ドラゴニック・ブラッド ~竜騎士だった俺の転生先は死んだ公爵令嬢だった。令嬢なんて面倒くせえ!勝手気ままに生きてやる!~

なのの

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5.モルバーン学園(一年生編)

5-59.

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 世の中、分かりやすい悪なんて存在しない。
 大体それぞれに正義があって自分を悪とは思っていない。
 敵対者は影で暗躍し、秘密裡に害をなそうとする。
 正々堂々と俺の前にでてくる魔族なんかは優しいモノだ。
 なんて厄介なのだろうか。
 竜騎士団にいる頃はそんな面倒な事は全く無かったのにな。

 今回の目的はなんだ?
 俺か、フローレンスか、はたまた大聖女の誰を排除しようとしたのだろうか。
 そもそも排除するなら、もっと致死量の毒を盛るだろう。
 そんな考えを巡らしていると、生徒会会計のダグラスがやって声をかけてきた。

「カロリーナ、首謀者の特定ができたぞ」

「誰だったんだ、ソイツは何処にいる」

「落ち着け。責任者だったのはこの学園の生徒だが、ブヒトニーの舎弟みたいな奴で倉庫で亡くなっているのを発見した」

「証拠隠滅かよ、動機は俺に対する逆恨みってとこか」

「ブヒトニーが黒幕ならそうかもしれんな、あと調理した奴だがアレシフェルン王国海の向こうからの刺客だ。同盟阻止が目的だろうな」

「成程な、それを手引きしたのがブヒトニーって事か。同盟阻止と言う事はフローレンスがターゲットだった可能性が高いのかもだな」

「そのブヒトニーだが、聞き込み情報によると学園内に居るらしい」

「間抜けか?さっさと国外逃亡するレベルの事件を起こしといて・・・」

「正直、証拠まではないからな、取り押さえるには至れない訳だ」

 それにしても簡単に尻尾を掴めたものだ、ブヒトニーが関与しているならレイラが利用されたのも納得がいく。
 これは、ダグラスの情報収集能力の高さと言った所だろうか。
 考えるよりも体が先に動く俺には出来ない芸当と言っておこう。

「つまり人探しが必要と言う訳だな」

「ああ、今は協力者がブリトニーを探しているところだ、見つかり次第、事情聴取する」

「学内くらいだったら、俺らに任せろ」

「俺ら?」

 俺はディーナに目配りをするとディーナはコクリと頷いた。

 部屋の窓を全開にして俺とディーナは手と手を合わせる。

 魔操糸術の真骨頂───

 二人以上でシンクロすると糸の展開範囲は異常なまでに広がる。
 そしてその糸から伝わるのは話し声から心臓の鼓動まで、その気になれば魔力感知まで可能となる。
 その感知した中から、怪しい場所、怪しい挙動、怪しい会話をしている奴を見つけ出す。

「ディーナ、分かってるな?校舎内なら人気の無い場所、校舎外なら隠れられそうな場所を探すんだ」

「分かってるよ、カロリーナちゃん!」

 この術は何度もやりたくはない。
 自身の神経を学内全域に張り巡らせるのだから、激しく精神力を疲労する。
 神経だけではない、見たいところの視界情報も観たい放題となるのだが、それを続けている内に頭痛が酷くなる。
 とは言え、怪しい場所を次々と見て回る必要がある。
 その視界情報は俺の脳裏に映し出すのだが、脳裏に映るのは色あせた波紋といった輪郭だけの情報でしかない。
 ただ、あの太った姿なら見れば分かるという訳だ。

 場所の選定をディーナが行い、それを俺が確認する。
 だが、すぐに見つかりはしなかった。
 怪しい場所で媾う男女がばかりが目に付く中、離れた倉庫の陰にその姿を見つける事が出来た。

「まずい、ダグラス!西の一番遠い倉庫にブヒトニーを見つけたが、何者かに取り囲まれている」

「わかった、すぐに向かう!」

「頼んだ」

 救出、になるのかはわからないがダグラスが向かってくれた。
 俺とディーナは精神力を消耗したので休憩を取ろうとしたのだが、ディーナの表情は曇っていた。
 久しぶりの魔操糸術展開に疲れたかと思ったがどうもそうではなかったようだ。

「カロリーナちゃん・・・一か所、走査できなかった場所があるんだけど」

「どこだ?」

「今回の場所とは全く逆の方向にある・・・建物・・・廃墟?みたいな感じの所」

「それはもしかすると、あそこか・・・学内にあるダンジョンだな・・・」

「その周りを走査しているとね、魔族の波長を感知したの」

「・・・・!!」

 まさかアイツらがまた来たとでもいうのだろうか。
 アイツらの目的は明らかに俺だった。
 何しに来たのかは知らんが、俺を呼び出しているのかもしれない。
 俺が行くしかないと考え、フローレンスに伝言を頼む事にした。

「ちょっと行ってきます、陛下が来たらそう伝えて貰えますか」

「私も行きますわ」

「フローレンス・・・これ以上、この国の中でゴタゴタに付き合う必要はない」

「いいえ、未来の王妃を守るのも貴族の役目。その役目を放り出すことなど公爵令嬢として陛下に面目が立ちませんわ」

「そこまで言うのなら、フランチェスカ、伝言頼めるか」

「・・・分かりました」

 顔にはついて行きたいと書いてあるのだが、それを許可する事はできないし、皆の回復に尽力して疲れているのだから足を引っ張る事を自分で判っているのだろう。
 ディーナも同様だ、ついて行きたいのは山々だろうが魔操糸術展開に疲れているのだ。

「二人共待っててくれ」

 そういうとフローレンスと保健室を後にした。
 道中、気づけばフローレンスは小ぶりの杖を持っていた。
 フェレーラ家は魔術の名門だと聞いてはいたが、付いて来る以上、彼女は相当な腕前なのだろう。

「それより、カロリーナは手ぶらで宜しいの?」

「まぁ、携帯武器があるから大丈夫だ」

「そんな便利なモノがあるのですか」

 人気が無くなった所でセブンフェイスを手ごろなサイズで召喚した。
 フローレンスは突如として現れたように見えたらしく、目を丸くして少し興奮したようだ。
 そして、目的地までは少し距離があったので、言いづらい事を言ってみる事にした。

 *

「フローレンス、陛下と結婚する気はないか」
「ブッ、な、なな、何を仰いますの」
「いや、俺じゃ子を成す事が出来ないと思うのだ、理由は言えないのだが」
「ではカロリーナは結婚する気はないという事ですか?そんなのは駄目ですわ」
「ああ、婚姻については特に問題ない、ただお飾りでいいんだ。最愛にして子を成すのが俺ではなく、フローレンスであれば後顧の憂いがないというだけだ」
「・・・少し考えさせてください、ですが、その件、陛下はご存じなのですか」
「いや、まだ話ていない」
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