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序章
01.プロローグ
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どこからも日が差し込んでこないほどに木が密生している森で、一人の少女が武装した男たちに囲まれていた。
「聖女様はお優しいから貴様は追放で済んだのだ!だが、殿下と同じく俺らも貴様を許せない!」
男たちは口汚く少女を罵り、軽蔑の眼差しを向けている。まるで親の仇でも見るような目に、彼女はすぐにこれがともに召喚された同級生の仕業だと気づいた。切羽詰まった絶望感が、怒りから殺意に変わる。
「恥知らずの罪人め!聖女様に償うために死ね!」
そう叫んだリーダーらしき男は、大きく剣を振り上げた。
。。。
男子生徒を二人侍らせた女を前に、浮かぶのはまたかという率直な感想だけだった。
「おい聖川、お前また乙姫の教科書を隠したな!」
「夢野さんが優しいからって調子のるなよ」
大声をあげる彼らに面識はない。
ネクタイの色から判断すると同じ高三みたいだが、いくら記憶を掘り返しても全く心当たりがない。
「二人ともやめてっ!いいの……きっとひめが何か心白ちゃんに悪いことをしたの」
そう言うと、夢野乙姫は今にも泣きそうな顔で男子生徒にべったりとくっ付いた。
彼女は校則が緩いのをいいことに髪をピンクに染め、赤いカラコンをして登校している。服装や所持品はピンク一色で、さらに言うと一人称が『ひめ』系女子だ。
正直関わりたくないタイプだが、夢野はなぜか入学したその日から私に目をつけている。
「心白ちゃんはねぇ、ひめの親友なのっ」
いきなりそう宣言した夢野は、私がどこへ行くのもストーカーのように着いてきた。ちなみに、私たちはその日が初対面である。
それから、夢野は周りに見せつけるかのように、移動教室もお昼もペア作業も私と二人でやりたがった。おかげで他に友達が一人もできなかった。
そして最初の事件は突然起きた。
私が違うテスト範囲を教えたせいで点数が悪かったと、彼女がクラスメイトに話したのが始まりだった。その時から、夢野はまるで堰が切れたかのように周りに私の悪口を吹き込み始めた。
孤立していた私はそれに抗えず、今では夢野乙姫に嫉妬して陰湿ないじめをしている悪女と名高い。
「おい、話を聞いてんのか!?なに他人事みてぇな顔してんだよ!」
「夢野さんは優しいから放っておけないだろうけど、さっさと縁を切った方がいいよ」
私のことが気に入らないなら関わらなければいいのに、夢野はしつこく私に構う。どんなに避けても抵抗しても嫌がっても向こうからやってくる。その情熱を別のところに向けて欲しい。
私を踏み台にしたおかげか、テンプレのような地雷女である夢野は男女関係なくみんなに好かれていた。
彼らは夢野がやることならなんでも肯定するし、過保護なほどに大切にしている。たまに異常とすら思う熱の上げ方をしているので、悲劇のヒロイン気取りはよほどいい手段なのだろう。
そんな彼らはよっぽど私が許せないのだろう。今日のように放課後に呼び出されて一方的に罵り始めるのはよくある事だ。
すっかり慣れた今では聞き流すことができるが、本気で転校を考えたことは何度もあった。でも、夢を叶えるためにも学校を変えるわけにはいかず、気づけば三年生。
口汚い罵倒をスルーして物思いにふけていると、ふとこのあと習い事があったと思い出す。
「ごめん、今日は用事があるから先に帰るよ」
「は、ちょっ!?」
「あ、おい!話は終わってないぞ!」
「心白ちゃん!?」
雑音を遮るようにぴしゃりとドアを閉める。追いかけてこられると面倒なので、速足で階段に向かう。
角を曲がって人目がなくなったところで、思わず大きなため息をついてしまった。
まあ、確かに夢野が原因かもしれないだけど。
「私がもっと社交的だったらな……」
私は積極的に人と話すのが苦手だ。必要な話ならできるが、世間話になると途端に口下手になってしまう。
それに自分で言うのもなんだが、私はなかなかの大和美人である。腰まである黒髪も、涼し気に見える目元も私は気に入っているが、あんまり優しそうには見えないのだ。黙っていると不機嫌だと勘違いされ、話しかけにくいらしい。
そんな訳で、聖川心白という人間が親しみやすいかと言われたら、私は否と答える。だからこそ、夢野の親友宣言を否定しなかったのだが。
「やっぱり、もう一回頑張ってみようかな。せめて無視されるだけの好感度が」
「それは困るわね」
背中に強い衝撃が走り、何かに捕まる前に浮遊感に襲われる。
「えっ」
突き飛ばされたのだと理解して受け身を取ろうとした私は、目に広がる光景に息をのんだ。
(ここ、階段ッ!?)
転落は免れない。
ならばせめて犯人の顔だけでもと振りかえったが、逆光のせいで相手が女子だと言うことしか分からなかった。
風景がスローモーションのように過ぎていく。痛みを覚悟して目を瞑ろうとした私は、落下のスピードが本当に遅いと気付いた。
それに、この夕日にしてはやけに眩しいと思った光も私から出ているような。
そう思った時、目の前空間が歪んだ気がした。
「聖女様はお優しいから貴様は追放で済んだのだ!だが、殿下と同じく俺らも貴様を許せない!」
男たちは口汚く少女を罵り、軽蔑の眼差しを向けている。まるで親の仇でも見るような目に、彼女はすぐにこれがともに召喚された同級生の仕業だと気づいた。切羽詰まった絶望感が、怒りから殺意に変わる。
「恥知らずの罪人め!聖女様に償うために死ね!」
そう叫んだリーダーらしき男は、大きく剣を振り上げた。
。。。
男子生徒を二人侍らせた女を前に、浮かぶのはまたかという率直な感想だけだった。
「おい聖川、お前また乙姫の教科書を隠したな!」
「夢野さんが優しいからって調子のるなよ」
大声をあげる彼らに面識はない。
ネクタイの色から判断すると同じ高三みたいだが、いくら記憶を掘り返しても全く心当たりがない。
「二人ともやめてっ!いいの……きっとひめが何か心白ちゃんに悪いことをしたの」
そう言うと、夢野乙姫は今にも泣きそうな顔で男子生徒にべったりとくっ付いた。
彼女は校則が緩いのをいいことに髪をピンクに染め、赤いカラコンをして登校している。服装や所持品はピンク一色で、さらに言うと一人称が『ひめ』系女子だ。
正直関わりたくないタイプだが、夢野はなぜか入学したその日から私に目をつけている。
「心白ちゃんはねぇ、ひめの親友なのっ」
いきなりそう宣言した夢野は、私がどこへ行くのもストーカーのように着いてきた。ちなみに、私たちはその日が初対面である。
それから、夢野は周りに見せつけるかのように、移動教室もお昼もペア作業も私と二人でやりたがった。おかげで他に友達が一人もできなかった。
そして最初の事件は突然起きた。
私が違うテスト範囲を教えたせいで点数が悪かったと、彼女がクラスメイトに話したのが始まりだった。その時から、夢野はまるで堰が切れたかのように周りに私の悪口を吹き込み始めた。
孤立していた私はそれに抗えず、今では夢野乙姫に嫉妬して陰湿ないじめをしている悪女と名高い。
「おい、話を聞いてんのか!?なに他人事みてぇな顔してんだよ!」
「夢野さんは優しいから放っておけないだろうけど、さっさと縁を切った方がいいよ」
私のことが気に入らないなら関わらなければいいのに、夢野はしつこく私に構う。どんなに避けても抵抗しても嫌がっても向こうからやってくる。その情熱を別のところに向けて欲しい。
私を踏み台にしたおかげか、テンプレのような地雷女である夢野は男女関係なくみんなに好かれていた。
彼らは夢野がやることならなんでも肯定するし、過保護なほどに大切にしている。たまに異常とすら思う熱の上げ方をしているので、悲劇のヒロイン気取りはよほどいい手段なのだろう。
そんな彼らはよっぽど私が許せないのだろう。今日のように放課後に呼び出されて一方的に罵り始めるのはよくある事だ。
すっかり慣れた今では聞き流すことができるが、本気で転校を考えたことは何度もあった。でも、夢を叶えるためにも学校を変えるわけにはいかず、気づけば三年生。
口汚い罵倒をスルーして物思いにふけていると、ふとこのあと習い事があったと思い出す。
「ごめん、今日は用事があるから先に帰るよ」
「は、ちょっ!?」
「あ、おい!話は終わってないぞ!」
「心白ちゃん!?」
雑音を遮るようにぴしゃりとドアを閉める。追いかけてこられると面倒なので、速足で階段に向かう。
角を曲がって人目がなくなったところで、思わず大きなため息をついてしまった。
まあ、確かに夢野が原因かもしれないだけど。
「私がもっと社交的だったらな……」
私は積極的に人と話すのが苦手だ。必要な話ならできるが、世間話になると途端に口下手になってしまう。
それに自分で言うのもなんだが、私はなかなかの大和美人である。腰まである黒髪も、涼し気に見える目元も私は気に入っているが、あんまり優しそうには見えないのだ。黙っていると不機嫌だと勘違いされ、話しかけにくいらしい。
そんな訳で、聖川心白という人間が親しみやすいかと言われたら、私は否と答える。だからこそ、夢野の親友宣言を否定しなかったのだが。
「やっぱり、もう一回頑張ってみようかな。せめて無視されるだけの好感度が」
「それは困るわね」
背中に強い衝撃が走り、何かに捕まる前に浮遊感に襲われる。
「えっ」
突き飛ばされたのだと理解して受け身を取ろうとした私は、目に広がる光景に息をのんだ。
(ここ、階段ッ!?)
転落は免れない。
ならばせめて犯人の顔だけでもと振りかえったが、逆光のせいで相手が女子だと言うことしか分からなかった。
風景がスローモーションのように過ぎていく。痛みを覚悟して目を瞑ろうとした私は、落下のスピードが本当に遅いと気付いた。
それに、この夕日にしてはやけに眩しいと思った光も私から出ているような。
そう思った時、目の前空間が歪んだ気がした。
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