ドラゴニック・ブラッド ~竜騎士だった俺の転生先は死んだ公爵令嬢だった。令嬢なんて面倒くせえ!勝手気ままに生きてやる!~

なのの

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5.モルバーン学園(一年生編)

5-60.廃墟ダンジョンにて

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 ダンジョンがある廃墟にたどり着いた瞬間、その周囲にあったはずの人の気配がなくなった。
 その気配は廃墟ダンジョンに入って行ったように思えたのだが、そこで俺らも追う事になった。

 ダンジョンに入ってすぐの事だ。
 遠くに人影が見えたのを追いかけたのだが、あっという間に見失ってしまう。
 ここで、ディーナが居ればと思う所ではあったが、気長に探索するしかない。
 魔族の気配はそこら中に痕跡を残し、俺の気配察知を邪魔していた。
 恐らくはメイジ系の魔族で、攪乱系の魔法を使っているのだとフローレンスは話す。

 逃げる一方の敵かと思いきや、何やら少女の喘ぎ声が聞こえてくる。
 一体何をしているのかと思いきや男女の媾うそれではなく、少女がゴブリンに捕まり、拷問に近い事をされていた。
 ゴブリンは少女の口を無理矢理に開かせ、何かの液体を無理矢理大量に飲ませようとしている。
 有名な話だが、人間には媚薬効果のある物を飲ませ、自意識を奪うらしい。
 ゴブリンたちはエロい事をしたいと言う訳ではなく、たまたま人間の自由を奪える薬がそういう効果を持っているだけだという説がある。
 挙句、ゴブリンたち相手に発情する奴もいるらしいが、大抵の場合その症状と戦いながら心を閉ざすという、ある意味精神的な深い傷を追う事となるらしい

 そのゴブリンたちは、少女が葛藤している所をケタケタと喜んで見ているのだが、一匹が周りに罠を張り始めた。
 更に足首のアキレス腱を斬り、動けなくし、裸にして岩に張り付けにし、完全に罠として設置が完了した状態となった状態で、ゴブリンたちは姿を消した。
 俺も観るのは始めてだったが、フローレンスも同様で見るに堪えないと飛び出しそうになっていた。

 そこに三名の冒険者の様な者達が現れ、彼女を救い出そうとする。
 さながら、ヒロインを救う勇者と言った感じだろうか。
 だが、そこにゴブリンが現れ、囲まれてしまう。
 捕まった少女を中心に三名が追い詰められてゆくと、罠が発動しあっさり捕まってしまった。
 最初の罠だから、恐らくは痺れ薬かなにかで自由を奪ったのだろう。

 ケタケタと笑うゴブリンに悔しそうに顔を歪ませるリーダーらしき若い男は強い口調で叫んだ。

「殺すなら殺せ!復活したら真っ先に殲滅してやる!」

 復活とは何だろうか?
 死んだらそこでお終いなのではないのか?
 そんな事を考えていると、フローレンスが魔法を唱え瞬時にゴブリンを燃やし尽くしてしまった。

「これ以上は我慢なりませんわ」

「まぁいいか、とりあえず周囲警戒しながら、奴らに話しを聞こう」

 近寄って行くと、若い男は俺らに対して敵を見る様に睨み付けてくる。
 血気盛んな傍若無人と言った感じだ、何とも感じがわるい。

「貴様らがゴブリンを操り、俺達をこんな目に合わせたのか!」

「お前らは馬鹿か、ゴブリンが勝手にやった事だ、俺らはしらん。まず、ゴブリンが罠を張るのは当たり前の事だ、踏めば簡単に発動する罠は小石を投げれば分かるだろうが、そんな事も知らずによくダンジョンに入る気になったな。己の浅はかさを呪え」

「クソッ、俺達の仲間をこんな目に合わせておいて・・・卑怯な奴らめ!」

「何度言えばわかるんだ、俺達は何もしてない。お前らの後にダンジョンに入っただけだぞ、ゴブリンなんぞ使役した事もする予定もないわ」

「マッテオ・・・この人達、敵じゃないんじゃない?」

「騙されるな!この国は魔族の国で、滅ぼさなければならない敵国なんだぞ」

 このリーダーは女剣士の声に聞く耳を持たないらしい。

「じゃあ殺されても文句は言えないって話か?まぁ、殺さんけどさ、死にたきゃ舌でも噛んでろ」

「くっ、何をする気だ!おい、そこの女、仲間に手を出すな!」

 フローレンスが岩に縛り付けられている女を解放しただけだというのに、この言い草だ。
 だんだん腹が張って来た。
 戦闘らしき戦闘も無かったし、俺のストレスは溜まる一方だ。

「フローレンス、こんな奴ら放っておこうぜ」

「ですが・・・まぁそうですわね」

「お願いです!助けてください!」

 懇願する女剣士に対して、リーダーらしき者がさらにきつく当たる。

「おい!弱みを見せるな!少しでも油断したら、魂を持ってかれるかもしれんぞ」

 あまりにも腹が立ったので、リーダーの腹を蹴り上げると、もはや親の仇ともで言い出しそうに睨んでくる。

「こちとら人間だ、誰から聞いたか知らんが助けられて礼の一つも言えない狭量の奴を助ける義理はない。ここに置いてゆく。んでもって睨んで恨んで憎めばいい。それが嫌ならどこの国の者かくらいは教えろ、たったそれだけで命を助けてやる」

「ほら見ろ!悪魔の本性を出し始めたぞ!お前の言う通りなんてするもんか!」

「私達、勇者パーティはアレシフェルン王国から来ました!ここに魔王が居ると聞いて転送魔法で送ってもらったのです」

「おい、べらべらと喋るんじゃない!」

「勇者?コイツが?ゴブリンに捕まる程度の勇者ってなんだ?そんな弱い勇者聞いた事ねーぞ」

「くっ!」

「約束だからな、助けてやるよ。あとここは人間の国だ、魔族は居ない」

 その言葉に、フローレンスが頭を傾げた。

「何を言っておられるのですか?未だ一言も話してない、魔法使いっぽい方は魔族ですよね?」

「ビアンカが・・・!?」

「んー・・・ああ、確かに、魔族だな、お前ら、魔族引き連れて何をするつもりなんだ、魔族を憎んで置きながら魔族を連れてくるとは片腹痛てえよ。どうなんだよ?そこの魔族答えろ!」

「───精霊よ怒を以て焼き尽くせ!『ファイ───」

 魔法を唱えようとするビアンカとやらの胸を剣で貫いた。
 それと同時に、絶叫と共に灰となって崩れ落ちた。
 魔族の死に方そのものだ。
 ただ、これは正確には死んだわけではなく魔界に引き戻されたらしいが、戻った所で力を大きく失うらしい。

「お前ら魔族を倒しに魔族を連れてくるなんて馬鹿か?」

「知らなかったの!本当です!」

 女剣士は必死に懇願する。
 この子は素直でいいな、この子から自由にしてやるか。

 聖女の力を使うのは得意ではないが、この子なら優しく守ってやろうなんて思えるのだ。
 手を合わせて祈りを捧げると、少しばかり彼女は楽になったのか、麻痺から脱する事ができたみたいだ。

「あなた、よくわからないわね、剣を使う回復職なのかしら?」

「カロリーナだ、一応この国の公爵令嬢をしている。魔法剣士で聖女を少し齧ってるだけだよ」

「私はテレーザよ、ありがとうね。ちっちゃいのに凄いのね」

「ちっちゃいは余計だ!」

 ちなみに最初に捕まっていた少女の職業はスカウトで、名前はエミリーと言うらしい。
 年齢はテレーザとマッテオが18歳、エミリーが14歳だというのだから、当然ながら俺より年上だ。
 ダンジョンから脱出するまでの帰り道のマッテオの落ち込み様は見てられない程で、なにやら国が信じられないとかブツブツ呟き続けていた。

 *

「お前さぁ、ちょっとくらい愛想良くできんのか?」
「何言っているんだ、祖国に騙されたんだぞ、怒りが込み上がってどうにかなりそうだ」
「アレシフェルンからみて、バーランドってどんな国として見られてるんだ?」
「国とすら見ていないぞ。蛮族の集まり、烏合の衆、魔族の蔓延る地域と言った感じだ」
「はぁ・・・なんだそりゃ。それにしても海の向こうだというのに言葉が同じというのも面白いな」
「そう言えば・・・」
「国の特徴を出し合ってゆけば、共通点が見つかってこちらも普通の国だという事が分かるだろう、どうだろう?道中の暇つぶしだと思って、あと恨んでばかりじゃ眉間の皺が取れなくなるぞ」
「それは・・・ふむ。やってみようか」
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