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5.モルバーン学園(一年生編)
5-53.
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娘がウィリアムを連れて姿を消した。
もちろん尾行するのだが俺の姿が微妙に注目を浴びていた。
恐らくスーツ姿の女という要素のせいだろう。
娘は俺の尾行されている事を察し、ウィリアムを引き連れ上へ下へと逃げる。
それを少し追いかけた所で、すぐに諦めた。
父としては逃げる娘を追いかけて行く末を見届けたいのだが、公爵令嬢として過度な干渉をすべきではないと考えた。
ゆっくりと帰りながら、周りの祭り騒ぎを肌で感じていた。
そして唐突に寂しさを感じてしまった。
娘が俺に隠し事をしていたという実感が重くのしかかって来た。
邪険にされたのだ。
親離れしたという事だろうか。
このまま店に戻る気にもなれず、屋上に向かった。
ちょっと空でも眺めてぼ~っとしてようとしたのだ。
だが、その屋上へつながる扉は閉まっていた。
堅く閉められたドアを開ける程、勝手な振る舞いをするつもりはない。
仕方なく最上段に腰を掛け、見えない空をある物として遠くを眺めた。
出るのはため息ばかりだ。
娘と殿下の関係が気になるのだが、隣国に嫁ぐ前に娘にできる事があるのだろうかと改めて悩んだ。
今の悩みは何ができるかではなく、何をしても迷惑がられないかという点だ。
何をしてもお節介な気がして、何もかもがダメな気がして仕方がない。
父親としての立場もない以上、俺はこれ以上関わるべきではないのかもしれない。
娘の世話を焼けなくなる事が、これほどまでに心に隙間を作ってしまうとは思ってもみなかった。
「なぁ・・・カオリ・・・俺はどうしたらいい」
思わず妻に聞いてしまったが、その答えは返ってこない。
妻は俺が少し留守にしている間に、何者かによって殺された。
仇を討つべく情報を集めたが分からず仕舞いだった。
妻は村の隅っこで遺体で発見され、見つけた時にはすっかり冷たくなっていたのだ。
聞きまわって得れた情報は、知らない男に呼び出され言い争っていたという事だけ。
何のヒントにもならないのだから、諦めるしかなかった。
それから、俺は娘を育てる事に全力を尽くしながらも、竜騎士団長としての職務も全力であたった。
目まぐるしい日々はあっという間に過ぎ去り、いつしか娘もしっかりしていると思える様になっていた。
娘が立派に育ったことを認め、これ以上は関わるべきではないのかもしれない──
俺が子離れできていないのかなんて思う事もあるが、娘はまだ9歳だ。
せめて隣国に行くまでは見守りたいと思うのは、許されないのだろうか。
誰か答えてくれよ・・・。
「もしかして、カロリーナ様・・・?」
「君は確か・・・」
娘の友達の、たしか名前は───
「エリーさん、丁度良かった、少しお話しませんか」
「はい!喜んで!」
学校の話から始め、徐々に娘の事を聞き出そうと考えていたが、エリーの方から娘の話題をまるで自分の自慢話かのように積極的に出してきた。
だが、その情報に俺は少なからずショックを受ける内容となっていたのだ。
そう、学院内では娘と殿下が既に付き合っているというのだ。
更には娘が今話題の大聖女だという事も明らかになる。
つまり、船上で俺の命を助けてくれたのは娘だったという事になる。
そうなると分からない事がある。
「フランチェスカさんはどうして、私にその事を隠していたのでしょうか」
「憶測になりますが、殿下が元婚約者である事を気に留めているのではないでしょうか。優しい子ですから婚約破棄の原因を作ってしまった事を気に病んでおられましたわ」
「そんなつまらない理由で・・・」
「つまらない・・・のですか」
「ええ、私にすれば王族との結婚には固執していませんから」
「そうですか、結果、より大国の王妃になられるのですから、結果的に良かったですわね」
「あ・・・ああ、そうですね」
こうなると、王族の後ろ盾を得たようなものだから将来的には安心できる。
しかし、気になるのは大聖女と言う肩書だ。
大聖女と言うのはずば抜けた能力を有している者に与えられる称号だが、前例としては全て異世界人だ。
勇者と妻は同郷だという事を思い出した。
つまり、フランチェスカは異世界人の娘と言う事になる。
素質が遺伝・・・妻も、大聖女だったとすれば・・・消えた大聖女・・・まさかな・・・。
繋がった様な気がした。
もしそうだった場合、妻を殺したのは連れ戻しに来たラミレス王国の者の可能性が高くなる。
いや、想像が過ぎるな。
全て仮定に仮定を積み上げたに過ぎない。
どのみち、それを裁くにしても俺の素性や妻の話をする訳にもいかないのだ。
*
「エリーさん、私に話した事は暫くの間、内緒にしててもらえる?」
「わかりました、そのかわり、またお話して頂けますか」
「ええ、喜んで」
もちろん尾行するのだが俺の姿が微妙に注目を浴びていた。
恐らくスーツ姿の女という要素のせいだろう。
娘は俺の尾行されている事を察し、ウィリアムを引き連れ上へ下へと逃げる。
それを少し追いかけた所で、すぐに諦めた。
父としては逃げる娘を追いかけて行く末を見届けたいのだが、公爵令嬢として過度な干渉をすべきではないと考えた。
ゆっくりと帰りながら、周りの祭り騒ぎを肌で感じていた。
そして唐突に寂しさを感じてしまった。
娘が俺に隠し事をしていたという実感が重くのしかかって来た。
邪険にされたのだ。
親離れしたという事だろうか。
このまま店に戻る気にもなれず、屋上に向かった。
ちょっと空でも眺めてぼ~っとしてようとしたのだ。
だが、その屋上へつながる扉は閉まっていた。
堅く閉められたドアを開ける程、勝手な振る舞いをするつもりはない。
仕方なく最上段に腰を掛け、見えない空をある物として遠くを眺めた。
出るのはため息ばかりだ。
娘と殿下の関係が気になるのだが、隣国に嫁ぐ前に娘にできる事があるのだろうかと改めて悩んだ。
今の悩みは何ができるかではなく、何をしても迷惑がられないかという点だ。
何をしてもお節介な気がして、何もかもがダメな気がして仕方がない。
父親としての立場もない以上、俺はこれ以上関わるべきではないのかもしれない。
娘の世話を焼けなくなる事が、これほどまでに心に隙間を作ってしまうとは思ってもみなかった。
「なぁ・・・カオリ・・・俺はどうしたらいい」
思わず妻に聞いてしまったが、その答えは返ってこない。
妻は俺が少し留守にしている間に、何者かによって殺された。
仇を討つべく情報を集めたが分からず仕舞いだった。
妻は村の隅っこで遺体で発見され、見つけた時にはすっかり冷たくなっていたのだ。
聞きまわって得れた情報は、知らない男に呼び出され言い争っていたという事だけ。
何のヒントにもならないのだから、諦めるしかなかった。
それから、俺は娘を育てる事に全力を尽くしながらも、竜騎士団長としての職務も全力であたった。
目まぐるしい日々はあっという間に過ぎ去り、いつしか娘もしっかりしていると思える様になっていた。
娘が立派に育ったことを認め、これ以上は関わるべきではないのかもしれない──
俺が子離れできていないのかなんて思う事もあるが、娘はまだ9歳だ。
せめて隣国に行くまでは見守りたいと思うのは、許されないのだろうか。
誰か答えてくれよ・・・。
「もしかして、カロリーナ様・・・?」
「君は確か・・・」
娘の友達の、たしか名前は───
「エリーさん、丁度良かった、少しお話しませんか」
「はい!喜んで!」
学校の話から始め、徐々に娘の事を聞き出そうと考えていたが、エリーの方から娘の話題をまるで自分の自慢話かのように積極的に出してきた。
だが、その情報に俺は少なからずショックを受ける内容となっていたのだ。
そう、学院内では娘と殿下が既に付き合っているというのだ。
更には娘が今話題の大聖女だという事も明らかになる。
つまり、船上で俺の命を助けてくれたのは娘だったという事になる。
そうなると分からない事がある。
「フランチェスカさんはどうして、私にその事を隠していたのでしょうか」
「憶測になりますが、殿下が元婚約者である事を気に留めているのではないでしょうか。優しい子ですから婚約破棄の原因を作ってしまった事を気に病んでおられましたわ」
「そんなつまらない理由で・・・」
「つまらない・・・のですか」
「ええ、私にすれば王族との結婚には固執していませんから」
「そうですか、結果、より大国の王妃になられるのですから、結果的に良かったですわね」
「あ・・・ああ、そうですね」
こうなると、王族の後ろ盾を得たようなものだから将来的には安心できる。
しかし、気になるのは大聖女と言う肩書だ。
大聖女と言うのはずば抜けた能力を有している者に与えられる称号だが、前例としては全て異世界人だ。
勇者と妻は同郷だという事を思い出した。
つまり、フランチェスカは異世界人の娘と言う事になる。
素質が遺伝・・・妻も、大聖女だったとすれば・・・消えた大聖女・・・まさかな・・・。
繋がった様な気がした。
もしそうだった場合、妻を殺したのは連れ戻しに来たラミレス王国の者の可能性が高くなる。
いや、想像が過ぎるな。
全て仮定に仮定を積み上げたに過ぎない。
どのみち、それを裁くにしても俺の素性や妻の話をする訳にもいかないのだ。
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