ドラゴニック・ブラッド ~竜騎士だった俺の転生先は死んだ公爵令嬢だった。令嬢なんて面倒くせえ!勝手気ままに生きてやる!~

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5.モルバーン学園(一年生編)

5-66.

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 学園祭の翌日、ディーナ、シェイラ、モニカ、ミンディやセシリア、フローレンス、娘、更にマッテオ、テレーザを引き連れ王都を観光する事になった。

 意外な事にエミリーはヒューゴが精神的なトラウマを少し緩和させた。
 さすが、大聖堂を任されてるだけはあると言った感じだが、その切っ掛けとなったのは『神に縋る』という行為に他ならない。
 要するにエミリーは新たに神を信じる事で、精神的な支柱を得たという事なのだろう。
 あのままで居るよりは百倍マシと思い、エミリーはヒューゴに預ける事にした。
 人に対しての恐怖心があるもののヒューゴには普通に接する事が出来る様だった。
 ヒューゴの傍にいるという事はエミリーもシスターの恰好をして神に奉仕する事なのだが、それもあっさり承諾し、今日から大聖堂に入る事になっている。

 そして残酷な話だがマッテオ、テレーザに対しては怯えて全く話す事が出来ないという状況だ。
 きっと二人を見る事であの時の事を思い出してしまうのだろう。
 その結果、マッテオ、テレーザはエミリーと別れる事を決意し、時間を置く事にした。
 それでもヒューゴと話すエミリーが元気に見えたのは二人にとって救いになったのだろう。
 そして、二人は仲間の事を無理矢理に忘れようとしてか、元気に明るく振舞おうと無理をしている様子だった。
 さらに、そんな二人を心配しているのはセシリアだった。

「カロリーナ様はあの二人の事、どう思うの?」

「今はそっとしておいた方が良いだろう。空元気でも前向きになってるのなら、そのままでいいんじゃないか?」

「うん・・・そうよね」

 セシリアも国から追放されそうになったという辛い過去があった。
 それだけに、他人事のようには見えないのかもしれない。
 特にマッテオには同情しているように見えた。

 一方、そんな事情を知らないフローレンスはディーナと楽しそうに観光していた。
 ただ、よくよく話に耳を傾けると、王都で出店するならどこが良いかを真剣に話していた。
 そこはもうフローレンスとディーナのセンスに任せてお良いかと思ってしまう程、深い話をしていた。
 もう、俺と同行する意味はないんじゃないだろうか。

 シェイラ、モニカ、ミンディは娘と一緒に行動し意気投合していた。
 お店で甘い物を食べては評価を付けて回るのが楽しいらしい。
 極力競合せず、如何に売り上げを伸ばせるかというメニューの選定を課題としている様だ。
 営業開始からの暫くは商品の種類も限られるかもしれないのだから、そういう厳選も必要なのだろう。
 そしてそこに、俺は必要なのかと確認したくもなる。

 マッテオ、テレーザについては、俺の言ってた通り、本当に人間の国だという事にさらに追い打ちをかけられるように落ち込んでいた。
 ほんの少しばかり『実は魔物の国でした』みたいな事を期待していたのかもしれないが、そんな事にはならなかったのだ。
 現実を目の当たりにして、打ちひしがれているというべきだろうか。
 それでも、観光を満喫しようという前向きな姿勢は良い事だと思う。
 そして、飲み食いしまくりの代金は全部俺の財布から出費となる訳だ。
 いつか返してもらおう。
 別に困っている訳ではないのだがな。

 俺としては王都に出店となると、従業員が居住できる場所を優先的に用意したいと考えている。
 店舗の二階、三階を居住エリアとした場合、拡張性に乏しい上にセキュリティの問題がある。
 もし不審者が夜な夜な店に侵入した場合に従業員が危険にさらされる可能性を考え、店舗とは別の建物としたいのだ。
 それは休みの時に店の事を気にせず遊べるというメリットもある。
 従業員専用の寮は店から遠くてもダメ、近すぎてもダメ。
 せめて1ブロック以上離れた、周りも居住区がある事を要件としていた。

「なぁ、ちびっこ」

「殺すぞ」

「ごめん、えっと、カロリーナだったっけ」

「そうだよ、マッテオ。人の名前を忘れるな、それは最低限の事だ」

「わかったよ」

「それでどうした」

 マッテオはすこし言いづらい感じで押し黙ったが、テレーザに背中をつつかれてようやく話し始めた。

「やっぱり、ルグランジに行かず、ここで働かせてくれないか、なんでもやるからさ!」

「そうか、あまり王都に居るのはお勧めしないのだが」

「そうなんだろうけど、エミリーの様子を時々見たいからさ、できたら王都ここに留まりたいんだ」

「お前らがそういうなら、ホールで雇わなくはないが、何があっても知らんぞ、出身の事は隠し通せよ」

「おう!ありがとうな、思ったよりも寛大なんだな」

 一言余計だと思いつつも、マッテオの表情が明るくなったから、まぁいいかといった感じになった。
 一件落着かと思っていると今度は、ディーナが何か話したそうだった。

「カロリーナちゃん・・・」

「なんだ、大抵の我儘ならきいてやれなくもないぞ、今の俺は寛大だからな」

「じゃあさ、お願いがあるんだ」

「なんだ?」

「ラミレス王国に私も連れてって!ラミレスの王都の従業員じゃなくて、カロリーナちゃんのお付きのメイドとして!」

 唖然として食べてるものを落としそうになった。
 ディーナはそんな事を悩んでいたのかと、気づけなかった自分が恥ずかしくなる。
 なんでも知ったつもりになって何様のつもりなのやらだ。

 連れて行くのは容易な話だが、専属メイドとなると話が変わる。
 メイドにはメイドとして求められる技能があり、それは俺では教えられる事ではない。
 誰に師事してもらえればできるのだろうか、そんな事もさっぱりわからん。
 父に言えばどうにでもして貰えるだろうが借りを作る事になって宜しくない。

「カロリーナちゃんはあれこれ自分で考えすぎ」

「うん?」

「どうせ、メイドの教育方法について悩んでるんでしょ」

「よくわかったな」

「それくらい、私にも当てがあるのよ、といってもフローレンス様なんだけどね、上級メイドに必要な事を教えてくれるって」

「どうしていきなり上級メイドなんだ?」

「だって、王妃付のメイドよ?上級以外が付く訳ないでしょ」

「ああ・・・確かに」

 ふむ・・・成程。
 だが、いつどこで教えて貰うのだろうか。
 今日、明日で覚えれる程、たやすいモノなのだろうか。

「これからね、上級メイドになる為にフローレンス様の元で修行してもらうの。何人ものメイドに教えて貰えるんだって、だから、その、ごめんなさい、こちらの王都の出店に付き合えません!」

「・・・いいよ」

「え」

 しかたないじゃないか、これほどまでに真剣に考えた事を俺が反対できる訳がない。
 ディーナの頭を撫でながら、少し寂しくなると同時に目頭が熱くんる。
 いや、この先一緒に居るために、一時的に別れるだけだ。
 これまでだって、ずっと一緒に居た訳じゃないのだ。
 悲しむような事じゃない・・・はずなのに。

「良いと言ったんだ。全部俺の為なんだろ?だったら俺が止めれる訳がないだろ」

「うん・・・」

「でも、みっちり2年もかかっちゃうよ。それでも厳しい期間なんだって・・・2年も会えないの・・・辛いよ」

「じゃあ、俺から会いに行く。その都度成果を見せてくれ。なんだか、ラミレス王国に行く楽しみが増えたな」

「うん」

「フローレンスの帰国について行くのかな、少し寂しいが仕方ないな」

「うん」

「泣くなよ・・・」

「うん」

 ディーナは俺に抱きつき、静かにすすり泣く。
 本来であれば、ここで俺もホロリと涙を溢すところだ。
 それがいまいち感傷的な気分になれなかったのは出会った当時よりも大きくなった胸の谷間に顔をうずもれてるからだ。
 前世であれば役得として喜んで居ただろうが、今は同性の上、立場もあり『ぐへへ』なんて思う事が出来ない。
 いっそ俺の方がでかくなればなんて願ったりもするが、なんとなくここまで大きくは育たない様な気がするのだ。
 ちくしょう・・・次に会った時は、俺の胸に埋もれさせてやるんだからな!

 *

「フローレンス、ディーナの事を頼んだ」
「もちろんですわ!」
「おい、何故、涎を垂らす。いかがわしい事をするんじゃないだろうな」
「ちょ・・・ちょっと耳を触らせてもらったり、一緒に寝たりできないかしら・・・とは思ってるけど」
「思ってるのかよ」
「でも、教育は任せて頂戴!ウチのメイド達と皆でで・・・教育するから!」
「本音漏れまくりだな・・・まぁ、頼んだ」
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