞きに来たのさ」

「では私も参りましょうか」

「カロリーナはその口調が地なのか?」

「はい?」

「さっきの神官とは随分と仲が良さそうに話してたじゃないか、何故、俺にはくだけた感じで話しかけてこない」

「そ・・・、それは不敬かと思いまして」

 いつかバレるとは思っていたが、まさか、こんなタイミングになるとはな。
 先輩は全員『様』付けをしていたが、オルドリッジ様に対してはそういう理由ではなく、付けなくてはならない気がしていた。
 それに伴い、口調に猫が取り憑いてしまったのは致し方がない事。

「二人きりの時は一番楽な話し方で良いんだぞ」

「いえ、そういう訳には」

「はぁ、俺を信じられないのかね、そんな些細な事で俺が不快に思うとでも?」

「そんな些細な事なら、このままでも良いのではないですか?」

「その些細の事で他人行儀になられるというのは辛いな」

「では・・・わかったよ、普通にしゃべりゃあいいんだろ」

「いいね、その方が俺好みだ」

 *

「ついでに、その様付けを外すのはどうだろうか」
「それは駄目ですよ、オルドリッジ様」
「今はまぁいいか、そちらの用事は終ったのか?」
「おおよそ教えて頂きましたよ。後は自主訓練あるのみですね」
「俺としては、聖女なんて肩書無い方がいいんだがな」
「能無しと呼ばれ、自分の身も守れないようでは・・・、でも聖女にはなれそうにないですね」
「気にするな、全部ひっくるめて俺が守る」
「・・・オルドリッジ様」
「口調戻ってるぞ」
「・・・」
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