『最後の王女』が生きた世界

なごまる

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第2章

魔物と怨竜の同胞

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 魂について詳しい事は、魂を見ることができるジーザの竜にしか分からない為、私の書く説明やその他地上の書籍・文献では不十分かもしれないが、これを読む方になるべく本当の姿を伝えられるよう手を尽くしてあるのでご承知頂きたい。

 元祖であるジーザは心属性の魔法を使う為、ネベの使徒の一族であった怨竜ネメシスも、ヤルダバオート王家のルミナ王女も同じ心属性の魔法を持っていたことが分かる。ただしジーザによれば、二人の魔法は質が違ったのだそうだ。王家の魔法に反応する花(心属性に反応していると言うのが正しいが)は、王女の魔法では純粋で美しい光を放ったというが、ネメシスの魔法では光は鈍く濁り、萎れてしまったそうだ。その心に憎しみを溜め、国王への憑依を繰り返しながら、多くの命を弄んだ彼の魂の形はボロボロであったという。

 彼が行ってきた所業について少し説明する。これまでの話でも触れているが、心属性の魔法は心と魂を操ることができる。この魔法で生きた獣から魂を抜き出すと、精霊が生まれてくる前に定めた肉体と魂との繋がりが切れて、その繋ぎ目から肉体の結晶化が起こる。自然界での死を経るとこれは絶対に起こらない現象である。この魂を失った肉体にもう一度魂を吹きこむと、寿命を失った状態で意識を取り戻す。すなわち魂が寿命によって精霊の元へ還ることができなくなる為に、死なない獣になってしまう。更に抜き出した魂と、置き去りになった肉体の結晶を器として合わせると『魔物』になるそうだ。
 最初の国王の体を手に入れた後、ネメシスは大陸を出て太古の悪魔族の末裔を探し出した。海を渡った先の大陸には、悪魔族の中で今もなお語り継がれる史上最強の戦士にして、強き者の証、悪魔族の王である女サタナキアがいた。彼女は病に臥していたところをネメシスに魂を抜かれ、人格を失い死なない獣となる。彼女はこの最初期からネメシスと行動を共にし、その後何百年もの間を彼の右腕として過ごした。ハンゼルに魔物を作る場所を用意させ、仲間を集める為に各地を巡り、軍として機能し始める頃にはネメシスは彼女の動き方を指示するのみで、代わりに彼女が全体の統率をとるようになる。

 王女たちの旅はサタナキアを始め、その他後に加わる死なない獣と魔物が度々邪魔をしに襲いかかるが、不思議な事に、逆に先へ進むよう導くこともあった。
 ルミナ王女の目的の一つ『朝露』は、このジーザたちの住処にあることが分かっていた。だが時が経ち、憎しみに満ちたネメシスの怒りはヤルダバオート一族だけに止まらず、天へ帰るのを拒んだジーザにも及び、心の精霊に手を出そうとしていたのである。ジーザはネメシスの為に天への道を開くことはないので、彼は同じ目的地を目指す王女を利用した。
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