ドラゴニック・ブラッド ~竜騎士だった俺の転生先は死んだ公爵令嬢だった。令嬢なんて面倒くせえ!勝手気ままに生きてやる!~

なのの

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5.モルバーン学園(一年生編)

5-32.ラミレス王国王都にて

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 さてさて、イベントと言うものは唐突に始まるものだ。
 今更ではあるが、今日も今日とて元気に人質となっている。
 何処にあるかも分からない塔の上に囚われて、監禁状態にある訳だ。
 だが、これまでと画期的に違う事が一つあった。

 なんと、拘束されていないのだ!

 手枷すらない。

 なんという快適さ。

 なんという自由さ。

 しかもベッドも用意されている。
 程度こそ低いが今までの事を考えれば最上のもてなしと言えよう。
 流石ラミレス王国だ、テロリストからして質が違う。

 しかも、使用人が部屋の内外に一人ずつ待機して、俺が欲しいものを言えば取り寄せてくれるというのだ。
 折角なので、こちらにしか無い料理や下町スイーツを教えて貰い、それらを取り寄せてもらっている。
 彼らテロリストにしてみれば、国内のトップを挿げ替えてから、外交のネタに俺を使おうとしているのだろう。
 これまでの様に、ただ排除する目的だっただ奴らと違うのはその点が大きい。
 実際、逃げれるには逃げれるのだが、闇雲に逃げるのは得策ではないし、深窓の令嬢としての行動してほしいとの事なので大人しくしている。

「じゃあ次は、オクトパス焼きと、生ワラビー餅が食べたいですね」
「承知しました、しばしお待ちください。到着までの間、こちらのモウデン餅をお食べください」
「ありがとう、頂きますわ。もぐもぐ、あら、美味しい。餅の中にこし餡が入っているのですね。この周りに振っている粉は何でしょう?玄米かしら?」
「ご明察の通りでございます」

 冗談抜きに美味しいのだから文句のつけようがない。
 彼らは市井の食べ物に興味があると言えば、買ってきてくれるのだから便利なものだ。
 しかも安上がりなのだから、文句の一つも言われない。
 彼らにしても、こんな安上がりな物で大人しくしてくれるなら助かるとでも思っているのだろう。
 ふふふ、精々俺に利用されるがいい!

「では次は岩石おこしが───」

 とまぁ、今の状況は兎も角、ここに行きついた成り行きを話そう。

 今日は有力貴族の顔通しの予定だった。
 こちらから出向き、軽く世間話をするだけの簡単なお仕事だ。
 オルドリッジ様と俺と双子の4人に、護衛がゾロゾロとだいたい16人くらいで向かった。
 その先で出会ったのはイヴァ・アーデンという侯爵令嬢だった。
 イヴァとオルドリッジ様のアイコンタクトは微妙にただならぬ感じがした上、二人でいる時間を作りたいという話だった。
 それで俺はオルドリッジ様と別の部屋に行く事になったが、双子の姉の方、リリーはあっちについて行った。
 俺と双子の妹の方、エリーは侯爵夫妻と歓談をしていたのだが、その時、馬車の方で大きな爆発音がした。
 エリーが状況確認に向かい、俺は侯爵夫妻と三人になったのだがすぐに慌ただしい足音が聞こえて来た。
 侯爵夫妻は俺を隠し通路に案内し、この先に王宮に戻る馬車を用意しているから逃げる様に勧められた。

 残念ながら大層なドレスを着させられ、ヒールの高い靴を履いている分、急いで逃げるに適さない、
 スカートをたくし上げて逃げる姿は何とも滑稽だろうから、少し急ぐ程度に歩いた。
 こんな事態であれど、優雅な振る舞いを忘れないのは何と、バーランド王国の誉れなのだろうかと自画自賛する。
 実際、抜け道というのは細いので小走りする程度しかできないのが現実だ。
 隠し通路を抜けた所で、書斎と思える小さな小部屋に出た。
 書斎内から見れば、本棚の裏に通路があるというオーソドックスな仕掛けだ。
 何の警戒もせず、書斎の窓を開けて外にでると、そこには一人の御者と馬車がいた。
 その御者に向かい、「王宮までお願いできますか」とかくにすると、帽子を少し浮かして会釈した。

 そして連れてこられたのが、ここの塔と言う訳だが、話し声から、彼らが明らかにテロリストだというのは明確だった。
 実際のところ、自力で脱出するのはたやすいのだが、オルドリッジ様がどういう風に救出してくれるかと考えると、少し楽しみになっていた。

 いやはや、これでこそ本当の囚われの姫と言った感じだよな。

「暇だから話し合ってになってくれないかしら」

「はい、どのようなお話がよろしいでしょうか」

「そうですねぇ、貴女達の組織の事を教えてくれないかな」

「はい、私達は救国騎士団と言います、この国の騎士道を愛して病んでる組織です」

「え~~?それ『愛して止まない』じゃないの?」

「ええ、病んでるのです」

「どうして?」

「昨今は、海戦にしろ陸戦にしろ、大砲が主体となっており、騎士という立場自体が陳腐化しております。前王が崩御あらせられた時に現王のオルドリッジ陛下は騎士団の規模を4分の1に削りました。それからと言うもの、小型の遠隔武器に焦点を当てそれを用いることで騎士と言う立場を窮地に追いやったのです」

「その以前の騎士の人数はどれくらい居たのですか?」

「およそ4万、その内3万が一般兵に降格となったのですよ、これは許された事ではありません!」

「そうですか・・・その気持ちは分かります」

 前世の俺に重ねて考えてみた。
 俺だって突然リストラされたり、一般兵に落とされたら困る。
 かといって上層部だけが残され、実働部隊や実力者が居なくなるのも不具合が生じる。
 どう考えても4分の1はやり過ぎだと言わざるを得ない。
 そうした理由の大半は、資金難なのだろう、それ以外には考えられない。
 いや、待てよ?今や資金は潤沢にあるのだから、それを雇っていても問題はないのではないだろうか。

「本当にそう思って頂けるのですか!もしそうなら陛下を説得してください!」

「話してはみますが、期待はしないで貰えますか」

「はい、王妃様になるお方が味方になって頂けるだけでも、命をかけた価値があります」

 そうして、丁重に王宮に戻され、実行犯と共にオルドリッジ様に謁見する事となった。

 *

「カロリーナ、無事だったか」
「はい、ご心配には及びません」
「そこに居る者達は何者だ」
「この者達は、私の支援者です。グループ名は救国騎士団と申します」
「まて、救国騎士団と言えば───」
「いいえ、この者達は私の支援者です。試しに私が誘拐された場合にどれくらいで救出して頂けるかを試させて頂きました」
「・・・」
「ですが、結果はご存じの通り、足取りもつかめなかったのではないですか?」
「カ・・・カロリーナ・・・できたら二人っきりで話がしたいのだが」
「言いくるめようというのですねっ、せめて、せめてこの者達の安全だけでも保障してください、でなければこの場から動きませんからねっ」
「あ・・・ああ、分かった補償するから、ちょっと奥の部屋に来てくれないかな」
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