ドラゴニック・ブラッド ~竜騎士だった俺の転生先は死んだ公爵令嬢だった。令嬢なんて面倒くせえ!勝手気ままに生きてやる!~

なのの

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5.モルバーン学園(一年生編)

5-54.

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 大聖女の事は、娘から言われるまで知らない事にした。
 船上のお礼をしたいところだが、それは秘密に繋がるので憚られる。
 少し寂しくはあったが、この先、娘が食いっぱぐれる事がなくなるのであれば問題は無い。
 俺の手を完全に離れたのだ。

 ちくしょー!滅茶苦茶寂しいよ!

 叫びたい気持ちを抑え、目頭が熱くなるのを我慢した。
 少し落ち着いたら店に戻ろう、少し歩き回り気分転換したら戻ろう。
 そんな事を思ってると気持ちがぐちゃぐちゃになる。
 これで心残りなく、この国を去る事が出来るというのに、全く嬉しくないのだ。

 もしかすると、娘を嫁に出す気分というのはこういう感じなのだろうか。
 父親だったとしても、寂しくハンカチを噛みしめるしかない状況だ。

「あらあら、どうしてそんな暗い顔をしてるのかしら」

「フローレンス!来てくれたんだな」

「もちろんですわ、カロリーナ様のスーツ姿を愛でに・・・いえ、働きっぷりを見物に来ただけですわ」

 唐突に声を掛けてきたのはラミレス王国の公爵令嬢のフローレンスだった。
 最近、ラミレス王国ではワイバーン便の拡大を行い、郵便事業の主要都市間の事業をバーランド王国が独占した。
 それに伴い、両王国間では連絡のやり取りがしやすくなっている。
 人的輸送には臨時で竜騎士団が協力しているが、それも近い内に別の手段を考えようという流れになっている。
 フローレンスはその別の手段の一つに、騎獣輸送を提案している。
 大型多足草食獣の飼いならしに成功しているらしく、それを主要都市間の移動手段とするという話だが、その最初に手がけるのが両国間のルートとなり、バーランド王国側の停留地の選定に来る言っていたがそのついでに学園祭に寄ってくれたのだ。

「選定はもう終わったのか?」

「ええ、おおよそは。ですが、契約や停留施設の設計やらに時間がかかりそうですわ」

「つまり・・・」

「ええ、しばらくご一緒できますわ」

「おお!じゃあ遊べるんだな!」

「ふふ、お元気そうでなりよりですわ」

 気分転換ついでというと失礼なのだが、フローレンスと学園祭を回って暫くするとスッキリした気分になった。
 何か色々と無駄な事で悩んでいた気がする。
 考えてもみれば、親として死んだ俺には娘に必要以上に関わるべきではないのだ。
 遠くからでも見守り、大変な時は助ける。
 それだけでいいんだよな。

 最後に、俺達の店に戻った。
 フローレンスは男装したミアやボーリーンをみて大興奮してしまい、宥めるのが大変だった。
 ある意味彼女にしてみれば天国なのだろうな。

 そんな案内している片隅ではスイーツ専門店を出す事を考えていた。
 今回の事を考えると、『ラミレス王国ゆかりの』と言うのは便利なキーワードだなと思っている矢先、フローレンスから苦言が出て来た。

「ラミレス王国ゆかりのって書いていますが、こんなの食べた事ありませんですわ、これはどういう事なのでしょう?黙っててもいいのですが・・・分かっていますよね」

「お、おう、わかった(何がだろう)」

「そうと決まれば内装や衣装など、私に任せてくださいな。そして同じ店をラミレスにも出しなさい、それで手を打ちましょう」

「いやあ・・・そうしたいのだが、そうするには人員が足りないなぁ、キッチン担当の子らはルグランジで教育した孤児達が殆どなんだよ」

「まぁ、このレベルの料理が孤児達でどうにかなるというのですか?でしたらラミレスでも教育すべきです。ルグランジはそういう所がそういう場所の拠点なのでしたら、見学に行ってみたいですわね、学園祭おわったら連れてってくださいな」

「あ・・・ああ。そうだな、それは考えないといけねえな。丁度こっちの王都でも広めたいと思ってた所だし、先にそっちで2つ目の拠点を開くのもありだな」

「そうですわ、停留地にルグランジを追加しましょう。似たような環境の街をもう一つ、ラミレスの王都とこちらの間にも一か所追加して、そこに教育施設を建てましょう、そうすれば連絡も取りやすいでしょう?」

「おお、それは有り難いな」

「ただ、それまでに一つ解決せねばならない事案が・・・」

「なんだ、問題があるのか。何があるんだ」

「両国間のちょうど真ん中あたりにですね───」

 フローレンスが言うには山脈を迂回した時のルートの一部がと小国プルサウンの領地があり、その区間だけ治安が悪く盗賊が出やすい上に通行料がべらぼうに高いと言う話しだ。
 国としてはバーランド王国の10分の1以下しかなく、人口もかなり少ない上に有能な人材ほど他国で働きたくなるという状況に、人材不足に困っているといった悲しい現実がある。
 それはつまり、国民に愛国心が足りないの一言で説明がつくのだが、その原因はその国の国王の考え方について行けないという点が大きい。
 ぶっちゃけ、迂回ルートを使わずに山脈を突っ切った方が余計な費用がかからず安全なのは皮肉な話だが、非戦闘員ばかりだとそうはいかないのが悩みどころと言ったかんじだ。

 じゃあそんな小国、占領してしまえばいいではないか、という意見もあるのだが、その小国を緩衝地としている不毛で広大な領地を誇る軍事大国ソルレーンが背後に居るのが問題になる。
 そこが出てくると全く持って面倒な話になってしまう。
 昨今、そのソルレーンの地方にて、魔王が復活したとか噂が立っているのだが国交がない上に半ば冷戦状態にある為、俺は踏み入れる事は出来ないでいた。

 *

「なぁ、俺もその大型多足草食獣・・・なんだっけ」
「スプパーイドダルーですわ」
「・・・覚え辛いんだよ、その名前。それ、乗ってみたいなぁ。今度、運航する時乗せてくれよ」
「分かりましたわ、半月もしない内にこちらに一行が来る予定ですので、そこで一緒に帰りましょう」
「ああ、頼んだ」
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