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第一章 カラハダル大森林 異世界転移 編
22-A.魂の交差地点-Ⅰ
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朝を迎えた。
ついに森へと入る時がきたという事実は、ある者達には高揚感を、ある者達には緊張感を与えていた。
カラハダル大森林。
広大すぎるこの森はヴェルジード帝国の成立から二千年近く経った今となってもその全容を把握しきれていない場所であった。
魔物が野放しにされているため人が入る事もほとんど無く、野生動物にとってはまさに楽園のような場所である。
「今更ですけど、なんでわざわざこの森を探索するんでしょうか……?」
ソフィアの疑問は尤もである。
帝都ヴェルジードはもちろん、他の都市でも人口が溢れているなんて話は聞いたことは無く、新たに土地が必要というわけでは無いはずだ。
そんなソフィアの疑問に答えたのはソルであった。
「いずれ軍に所属するつもりならば、魔物との戦闘を早めに経験しておいた方が良いという意見が出たらしいのです。しかし受験者の量を鑑みるに街道や平原では魔物との戦闘をこなせない者が出てくるだろうということで、圧倒的に魔物の数の多いこの大森林が選ばれたみたいですよ」
続けてモブロスが例の如く大きな声で発言をする。
「軍に入れば領内警備のために遠征することもしばしばありますからな! それの訓練も兼ねているようですぞ!」
何故かモブロスは言い終えた後、ソルに向かってサムズアップを決めていたのだが、ソルは若干困り顔であった。
「は、はあ、なるほど……」
若干気圧されつつもソフィアが返答すると、モブロスが声を張り上げる。
「それでは! これよりカラハダル大森林での捜索任務を開始する!」
「ちょっ……!?」
(((捜索……?)))
何か引っ掛かる三人であったが、ずかずかと森に進み始めたモブロスに置いていかれるわけにはいかないので、そのあとに続いた。
森に入り、少し進むと空気が一変する。
先程まで春の陽気を感じていた素肌には少し湿り気を帯びた肌寒い空気が触れる。
「うわぁ……!」
「ピィ!」
その原因が日が遮られているからなのだと気がつき、少し上を見上げたソフィアは息を呑んだ。
背の高い木々の葉の間を潜り抜けて森へと忍び込んだ陽光の作る幕が、葉が風に揺れる度に波打ち、その波を縫うようにして色彩豊かな鳥たちが飛び交っている。
未知の侵入者に対して恐れをなして、枝を伝い方々に散り姿を消していく動物もいれば、興味を抱き木の影から純真無垢な瞳で覗き込んでいる動物もいる。
よく見れば、木の根本や草の裏側に隠れている動物も沢山いた。
「これ、凄いわね……ソフィア」
「うん。凄く綺麗……。管理された森になら入った事はあったけど、こんなに色んな生き物がいる森は初めてかも」
「なんか……生命が溢れてるって感じだな」
「サキトってそんな表現できたんだ」
「俺も自分で驚いてるよ」
非日常的な美しい光景に圧倒されて足を止めていたソフィアたち三人にソルが少し離れた所から声をかける。
「気持ちはわかるけど、一応今試験中だからね!」
「あ、すみません!」
景色になど目もくれずにずんずんと進んでいるモブロスとの距離が開いていたため、三人は慌てて追いかけ始めた。
追いかける最中、ソフィアの肩に乗るロンドが何かを主張している。
「ピ、ピィ……!」
「ん? ロンドも混ざりたいの?」
「ピィピィ!」
どうやら木々の間を飛び回る他の鳥達の姿に触発されたようだ。
「良いよ。でもあんまり離れちゃだめよ?」
「ピィッ!」
翼を器用に折り曲げて敬礼をしたロンドはそのまま羽を広げて空中へと舞い上がった。
飛んだ後をつけるように翠の粒子が舞い、木漏れ日と相まって幻想的だ。
「さあさあ遅れるなよ学院生諸君!」
張りのある声を契機に、探索は本格的に始まったのであった。
ついに森へと入る時がきたという事実は、ある者達には高揚感を、ある者達には緊張感を与えていた。
カラハダル大森林。
広大すぎるこの森はヴェルジード帝国の成立から二千年近く経った今となってもその全容を把握しきれていない場所であった。
魔物が野放しにされているため人が入る事もほとんど無く、野生動物にとってはまさに楽園のような場所である。
「今更ですけど、なんでわざわざこの森を探索するんでしょうか……?」
ソフィアの疑問は尤もである。
帝都ヴェルジードはもちろん、他の都市でも人口が溢れているなんて話は聞いたことは無く、新たに土地が必要というわけでは無いはずだ。
そんなソフィアの疑問に答えたのはソルであった。
「いずれ軍に所属するつもりならば、魔物との戦闘を早めに経験しておいた方が良いという意見が出たらしいのです。しかし受験者の量を鑑みるに街道や平原では魔物との戦闘をこなせない者が出てくるだろうということで、圧倒的に魔物の数の多いこの大森林が選ばれたみたいですよ」
続けてモブロスが例の如く大きな声で発言をする。
「軍に入れば領内警備のために遠征することもしばしばありますからな! それの訓練も兼ねているようですぞ!」
何故かモブロスは言い終えた後、ソルに向かってサムズアップを決めていたのだが、ソルは若干困り顔であった。
「は、はあ、なるほど……」
若干気圧されつつもソフィアが返答すると、モブロスが声を張り上げる。
「それでは! これよりカラハダル大森林での捜索任務を開始する!」
「ちょっ……!?」
(((捜索……?)))
何か引っ掛かる三人であったが、ずかずかと森に進み始めたモブロスに置いていかれるわけにはいかないので、そのあとに続いた。
森に入り、少し進むと空気が一変する。
先程まで春の陽気を感じていた素肌には少し湿り気を帯びた肌寒い空気が触れる。
「うわぁ……!」
「ピィ!」
その原因が日が遮られているからなのだと気がつき、少し上を見上げたソフィアは息を呑んだ。
背の高い木々の葉の間を潜り抜けて森へと忍び込んだ陽光の作る幕が、葉が風に揺れる度に波打ち、その波を縫うようにして色彩豊かな鳥たちが飛び交っている。
未知の侵入者に対して恐れをなして、枝を伝い方々に散り姿を消していく動物もいれば、興味を抱き木の影から純真無垢な瞳で覗き込んでいる動物もいる。
よく見れば、木の根本や草の裏側に隠れている動物も沢山いた。
「これ、凄いわね……ソフィア」
「うん。凄く綺麗……。管理された森になら入った事はあったけど、こんなに色んな生き物がいる森は初めてかも」
「なんか……生命が溢れてるって感じだな」
「サキトってそんな表現できたんだ」
「俺も自分で驚いてるよ」
非日常的な美しい光景に圧倒されて足を止めていたソフィアたち三人にソルが少し離れた所から声をかける。
「気持ちはわかるけど、一応今試験中だからね!」
「あ、すみません!」
景色になど目もくれずにずんずんと進んでいるモブロスとの距離が開いていたため、三人は慌てて追いかけ始めた。
追いかける最中、ソフィアの肩に乗るロンドが何かを主張している。
「ピ、ピィ……!」
「ん? ロンドも混ざりたいの?」
「ピィピィ!」
どうやら木々の間を飛び回る他の鳥達の姿に触発されたようだ。
「良いよ。でもあんまり離れちゃだめよ?」
「ピィッ!」
翼を器用に折り曲げて敬礼をしたロンドはそのまま羽を広げて空中へと舞い上がった。
飛んだ後をつけるように翠の粒子が舞い、木漏れ日と相まって幻想的だ。
「さあさあ遅れるなよ学院生諸君!」
張りのある声を契機に、探索は本格的に始まったのであった。
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