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5.モルバーン学園(一年生編)
5-74.バーランド近海にて(フランチェスカ視点)
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私もファーヴニルさんに会いたかったのに、海戦に行く事になってしまった。
本来なら竜騎士団のドラゴンに同乗するところがカロリーナ様がヴァンテを連れて行ったので軍艦に同乗する事になる。
カロリーナ様の話からラミレス王国の旗艦に乗る事になるのだけど、バーランド王国の船員から抗議の声が上がる。
「大聖女様はバーランド王国の国民だ!我らの船に乗るべきだ、あなた達には任せられない」
無理矢理に私の手を引っ張る力は強く、私が抵抗しようと問答無用で連れて行くと言った感じだった。
そこで、その手を跳ね除けたのはオルドリッジ様だった。
「今や大聖女殿は我が婚約者の妹君となっている。そのカロリーナより俺に託すと言われたのだから俺が保護するのは正当な事だ。文句があるのならカートレット公爵令嬢に代わり、私が受けて立とう。公爵家と俺に喧嘩を売りたい奴は出て来い!」
それで声を上げる者はいなかったのだけど、動揺する人達をかき分けて出てきた人がいた。
「カートレット公爵がどのような権力をお持ちだというのだろうか?我々は聖騎士団だ、こと戦時に置いてどれだけ高位の貴族であろうと軍の最高位である我ら聖騎士に従うのが道理。大聖女様は此方へ来ていただく」
「ではその権限は一国の王をも上回るというのか?未だ海戦の『か』の字も知らぬお主らに任せるのは愚の骨頂、お前らは船の勉強がてらについて来るという立場である事を忘れぬことだ。そろそろ乗船の時間である、御引き取り願おう!」
時間切れを装って強引に私を乗船させる。
それを不満とした聖騎士の方はキレたのか周囲の船員に暴行を加えて自船に向かった。
「この国の聖騎士と言うのは初めて耳にしたが、そんなに偉い部署なのか?」
「会うのは初めてです。確か大聖女の誕生を機に再結成されたというお話を耳にした事はあります」
そう、私の為に結成したと言う話なのだけど、私を守る素振りも何もない。
説明も無ければ、顔合わせも無く、噂だけの存在と思っていた。
そんな彼らが、私の付き添いや護衛でラミレスの軍艦に乗るという事はせず、バーランドの軍艦に乗り込むというのも変な話。
護衛と言う立ち位置ではなく、単に軍の上層部が結成したという感じに思えてきた。
「奴ら、海戦を何だと思ってるのだ、あんな重装は自殺するつもりか?海戦で騎士道なんて何の役にも立たんのにな」
たしかに何ができる人達か分からないけど、素人目にも彼らの重武装は海戦には不向きだと思えた。
敵船に乗り込んで拿捕みたいな事をするなら別かもしれない。
そういう目的なのかと思えば、要らぬ戦略だという。
「乗り込みで戦闘?そんなのは前時代的だ。圧倒的な火力で戦闘する以上、乗り込む段階になってる時点で決着は付いてるよ。ほとんどの場合航行不能になるか沈没しているからな」
出航の時間となり、六隻がずらりと並んで進む中、私達の乗る旗艦は先頭に、最後尾はバーランド王国の船だった。
そろそろ敵艦が見えてくる頃合いになると、何処からともなく声がした。
「───こちら5番艦エイヴォン、六番艦は問題なく追尾してきている模様」
「こちら旗艦グレートウーズ、追尾了解」
船員は何かの道具で会話している様だった。
直接話せる距離にない程離れる以上、こういう通信技術の発達は必要と言う事なのかも。
私はその道具に興味を示していると、オルドリッジ様が説明してくれた。
「面白いだろう?通話できる距離こそ短いが、海戦するのには十分な通話範囲の魔導具なのだよ」
「いいですね、国家間で使える様になれば、離れた人と話せて便利そうです」
「ふふ、話したいのはカロリーナとなのだろう?」
「ばれちゃいましたか」
離れても会話ができるなんて夢のような話。
そんな魔導具を私みたいな平民出の人間が持てるのかは怪しい。
でも、全く希望がない訳じゃないというのは、やっぱり嬉しい話になる。
そして、それからすぐの事、マストの高い所から、敵影発見の一報が入る。
「こちら旗艦グレートウーズ、各艦に通達、敵影発見。これより戦闘に入る」
直後、ガコンガコンと何かのカラクリが動くような聞きなれない大きな音がする。
少し不安になっているとオルドリッジ様が、この音は大砲の発砲準備だと教えてくれた。
しばらくすると、前方から直進してくる船が見え始めると同時に、こちらの船は進行方向を変え始める。
敵船に対して真横になった途端、オルドリッジ様の掛け声で耳が壊れそうになる程の轟音が鳴り響いた。
大砲の斉射で遠くにある船が次々と破壊されてゆく。
一方的な攻撃に私の出番なんてなさそうで、少し安心する。
敵の軍艦が一隻、また一隻と沈んで行く中、一隻に何人の搭乗していて、何人が命を落としているのかと思うと心が締め付けられる。
これが戦争と考えると、父のしてきた事の大変さが肌で感じ取れる感じがする。
軍人の娘がこんな事で動揺してどうするかと自分を叱咤する。
俯きかけた顔を上げ、沈む船をしっかりと見据えた。
私は私の出来る事をするまで。
気合を自分に入れ直したところで、マストの上の方から動揺の声が聞こえる。
「あれは・・・あれはなんだ・・・陛下!前面に装甲を施した船がいます!」
「正面からの攻撃を防ぐという訳か、ならば放物線を描いた攻撃をするまでよ、砲手に伝えよ!敵は上部が弱点だと!」
オルドリッジ様の指示は的確で、何隻かは上部への攻撃で沈んでいった。
ところが、敵艦の周りに光の膜が形成され、攻撃が通らなくなる。
それは私と同じ聖女の術、守り手が居るという事を示唆している。
でもその力はどこか、悲しみを感じさせ、本来あるはずの温かみは一切なかった。
そして、オルドリッジ様はそ再び前面への攻撃を指示した。
「一発で貫通できなくとも、二発三発と当てれば必ず通る。臆するな!近ければ近い程威力は増すぞ!」
確かに、その方法でもダメージは入り、時間はかかるけど何隻かは沈んでゆく。
聖女の防御術の範囲は旗艦の上部のみというのが大きい。
問題は働き詰めの砲手の体力だった。
いつしか砲撃の間隔は短くなり、敵艦の射程の中に入ろうとしていた。
*
「安心するがいい、いざとなれば、俺一人で全て薙ぎ払う」
「私が敵の砲撃を全て防ぎます!」
「・・・助かる。いざとなれば上空にいる竜騎士団に拾って貰え」
「逃げる事は出来ません、私は軍人の娘ですから!」
「陛下!大変です!」
「何事だ!」
「5番艦エイヴォン轟沈!5番艦エイヴォンが轟沈しました!」
「そんな攻撃・・・まさか!」
「バーランド王国の船が、我々に攻撃を!!」
本来なら竜騎士団のドラゴンに同乗するところがカロリーナ様がヴァンテを連れて行ったので軍艦に同乗する事になる。
カロリーナ様の話からラミレス王国の旗艦に乗る事になるのだけど、バーランド王国の船員から抗議の声が上がる。
「大聖女様はバーランド王国の国民だ!我らの船に乗るべきだ、あなた達には任せられない」
無理矢理に私の手を引っ張る力は強く、私が抵抗しようと問答無用で連れて行くと言った感じだった。
そこで、その手を跳ね除けたのはオルドリッジ様だった。
「今や大聖女殿は我が婚約者の妹君となっている。そのカロリーナより俺に託すと言われたのだから俺が保護するのは正当な事だ。文句があるのならカートレット公爵令嬢に代わり、私が受けて立とう。公爵家と俺に喧嘩を売りたい奴は出て来い!」
それで声を上げる者はいなかったのだけど、動揺する人達をかき分けて出てきた人がいた。
「カートレット公爵がどのような権力をお持ちだというのだろうか?我々は聖騎士団だ、こと戦時に置いてどれだけ高位の貴族であろうと軍の最高位である我ら聖騎士に従うのが道理。大聖女様は此方へ来ていただく」
「ではその権限は一国の王をも上回るというのか?未だ海戦の『か』の字も知らぬお主らに任せるのは愚の骨頂、お前らは船の勉強がてらについて来るという立場である事を忘れぬことだ。そろそろ乗船の時間である、御引き取り願おう!」
時間切れを装って強引に私を乗船させる。
それを不満とした聖騎士の方はキレたのか周囲の船員に暴行を加えて自船に向かった。
「この国の聖騎士と言うのは初めて耳にしたが、そんなに偉い部署なのか?」
「会うのは初めてです。確か大聖女の誕生を機に再結成されたというお話を耳にした事はあります」
そう、私の為に結成したと言う話なのだけど、私を守る素振りも何もない。
説明も無ければ、顔合わせも無く、噂だけの存在と思っていた。
そんな彼らが、私の付き添いや護衛でラミレスの軍艦に乗るという事はせず、バーランドの軍艦に乗り込むというのも変な話。
護衛と言う立ち位置ではなく、単に軍の上層部が結成したという感じに思えてきた。
「奴ら、海戦を何だと思ってるのだ、あんな重装は自殺するつもりか?海戦で騎士道なんて何の役にも立たんのにな」
たしかに何ができる人達か分からないけど、素人目にも彼らの重武装は海戦には不向きだと思えた。
敵船に乗り込んで拿捕みたいな事をするなら別かもしれない。
そういう目的なのかと思えば、要らぬ戦略だという。
「乗り込みで戦闘?そんなのは前時代的だ。圧倒的な火力で戦闘する以上、乗り込む段階になってる時点で決着は付いてるよ。ほとんどの場合航行不能になるか沈没しているからな」
出航の時間となり、六隻がずらりと並んで進む中、私達の乗る旗艦は先頭に、最後尾はバーランド王国の船だった。
そろそろ敵艦が見えてくる頃合いになると、何処からともなく声がした。
「───こちら5番艦エイヴォン、六番艦は問題なく追尾してきている模様」
「こちら旗艦グレートウーズ、追尾了解」
船員は何かの道具で会話している様だった。
直接話せる距離にない程離れる以上、こういう通信技術の発達は必要と言う事なのかも。
私はその道具に興味を示していると、オルドリッジ様が説明してくれた。
「面白いだろう?通話できる距離こそ短いが、海戦するのには十分な通話範囲の魔導具なのだよ」
「いいですね、国家間で使える様になれば、離れた人と話せて便利そうです」
「ふふ、話したいのはカロリーナとなのだろう?」
「ばれちゃいましたか」
離れても会話ができるなんて夢のような話。
そんな魔導具を私みたいな平民出の人間が持てるのかは怪しい。
でも、全く希望がない訳じゃないというのは、やっぱり嬉しい話になる。
そして、それからすぐの事、マストの高い所から、敵影発見の一報が入る。
「こちら旗艦グレートウーズ、各艦に通達、敵影発見。これより戦闘に入る」
直後、ガコンガコンと何かのカラクリが動くような聞きなれない大きな音がする。
少し不安になっているとオルドリッジ様が、この音は大砲の発砲準備だと教えてくれた。
しばらくすると、前方から直進してくる船が見え始めると同時に、こちらの船は進行方向を変え始める。
敵船に対して真横になった途端、オルドリッジ様の掛け声で耳が壊れそうになる程の轟音が鳴り響いた。
大砲の斉射で遠くにある船が次々と破壊されてゆく。
一方的な攻撃に私の出番なんてなさそうで、少し安心する。
敵の軍艦が一隻、また一隻と沈んで行く中、一隻に何人の搭乗していて、何人が命を落としているのかと思うと心が締め付けられる。
これが戦争と考えると、父のしてきた事の大変さが肌で感じ取れる感じがする。
軍人の娘がこんな事で動揺してどうするかと自分を叱咤する。
俯きかけた顔を上げ、沈む船をしっかりと見据えた。
私は私の出来る事をするまで。
気合を自分に入れ直したところで、マストの上の方から動揺の声が聞こえる。
「あれは・・・あれはなんだ・・・陛下!前面に装甲を施した船がいます!」
「正面からの攻撃を防ぐという訳か、ならば放物線を描いた攻撃をするまでよ、砲手に伝えよ!敵は上部が弱点だと!」
オルドリッジ様の指示は的確で、何隻かは上部への攻撃で沈んでいった。
ところが、敵艦の周りに光の膜が形成され、攻撃が通らなくなる。
それは私と同じ聖女の術、守り手が居るという事を示唆している。
でもその力はどこか、悲しみを感じさせ、本来あるはずの温かみは一切なかった。
そして、オルドリッジ様はそ再び前面への攻撃を指示した。
「一発で貫通できなくとも、二発三発と当てれば必ず通る。臆するな!近ければ近い程威力は増すぞ!」
確かに、その方法でもダメージは入り、時間はかかるけど何隻かは沈んでゆく。
聖女の防御術の範囲は旗艦の上部のみというのが大きい。
問題は働き詰めの砲手の体力だった。
いつしか砲撃の間隔は短くなり、敵艦の射程の中に入ろうとしていた。
*
「安心するがいい、いざとなれば、俺一人で全て薙ぎ払う」
「私が敵の砲撃を全て防ぎます!」
「・・・助かる。いざとなれば上空にいる竜騎士団に拾って貰え」
「逃げる事は出来ません、私は軍人の娘ですから!」
「陛下!大変です!」
「何事だ!」
「5番艦エイヴォン轟沈!5番艦エイヴォンが轟沈しました!」
「そんな攻撃・・・まさか!」
「バーランド王国の船が、我々に攻撃を!!」
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