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5.モルバーン学園(一年生編)
5-29.大聖堂にて
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二カ月と言う時間があっと言う間に通り過ぎた。
俺は純白のドレスに彩られ、白いバラのブーケを手に赤いカーペットの上に立っていた。
エスコートしてくれる父の腕に手をかけ、ゆっくりと歩みを始めた。
神父役のヒューゴとオルドリッジ様が待っている。
まるで結婚式を見ている様だが、これは婚約式だ。
右側の席に知っている顔がずらりと並ぶ反面、左側の席には見覚えの無いラミレス王国の貴族達が並んでいる。
何とも仰々しい参列者たちだ。
ラミレス王国からここまで、馬車であればおおよそ2週間ほどの時間がかかる。
それを頑張って、ウチの竜騎士団が運んだらしい。
此方の王族からは陛下とウィリアム王子、ブリジット王女が参列している。
だが、そこに大聖女の姿はない。
居たら分かりそうなのだが、少し寂しい感じがする。
そして、ここに王妃様とアレグサンダー王子の姿はない。
王妃様は未だに毒による後遺症で調子が悪く、アレグサンダー王子はまだ帰ってきていない。
この婚約式は体裁上はお披露目会と言える内容だ。
ただ、この婚約式を以って同盟締結を宣言する運びとなっている。
つまりは、この式自体が前座に過ぎない。
だというのに、この式をお大袈裟にしているのは、両陛下の意向で俺を蔑ろにさせない為だと言う。
式は滞りなく進んだ。
結婚式さながらの讃美歌斉唱、聖書朗読、誓約の誓いを述べ、指輪の交換、そして誓いのキス。
最後にヒューゴが二人の婚約成立を宣言し、俺達は退場と相成った。
ここまでは予定通り。
ちょっとキスの時間が長かった事に、参列者が動揺したくらいだ。
まさかこんな所で舌を入れて腰が抜ける様なキスをしでかすとは思いもよらなかった。
それはさておき、ブーケトスもせずに場所を港に移す事となった。
その道中の光景はまさにパレードとなっていたが、屋根の無いパレード用の馬車で民族大移動かと思えるような光景だった。
何十台の馬車が港に移動するのは何とも仰々しくもあり、通りには花吹雪が降り注いでいた。
幻想的な光景の中、娘やルグランジのメンバーが手を振っていた。
ブーケは娘に向かって投げ、そして受け取られた。
結婚式のブーケではないのだが、ご利益はあるのだろうか。
空には竜騎士団の面々が飛び続け、警戒のついでに花びらを散布していた。
そうして、パレードを見に来た人々の間を通り、見慣れぬ港にたどり着いた。
そこはここ2カ月間という短期間の突貫工事で作られた新しい港で、停泊するのは軍艦だった。
戦列艦と呼ばれるその船は、120門の大砲を備えているというが、口が自然と開く程に巨大だった。
その大砲製造技術、造船技術を持った技師が常駐し、この王国の為に整備してくれる。
一隻は譲渡される他、五隻がバーランド王国に常駐する。
ここは、その六隻が駐留する為の港だ。
これらの技術の移転は婚姻後に行われるというのだから、2年半ほどかかる。
そもそも、これまでの軍艦と言えば、大砲を16門備えたのが最大戦力だった。
海外の軍艦も同でレベルであったが、数的に圧倒的だと主張していたらしい。
本格的な戦闘をする場合はラミレス王国からの援軍が派遣されると言う。
その援軍が来るまでは、この六隻で当面耐える必要があるという話になっているらしい。
その中の一隻に全員が乗り込み、甲板でオルドリッジ様が話し始めた。
「この婚約を以って、同盟が成立した。
こんなめでたい日を迎えれたのは皆さまの努力あっての事だ。
ラミレス王国は誠意として、この戦列艦一隻を寄贈し、五隻をこの港に駐留する。
もし、海外の蛮族が攻めてきたとき、一番安全な位置で一緒に戦って頂きたい。
そして、この軍艦の性能を存分に味わってほしい!」
その言葉にバーランド王国の貴族が両手を挙げて喜んでいた。
これまで海外の脅威が胃に負担を掛けていたのだろう。
何の努力もせずに、それが解消されたのだから、喜ばない奴はいない。
そして、陛下の言葉はさらに続いた。
「数年後、彼女と私は結婚し、我々の絆はより強固な物となる。
そして、その時からバーランド王国のシーパワーは飛躍を遂げる事となる。
なぜならば、我々が此処に造船所を作るからだ。
バーランド王国は自国で、自分の力で戦列艦を作る事が出来るのだ。
その為の技術者の育成を手伝おう、戦列艦の戦い方を教えよう。
そして、共に海外の蛮族を制圧しようではないか!」
鼓膜が破れる程の歓声。
オルドリッジ様がにこやかに手を振る。
両王国の貴族の表情には明らかに差があった。
大喜びするバーランド王国に、余裕を見せ拍手をするだけのラミレス王国。
これだけで優劣が見えていると言っても過言ではない。
だが、両王国の戦力差は更に凄まじいものだという事を、まざまざと見せつけられるのだった。
*
「お疲れ様、今日は大役だったな」
「あのキスはやり過ぎだ!腰が抜けるかと思ったぞ」
「あははは、もっと激しいのは結婚式に取っておこう、次はラミレス王国での婚約式だな」
「一月後か」
「また竜騎士団には世話になるな」
「いや、それくらいは当然だ」
「まぁ、結婚式の頃には、もうそれも必要なくなるかもしれん」
「それはどういう意味だ?」
「これは内緒だぞ、あのな────────」
「────、えー・・・、ちょっと想像できないですね」
「まぁ、来月、ラミレス王国に来た時に、建造現場をみせてやるよ」
俺は純白のドレスに彩られ、白いバラのブーケを手に赤いカーペットの上に立っていた。
エスコートしてくれる父の腕に手をかけ、ゆっくりと歩みを始めた。
神父役のヒューゴとオルドリッジ様が待っている。
まるで結婚式を見ている様だが、これは婚約式だ。
右側の席に知っている顔がずらりと並ぶ反面、左側の席には見覚えの無いラミレス王国の貴族達が並んでいる。
何とも仰々しい参列者たちだ。
ラミレス王国からここまで、馬車であればおおよそ2週間ほどの時間がかかる。
それを頑張って、ウチの竜騎士団が運んだらしい。
此方の王族からは陛下とウィリアム王子、ブリジット王女が参列している。
だが、そこに大聖女の姿はない。
居たら分かりそうなのだが、少し寂しい感じがする。
そして、ここに王妃様とアレグサンダー王子の姿はない。
王妃様は未だに毒による後遺症で調子が悪く、アレグサンダー王子はまだ帰ってきていない。
この婚約式は体裁上はお披露目会と言える内容だ。
ただ、この婚約式を以って同盟締結を宣言する運びとなっている。
つまりは、この式自体が前座に過ぎない。
だというのに、この式をお大袈裟にしているのは、両陛下の意向で俺を蔑ろにさせない為だと言う。
式は滞りなく進んだ。
結婚式さながらの讃美歌斉唱、聖書朗読、誓約の誓いを述べ、指輪の交換、そして誓いのキス。
最後にヒューゴが二人の婚約成立を宣言し、俺達は退場と相成った。
ここまでは予定通り。
ちょっとキスの時間が長かった事に、参列者が動揺したくらいだ。
まさかこんな所で舌を入れて腰が抜ける様なキスをしでかすとは思いもよらなかった。
それはさておき、ブーケトスもせずに場所を港に移す事となった。
その道中の光景はまさにパレードとなっていたが、屋根の無いパレード用の馬車で民族大移動かと思えるような光景だった。
何十台の馬車が港に移動するのは何とも仰々しくもあり、通りには花吹雪が降り注いでいた。
幻想的な光景の中、娘やルグランジのメンバーが手を振っていた。
ブーケは娘に向かって投げ、そして受け取られた。
結婚式のブーケではないのだが、ご利益はあるのだろうか。
空には竜騎士団の面々が飛び続け、警戒のついでに花びらを散布していた。
そうして、パレードを見に来た人々の間を通り、見慣れぬ港にたどり着いた。
そこはここ2カ月間という短期間の突貫工事で作られた新しい港で、停泊するのは軍艦だった。
戦列艦と呼ばれるその船は、120門の大砲を備えているというが、口が自然と開く程に巨大だった。
その大砲製造技術、造船技術を持った技師が常駐し、この王国の為に整備してくれる。
一隻は譲渡される他、五隻がバーランド王国に常駐する。
ここは、その六隻が駐留する為の港だ。
これらの技術の移転は婚姻後に行われるというのだから、2年半ほどかかる。
そもそも、これまでの軍艦と言えば、大砲を16門備えたのが最大戦力だった。
海外の軍艦も同でレベルであったが、数的に圧倒的だと主張していたらしい。
本格的な戦闘をする場合はラミレス王国からの援軍が派遣されると言う。
その援軍が来るまでは、この六隻で当面耐える必要があるという話になっているらしい。
その中の一隻に全員が乗り込み、甲板でオルドリッジ様が話し始めた。
「この婚約を以って、同盟が成立した。
こんなめでたい日を迎えれたのは皆さまの努力あっての事だ。
ラミレス王国は誠意として、この戦列艦一隻を寄贈し、五隻をこの港に駐留する。
もし、海外の蛮族が攻めてきたとき、一番安全な位置で一緒に戦って頂きたい。
そして、この軍艦の性能を存分に味わってほしい!」
その言葉にバーランド王国の貴族が両手を挙げて喜んでいた。
これまで海外の脅威が胃に負担を掛けていたのだろう。
何の努力もせずに、それが解消されたのだから、喜ばない奴はいない。
そして、陛下の言葉はさらに続いた。
「数年後、彼女と私は結婚し、我々の絆はより強固な物となる。
そして、その時からバーランド王国のシーパワーは飛躍を遂げる事となる。
なぜならば、我々が此処に造船所を作るからだ。
バーランド王国は自国で、自分の力で戦列艦を作る事が出来るのだ。
その為の技術者の育成を手伝おう、戦列艦の戦い方を教えよう。
そして、共に海外の蛮族を制圧しようではないか!」
鼓膜が破れる程の歓声。
オルドリッジ様がにこやかに手を振る。
両王国の貴族の表情には明らかに差があった。
大喜びするバーランド王国に、余裕を見せ拍手をするだけのラミレス王国。
これだけで優劣が見えていると言っても過言ではない。
だが、両王国の戦力差は更に凄まじいものだという事を、まざまざと見せつけられるのだった。
*
「お疲れ様、今日は大役だったな」
「あのキスはやり過ぎだ!腰が抜けるかと思ったぞ」
「あははは、もっと激しいのは結婚式に取っておこう、次はラミレス王国での婚約式だな」
「一月後か」
「また竜騎士団には世話になるな」
「いや、それくらいは当然だ」
「まぁ、結婚式の頃には、もうそれも必要なくなるかもしれん」
「それはどういう意味だ?」
「これは内緒だぞ、あのな────────」
「────、えー・・・、ちょっと想像できないですね」
「まぁ、来月、ラミレス王国に来た時に、建造現場をみせてやるよ」
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