ドラゴニック・ブラッド ~竜騎士だった俺の転生先は死んだ公爵令嬢だった。令嬢なんて面倒くせえ!勝手気ままに生きてやる!~

なのの

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5.モルバーン学園(一年生編)

5-88.モルバーン学園にて(セシリア視点)

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 唐突に学園が戦場になった。
 聖騎士が率いる騎士団が学園に入り込んでくると話しかけた数名の生徒が暴行を受けた。
 それを助けようとして、生徒が魔法で騎士に攻撃をした。
 そこからは流血が流血を呼ぶ目も当てられない状況となった。
 剣術で騎士に敵う者なんて学園には多くはいない。
 運良く当直の先生が辛うじて同等なりの技量を持ち合わせていたが数の差を埋める事は出来なかった。
 そこに生徒会メンバーが参戦した事で、劣勢ながらも善戦できるようになった。
 特にダグラス様の魔法は相手を足止めするに十分な威力、フラヴィア様の剣術は一対一であれば騎士にも引けを取らず、カレン様の呪術は騎士たちを混乱させた。

 私も魔法で応戦をはじめたけど、悉く防御された。
 せめて仲間の支援をしようと、強化魔法をかける事で周りは多少なりと持ち直す事ができた。
 どうやら、私にはそちらの方面の才能があるみたい。

 そんな劣勢な状況でウィリアム第二王子がブリジット第一王女と共に保護を求めてくる。
 一瞬、士気は上昇したのだけど劣勢が覆る事は無かった。

 もうだめだ、と、諦めかけたその時、ディーナちゃんを筆頭に学園祭を手伝ってくれた4人が現れ、劣勢を覆した。

「私達が来た以上、もう大丈夫ですよ!」

「ディーナちゃん!凄い・・・」

 ディーナさんは謎の技を使い、騎士の鎧を剥がしつつ、服を切り裂き戦意を喪失させていった。
 全裸の騎士を目の当たりにした女生徒の悲鳴に、騎士は狼狽えて逃げて行く。
 流石に下半身をまるだしで戦う程、羞恥に耐えれる人はいないらしく、一瞬で膠着状態に陥った。
 彼女ら4人は幼いながらも、迷宮探索の経験者で冒険者でもあったらしく、レベルも高いらしい。
 その全てはカロリーナ様お陰だというのだから、彼女らの忠誠心には感心するしかない。

 校舎の中に立て籠もり、机をバリケードに使って防衛線を築き上げてから、しばらく戦いが静まった。
 聖騎士が執拗に降伏を要求してきたが、誰一人としてそれを受け入れる事は無かった。
 特に私を名指しで引き渡せば手加減してやると言い出し、生徒からより一層のブーイングの嵐が巻き起こった。

 戦況が変わったのは聖騎士の切り札といわれる人物が現れた時だ。
 人なのか怪しい程に大きな巨体に、大きな武器を振り回す。
 ディーナちゃんが一騎打ちを始めるも、手も足も出なかった。
 一気に状況が悪化しそうになった時、王弟のウエスター侯爵の執事だという者が現れた。

「メサイアと言います、獣人族の人、まだ戦えますか」

「あなたは?」

「通りすがりの味方ですよ」

 たったそれだけの会話とアイコンタクトで共闘する事を確認し合っていた。
 メサイアと名乗る人物は男性とは思えない程の細身で、不思議な形をした武器を使っていた。
 彼が参加すると力は拮抗し始め、団結した生徒と先生の力で、校舎への侵入を阻止する事が出来ていた。
 長い長い戦いは時折休憩を挟みつつ続行される。
 結局、相手も手駒が少ないのでしょう。

 私達は祈るしかなかった、状況も分からず、ただ、耐えるだけの時間。
 海上では外国との戦争が起きているというのに、どうして国内でこのような事が起きるのか分からなかった。
 休憩の合間に彼の事を聞きだそうと話を持ちかけたが、聞きだされた事の方が多かった。

「お疲れ様、甘い物でもどうですか?」

「ありがとう、よくこんな時に用意できたね」

「ここには学園祭で余った材料が校舎内に残ってたんです。腹が減っては戦は出来ないって言うじゃないですか」

「はは、たしかにね。そういえば、君は確かアバークロンビー家の者でしたね。名前は確か───」

「セシリアですわ」

「そうそう、そんな名前だったね。ここにはウィリアム様も来られていると聞いたのだが」

「はい、教室でお休みになられています。何やら竜騎士団の方が襲撃されたらしく、竜騎士の方と此方へ」

 丁度そんな状況に、校舎屋上に竜が着地するような振動が起きた。
 何頭かのドラゴンが来たみたいだった。

「なんだいこの振動は」

「竜騎士の方が竜騎士団の詰め所を放棄してこちらに合流したのですわ」

「そうか、それならあまり時間はないという訳か」

「何のですか?」

「何、ちょっとした野暮用でね、ウィリアム様と話がしたいのだが、案内してくれないか?」

「え、ええ、構いませんが」

 第二王子に何の用なのか、何か引っかかるものがあった。
 このまま連れて行って大丈夫なのかという漠然とした不安に、私は連れて行く事を躊躇した。

「あの・・・、言伝であれば、私が預かりますが」

「いや、こればかりは直接伝えなくてはならない事なのです。王族内の話なので」

「ですが王族内と言うのであれば、アバークロンビー家は王族の血筋、所謂分家ですから、聞く立場にありますよ?」

「君はただの養女で、元を辿ればマルティネス家の血筋だろ?一緒にしないで貰えないかな」

 唐突に冷たい態度を取られた。
 彼の言葉に反論できず、躊躇はしつつ案内するしかなかった。
 そんな時、屋上から降りてきた竜騎士団の方と目が合い、挨拶を交わした。

「これは、カロリーナ様の姉上様ですな。噂はかねがね、私が団長のジャクソンです、そちらの方は?」

「王弟の執事のメサイア様です」

「ほう、随分と若い・・・ですな、しかも常人と異なる力をお持ちで、その力、どこで手に入れたものかお聞かせ願えますかな」

「はは・・・何を言ってるのですか、私はたたの執事ですよ」

「まぁいいでしょう、それでどこに行かれるのですか?我々は王子に会いに行くところですが」

「ちっ・・・」

 彼は何かを焦っているように見えた。

「そう言えばどうして、ウィリアム様と一緒だったのですか?それに姫様まで」

「王子は我々の詰め所に良く遊びに来ていた、おっと・・・、そうじゃなくて、訓練に来ていたのですよ、今日はたまたま、王女様もお連れしてきていたのは幸運の幸いと言った所でしょうか」

「ふふ、幸運の幸いって何ですか、幸せに満ち溢れていますね」

「王子はいま、平民が殆どを占めるフェルレイク学院に通っていますからね」

「王子が平民に交じって勉学とは、随分落ちぶれたものですね」

「あー・・・君は王子が嫌いなのか?それとも、王弟の為に邪魔だとでもいうのではないだろうね?」

 メサイア様は明らかに苛立っていた。
 二人は一発触発状態に陥り、睨み合っている。
 どうしたらよいのか、おろおろしていると、校舎が大きく揺れ始めた。

「なんだ、地震か!?」

「ま、窓の外を見てください!」

 私が目の当たりにしたのは、王城を破壊しようとしている、巨大なドラゴンだった。
 人なんて塵ほどにしか見えて無さそうで、近寄れば潰してしまいそうなほどの巨体。
 その翼も巨大で、羽ばたかせた衝撃が地震の原因だった。
 正直、生きた心地はしない。
 あんなのが暴れれば、この国は一瞬で滅びてしまう。

 そんな時、王宮の上空に国のシンボルが浮かび上がったと同時に声がした。

『この国は私、カロリーナ・アバークロンビーが預かる事となった!逆らう気概の有る者はかかって来い、私とファーヴニルが受けて立つ!同時に国内での戦闘の一切を禁じる!すべての者は剣を収めよ!』

「カロリーナ様・・・」

「団長・・・・」

 え?団長?団長が団長って呼ぶってどういう事?
 そんな事より、メサイア様だ。
 気づけばその姿はなく、いくら探しても見当たらなかった。

 *

「何処に行かれたのでしょう、お礼も言っていないのに」
「トイレじゃないですかね、女性は近いと言いますし」
「え?メサイア様は男性・・・ですよ?」
「いや、明らかに女性でしたよ?腰のラインと言い、匂いと言い」
「な・・・なんだかいやらしい・・・」
「いや、そうじゃなくてですね!」
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