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5.モルバーン学園(一年生編)
5-43.近海にて
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「これより威力偵察を行う!」
オルドリッジ様の一言で、船員の士気が一気に上がった。
陛下も立ち合っているが、自国の船員によく見て学ぶ様にと言って見送る事になっているそうだ。
それから船員の船への乗り込みが始まると同時に俺ら生徒会メンバーも旗艦が乗り込む。
それから出航までの時間は非常に短く、熟練度の高さが伺い知れた。
戦列艦の隊列と言うのは同じ方向に向かって一直線に並んで進むらしく六隻がずらりと並ぶのは圧巻であった。
「ふ、この程度で驚いていては本隊と合流した時、腰を抜かす事になるぞ」
「何十隻もの船が並ぶのか・・・それは凄そうだ」
「そういう事だ」
威力偵察という以上は敵と戦闘を行うという事だ。
本来なら日帰りで戦闘になるような場所にたどり着けないのだが、竜騎士団の偵察により近海の無人島に敵が基地を作っている可能性が高いと連絡を受けたらしい。
そしてそこには敵の軍艦8隻。
数の上では向こうが上なのだが、砲門が圧倒的こちらが多いので負ける事は無いだろうと話していた。
殺すのは構わない、可能なら生け捕り、絶対に逃すな───。
逃げられたら、こちらの軍事力が露見する。
そうなると3か月後に迫っている、敵の侵攻が無くなるかもしれない。
それはオルドリッジ様としても面白くないらしい、敵は敵らしく大々的に攻めてきて返り討ちにあって欲しいと言うのだが、それはカッコつけたいのかもしれない。
それから4時間ほど経過した頃、周りが突然慌ただしくなってきた。
敵船の帆が見えたというのだ。
まだ遠くではあるが、その船の位置を考えて有利位置を取れるようにルートを考えているそうだ。
当然、潮の流れに乗り、風上である方が強いのだが島がある以上、その周辺で潮の流れが変わる可能性もある。
そこでこの近海の漁師で潮の流れに詳しい者を協力者として連れて来ていた。
その案内の元に交戦位置を仮定して、船を進める事になっていた。
上空ではヴァンテを含む竜騎士団の半数が出動、状況を確認した結果を鏡で太陽光を反射させ知らせてきている。
そのヴァンテだが、乗っているのは団長のジャクソンに、大聖女まで乗っているとか。
なんとも大聖女は恐れ知らずの様だ。
そして、潮の止まりが起きる時刻となり、そのタイミングで交戦が始まった。
敵も本気らしく一隻目がこちらに向かって砲撃を始める。
だが、届かない。
射程範囲が大きく違うらしく、こちらはその反撃で大砲を打ち始めた。
連発する発砲音は耳が痛くなるほどであったが、その火力と射程は凄まじく、一隻目があえなく沈没。
「彼らは戦術を知らない様だな」
オルドリッジ様がそう呟く通り、彼らは散発的に攻撃を始め、各個撃破されてゆく。
対してこちらは敵を中心に長い弧を描く様に移動しているので複数の軍艦からの攻撃が敵に集中する。
あまりにも一方的過ぎたため、敵に向かって降伏勧告を行うも反撃の砲撃は鳴りやまず、呼応する様に反撃をする。
唐突に砲撃が減ったと思えば、最後の一隻がバーランド王国の船の砲撃で沈んだ。
その事に船員も大歓声を上げていた。
「経験になった様だな、結構な事だ」
「その為に、砲撃を緩めたのでしょう?」
「ふ、分かっていたか。内緒だぞ」
オルドリッジ様はそういうと、沈んだ当たりで救助活動を始めた。
放っておけば、島にたでもどり着けない限り死ぬだけだ。
妻の話では、地元では何kmと泳ぐ者が居ると言っていたが、この世界では聞いた事がない。
現に、敵兵の大半は、溺れて沈んで行っていた。
小型のボートでの救助活動は遅々として進まない。
敵兵相手なので警戒している事もあって、時間がかかるのは致し方がない事だった。
それでも、8隻から100名の捕虜を確保した。
島の状況の確認の部隊を送り込み、その間に捕虜の中から身分の高そうな者を尋問して行く。
だが、その中に懐かしい人物が混じっていた。
「アレグサンダー様・・・」
「カロリーナか、縄を解け!」
「どうしてここに」
「強くなるためだ、アレシフェルンの剣豪に教えを請い、鍛えて貰って来た」
「その割に筋肉量がまだ足りない様ですが」
「男は筋肉じゃない!」
「筋肉だよ!」
言い争いになりそうになった所で、オルドリッジ様が声をかけた。
「アレグサンダー君じゃないか」
「オルドリッジ・・・俺と決闘しろ」
「それは構わないのだが、何を賭けるのだ」
「カロリーナだ」
「彼女は賭けの対象にはなり得ない、例え勝率が100%であろうと、賭けて良い様な存在ではないのだ」
「じゃあ決闘は良い、縄を解いてくれ」
「しかたないな、おい、解いてやれ」
船員が仕方なくアレグサンダーの縄を解くと、靴からキラリとひかる物を取り出して、オルドリッジ様に向かい突進した。
靴底に忍ばせる仕込み刀だ。
魔操糸術が間に合わない、オルドリッジ様は背を向け、別の者と話をしている。
恐らくは圧勝した上に王子という行方不明だった手土産ができた事に機嫌を良くして油断したのだ。
背中から刺すつもりだ───。
そう思った時には俺の体は動いていた。
オルドリッジ様を庇う様に体で受け止め、動けないようにアレグサンダーを抱きしめる。
「離せ!カロリーナ!」
「駄目だよ、そんなんじゃ強くなった内に入らない」
「どうして邪魔をしたんだ!カロリーナ!即死級の毒だぞ!お前を失いたくはないんだ!」
「はは、毒ならきっと大丈夫だ、きっと。たぶん・・・死にはしないよ」
兄がアレグサンダーを蹴り飛ばし、船員に向かって拘束しろ!と命令する。
あえなく拘束されるアレグサンダーを見つめながら、俺は体は自由を失い、倒れそうになっていた。
フラヴィアが咄嗟に俺を抱きしめ、声をかけてくる。
腹部に刺さったナイフを抜き捨てたが、俺の体に毒は通じない筈だ。
「俺は大丈夫、何ともない」
そんな気休めを言うのが精いっぱいだった。
「上空の大聖女様に連絡だ!急げ!」
オルドリッジ様がそう叫ぶと同時に俺は意識を失った。
俺に毒は効かない。
だが、死なないだけで苦しみはあるし、当面のダメージを負う。
要は死なないだけと言う事だ。
*
「ようやく起きたか、眠り姫め・・・」
「オルドリッジ様・・・」
「流石に王子相手というだけあって咄嗟に攻撃できなかったのか」
「腕を切り落とせば防ぐ自信はあったがそんな事はできないからな、仕方なく体で受け止めた方が確実だった」
「相変わらず、無茶ばかりだな・・・」
「おいおい、震えてるのか」
「カロリーナ、どれくらい眠ってたと思ってるんだ」
「2,3日くらいか?」
「───2か月だ」
オルドリッジ様の一言で、船員の士気が一気に上がった。
陛下も立ち合っているが、自国の船員によく見て学ぶ様にと言って見送る事になっているそうだ。
それから船員の船への乗り込みが始まると同時に俺ら生徒会メンバーも旗艦が乗り込む。
それから出航までの時間は非常に短く、熟練度の高さが伺い知れた。
戦列艦の隊列と言うのは同じ方向に向かって一直線に並んで進むらしく六隻がずらりと並ぶのは圧巻であった。
「ふ、この程度で驚いていては本隊と合流した時、腰を抜かす事になるぞ」
「何十隻もの船が並ぶのか・・・それは凄そうだ」
「そういう事だ」
威力偵察という以上は敵と戦闘を行うという事だ。
本来なら日帰りで戦闘になるような場所にたどり着けないのだが、竜騎士団の偵察により近海の無人島に敵が基地を作っている可能性が高いと連絡を受けたらしい。
そしてそこには敵の軍艦8隻。
数の上では向こうが上なのだが、砲門が圧倒的こちらが多いので負ける事は無いだろうと話していた。
殺すのは構わない、可能なら生け捕り、絶対に逃すな───。
逃げられたら、こちらの軍事力が露見する。
そうなると3か月後に迫っている、敵の侵攻が無くなるかもしれない。
それはオルドリッジ様としても面白くないらしい、敵は敵らしく大々的に攻めてきて返り討ちにあって欲しいと言うのだが、それはカッコつけたいのかもしれない。
それから4時間ほど経過した頃、周りが突然慌ただしくなってきた。
敵船の帆が見えたというのだ。
まだ遠くではあるが、その船の位置を考えて有利位置を取れるようにルートを考えているそうだ。
当然、潮の流れに乗り、風上である方が強いのだが島がある以上、その周辺で潮の流れが変わる可能性もある。
そこでこの近海の漁師で潮の流れに詳しい者を協力者として連れて来ていた。
その案内の元に交戦位置を仮定して、船を進める事になっていた。
上空ではヴァンテを含む竜騎士団の半数が出動、状況を確認した結果を鏡で太陽光を反射させ知らせてきている。
そのヴァンテだが、乗っているのは団長のジャクソンに、大聖女まで乗っているとか。
なんとも大聖女は恐れ知らずの様だ。
そして、潮の止まりが起きる時刻となり、そのタイミングで交戦が始まった。
敵も本気らしく一隻目がこちらに向かって砲撃を始める。
だが、届かない。
射程範囲が大きく違うらしく、こちらはその反撃で大砲を打ち始めた。
連発する発砲音は耳が痛くなるほどであったが、その火力と射程は凄まじく、一隻目があえなく沈没。
「彼らは戦術を知らない様だな」
オルドリッジ様がそう呟く通り、彼らは散発的に攻撃を始め、各個撃破されてゆく。
対してこちらは敵を中心に長い弧を描く様に移動しているので複数の軍艦からの攻撃が敵に集中する。
あまりにも一方的過ぎたため、敵に向かって降伏勧告を行うも反撃の砲撃は鳴りやまず、呼応する様に反撃をする。
唐突に砲撃が減ったと思えば、最後の一隻がバーランド王国の船の砲撃で沈んだ。
その事に船員も大歓声を上げていた。
「経験になった様だな、結構な事だ」
「その為に、砲撃を緩めたのでしょう?」
「ふ、分かっていたか。内緒だぞ」
オルドリッジ様はそういうと、沈んだ当たりで救助活動を始めた。
放っておけば、島にたでもどり着けない限り死ぬだけだ。
妻の話では、地元では何kmと泳ぐ者が居ると言っていたが、この世界では聞いた事がない。
現に、敵兵の大半は、溺れて沈んで行っていた。
小型のボートでの救助活動は遅々として進まない。
敵兵相手なので警戒している事もあって、時間がかかるのは致し方がない事だった。
それでも、8隻から100名の捕虜を確保した。
島の状況の確認の部隊を送り込み、その間に捕虜の中から身分の高そうな者を尋問して行く。
だが、その中に懐かしい人物が混じっていた。
「アレグサンダー様・・・」
「カロリーナか、縄を解け!」
「どうしてここに」
「強くなるためだ、アレシフェルンの剣豪に教えを請い、鍛えて貰って来た」
「その割に筋肉量がまだ足りない様ですが」
「男は筋肉じゃない!」
「筋肉だよ!」
言い争いになりそうになった所で、オルドリッジ様が声をかけた。
「アレグサンダー君じゃないか」
「オルドリッジ・・・俺と決闘しろ」
「それは構わないのだが、何を賭けるのだ」
「カロリーナだ」
「彼女は賭けの対象にはなり得ない、例え勝率が100%であろうと、賭けて良い様な存在ではないのだ」
「じゃあ決闘は良い、縄を解いてくれ」
「しかたないな、おい、解いてやれ」
船員が仕方なくアレグサンダーの縄を解くと、靴からキラリとひかる物を取り出して、オルドリッジ様に向かい突進した。
靴底に忍ばせる仕込み刀だ。
魔操糸術が間に合わない、オルドリッジ様は背を向け、別の者と話をしている。
恐らくは圧勝した上に王子という行方不明だった手土産ができた事に機嫌を良くして油断したのだ。
背中から刺すつもりだ───。
そう思った時には俺の体は動いていた。
オルドリッジ様を庇う様に体で受け止め、動けないようにアレグサンダーを抱きしめる。
「離せ!カロリーナ!」
「駄目だよ、そんなんじゃ強くなった内に入らない」
「どうして邪魔をしたんだ!カロリーナ!即死級の毒だぞ!お前を失いたくはないんだ!」
「はは、毒ならきっと大丈夫だ、きっと。たぶん・・・死にはしないよ」
兄がアレグサンダーを蹴り飛ばし、船員に向かって拘束しろ!と命令する。
あえなく拘束されるアレグサンダーを見つめながら、俺は体は自由を失い、倒れそうになっていた。
フラヴィアが咄嗟に俺を抱きしめ、声をかけてくる。
腹部に刺さったナイフを抜き捨てたが、俺の体に毒は通じない筈だ。
「俺は大丈夫、何ともない」
そんな気休めを言うのが精いっぱいだった。
「上空の大聖女様に連絡だ!急げ!」
オルドリッジ様がそう叫ぶと同時に俺は意識を失った。
俺に毒は効かない。
だが、死なないだけで苦しみはあるし、当面のダメージを負う。
要は死なないだけと言う事だ。
*
「ようやく起きたか、眠り姫め・・・」
「オルドリッジ様・・・」
「流石に王子相手というだけあって咄嗟に攻撃できなかったのか」
「腕を切り落とせば防ぐ自信はあったがそんな事はできないからな、仕方なく体で受け止めた方が確実だった」
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「───2か月だ」
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