ドラゴニック・ブラッド ~竜騎士だった俺の転生先は死んだ公爵令嬢だった。令嬢なんて面倒くせえ!勝手気ままに生きてやる!~

なのの

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5.モルバーン学園(一年生編)

5-23.大聖堂にて

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 その日、大聖堂に誰も居なかった。
 誰も居ないというのは異常な事だ。
 誰かしら、訪れた者に対応する人員が居るはずだ。
 その対応がどれだけ下級のシスターであろうとも、誰も居ない何てことはあってはならないハズ。

「誰も居ないね」

「いませんね」

「折角、簡易の式でも挙げようとかと思ったのに」

「オルドリッジ様・・・ご冗談を」

「まぁ半分冗談だな」

「半分・・・」

 オルドリッジ様の底が知れない。
 以前、婚約者として立候補すると言った事を、冗談とされた事があったから、彼の冗談は本心が混じっている可能性が高い気がする。
 つまり、今の半分冗談というのは、隙あらば式を挙げようと考えてたと考えるのが妥当。
 だが、それを否定するどころか、そういう事を考えて貰えてる事で安心感を得ているのもまた事実。
 それは少し前の状況に巻き戻る事への恐怖、つまり逃げ口にしてる可能性は否めない。

 だが、冷静に考えても見れば、相手は16、俺は11だ。
 中身は兎も角として、容姿は11よりも小さくも見える。
 普通、そんな相手と式を挙げたいなどと思うのだろうか?
 貴族同士なので、年の差婚、婚約は良くある話なのだから、それはいい。
 だからといって、式は早いだろ、式は。

 つまり、からかっているのだ。

 俺がその事を真剣にとらえて、動揺するのを狙ったに違いない。

 それならば、こちらにも考えがある。

 そうだ。

 乗ってやればいい。

 くっくっく。

 俺も式に乗り気になったら、どう反応するのだろう?
 慌てて取り消す?体裁を考えてなかった事にする?
 一度くらい慌てる姿を見て見たいよな。

「そうなのですか、半分冗談とは残念です。私は本気にしちゃいましたよ」

 どう反応するのかと、ワクワクしていると、彼は一瞬動きが止まった。

 だが、その瞬間、大聖堂の奥から人が出てきて声を掛けて来た。

「おー、カロリーナ、こっちに来るなんて珍しいじゃないか」

「ヒューゴおひさしぶりです」

「様?まぁいいか、なにかしおらしくなったな、それよりその方は?」

 オルドリッジ様は一瞬、俺の方を見て少しほほ笑んでから、ヒューゴに対して答えた。

「オルドリッジ・サンチェスと申します、この度、カロリーナ・アバークロンビー嬢と婚約しましたので、婚約式を挙げたく相談に参りました」

「なっ!」

「どうしたのかな?先ほど式を挙げたいと言ったではないか」

「あ・・・、もちろんです」

 本気で挙げるつもりなのか!
 そもそも婚約式とはなんだ?俺はしらんぞ。

「婚約ですか、おめでとうございます。婚約式でしたら承りますよ、参加者は何人規模になりますか?」

「ざっと100名はくだらないかと」

「どこまで形式ばってやりますか?婚約式と言うと、本来身内だけの少人数で行うもので、教会などではなく個人宅で行うのが一般的でございますが、100人規模となると、結婚式と同等の対応になるでしょうかね」

「ああ、この際だからウェディングドレスも着させよう」

 いやいやいや、ウェディングドレスはやり過ぎだろう。

「ちょっと待ってください、私はまだ11で結婚するのは5年後ですよ、ドレス一度着て終わりじゃないですか」

「何を言ってるんだ、王妃になろうという者がその程度の出費を躊躇ってどうする。お披露目なのだからそれに相応しいものが必要だ。それに、ウェディングドレスを何度も着る機会なんてないぞ。精々、両方の王都で式を挙げる時くらいだろう?それに、そんな俺の決意を見たいんじゃないのかな?」

「あぅ、は、はい、わかりました」

「じゃあ、今からウェディングドレスをオーダーメイドで作らなくてはな、あと出席者の確定も必要だ、学園内でも募集しよう、ああ、忙しくなるな!」

 楽しそうにする、オルドリッジ様につられてかヒューゴまで楽しそうに話始めた。

「王妃になられるのですか・・・、失礼ですが貴方様はどちらの国のお方なのでしょうか?」

「ラミレス王国だ」

「ああ、成程、噂はかねがね耳に入っておりますよ。そうですか・・・カロリーナ嬢は隣国に嫁いでしまうのですね。少々寂しい限りです。話は戻りますが、婚前式であれば、ブーケトスも不要となさいますか───」

「いや、この際、結婚式同様にやってしまえばいいだろう、指輪も用意する」

「ではブーケについては此方で用意させて頂きます、好きな花とかございますか?」

「カロリーナ、好きな花があれば」

「じゃあ、白いバラ・・・で」

 妻との結婚式の時は手に入らなかった。
 あの時のブーケトスは誰が拾ったのだっただろうか。

 花言葉は『純粋』

 妻の一番好きな花だ。
 それを持って俺が花嫁になるというのは些か可笑しな話なのだが・・・。
 いや、それ以前に俺が花嫁になる事自体が可笑しな話だ。

 どうしてこうなってしまったのだろうな。
 そもそも、公爵令嬢になってしまったのだから、結婚は義務なのだろう。
 同盟の話まで乗って来てるのだから、最早、義務を遥に超えている気がする。
 重いな、重いぞ。
 こんな大役が俺に務まるのだろうか。

 そんな、よくわからない漠然とした不安に駆られた。

 そう、次に移動した先が、貴族専門の衣服店だったからだ。

 *

「これが世に言うマリッジブルーという現象かな」
「憂鬱なのか、やはりサイズを計られると辛いか、気にするな、これから大きくなる」
「さり気なく酷い事言っていませんか?」
「胸と身長は少し成長するかもと言っていたが、そんな兆候があるのか?」
「・・・」
「ブカブカなドレスが作られても困るだろうに・・・」
「でも・・・成長する・・・夢を見たんです」
「まぁ、今回は諦めろ、一応サイズ調整できるようには頼んでおく」
「はい」

 ドレスの完成には最優先対応してもらっても1か月かかるらしい。
 婚約式は2か月後。
 本当に、どうしこうなったのだろうか。

 あ、俺の用事忘れてた。
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