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第三章 嘘の幸せと真実の絶望と
62 死をも恐れず乗り越えて03
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「そうだウタル、お前に新しい技を教えてやる約束だったな」
確かに教えてくれるとは言いましたが、まさか今ですか?所長の呑気さには呆れて地球一周しそうなくらいだった。
「約束はしましたけど」
「良し、ブラックソードを構えてだな」
教えてくれてるところに悪いんですけど、左側に倒れてる組織の”W”が一斉に襲ってきた。
所長はブラックソードを”W”に一振りしてからまた説明に戻った。
「人間の体内に流れる"気”を掴んでる手に集中《イメージ》するんだ」
言われるままにイメージしようとしたが、残りの右側に倒れている組織の”W”が十体はいるだろうか、全てが螺旋状に天井まで昇りうねっているのが気になって仕方がない。
「ほら、もっと集中《イメージ》して」
言うは簡単だが、急にはできないし邪念もあるし。
「初日は無我夢中で出来ていたぞ。あれを自在にできるようにコントロールするんだ」
確かに、曜子と初めて会った初戦の時、無我夢中で炎のような剣になって戦えた。あれをイメージして気をブラックソードに集中して......。
「今日はここまでだな。俺のをよぉく見て盗んでイメージしろよ」
目を閉じて集中してたのに、急に終わりになって一気に気が抜けたのだが、そうもいかず目を開いたら巨大な”W”が目の前に立ち塞がっていた。
「な、なんだコイツ!合体したのか?」
恐らくそうなのだろう、他の”W”は見えずその巨大な”W”だけになっている。頭は大きな倉庫の天井に着く程になっている。
両手にはダンプでも真っ二つにできそうな程の爪がこちらを狙っていた。
「しょ、所長!」
「分か《わー》ってるって!」
ブラックソードを下段に構えた所長は、大きく息を吸って、一気に吐き出した。
一瞬!落雷でもあったかのように所長のブラックソードが光ったかと思うと電流が飛び散るように武器《ソード》に絡みついている。
「斬《ざん》……」
「あ、ちょっと待ってください。なんだか僕、できそうなのでやらせてもらえませんか?」
集中している所長を止めて、なんだかさっきの俺が止められた仕返しみたいになってしまったが、目の前の巨大で間違いなく今まで戦った中で一番手強いだろう”W”を倒すことができたら、自分の自信になるし、今までの訓練の成果を試せる気がした。
「やれるのか?そいつは……」
任せてください、という返事を言う時間さえも惜しく、俺は集中してそっと目を閉じようとした時、”W”が大きく口を開けて吐き出したのは、バックドラフトのように爆発的な炎が俺に遅い掛かってきた。
「え?」
中学生の時に体験したキャンプファイヤーの時に、わりと離れていても炎っていうのは熱さを感じるものだなぁと思ったが、今はその比ではない燃え滾るような熱量が目の前から襲ってくるのだ。
たちまち目の前が真っ赤になり、立ちすくむしかできなかったが、横から遮った風が炎を切断するという現象が起こった。
「そいつは炎を口から出すかもしれないから気を付けろ!」
いやいやいや、先に言ってくださいよ。と言いたいのだが、唖然として言葉にならなかった。
落ち着きを少しだけ取り戻した俺は所長の後ろに急いで身を隠した。
「すんません所長、僕にはまだ早かったみたいです!」
ハハハと笑われたが、笑われても仕方ないくらいカッコ悪かった。
「威勢は良かったが、もう少しでウタルの丸焦げが見れてたな」
何も言い返せない状態で所長の後ろに隠れていた。再び”W”は俺達目掛けて炎を吐き出したが、所長のブラックソード一振りで炎は切断され、威力を失った。
「斬《ざん》・邪気諦観《じゃきていかん》」
眩しいほどに光輝いた所長のブラックソードは、下段の構えからの一振りで稲妻のように走った光が”W”を真っ二つにした。
地に倒れた”W”から黒い煤《すす》が立ち上り灰になって消えて行った。
確かに教えてくれるとは言いましたが、まさか今ですか?所長の呑気さには呆れて地球一周しそうなくらいだった。
「約束はしましたけど」
「良し、ブラックソードを構えてだな」
教えてくれてるところに悪いんですけど、左側に倒れてる組織の”W”が一斉に襲ってきた。
所長はブラックソードを”W”に一振りしてからまた説明に戻った。
「人間の体内に流れる"気”を掴んでる手に集中《イメージ》するんだ」
言われるままにイメージしようとしたが、残りの右側に倒れている組織の”W”が十体はいるだろうか、全てが螺旋状に天井まで昇りうねっているのが気になって仕方がない。
「ほら、もっと集中《イメージ》して」
言うは簡単だが、急にはできないし邪念もあるし。
「初日は無我夢中で出来ていたぞ。あれを自在にできるようにコントロールするんだ」
確かに、曜子と初めて会った初戦の時、無我夢中で炎のような剣になって戦えた。あれをイメージして気をブラックソードに集中して......。
「今日はここまでだな。俺のをよぉく見て盗んでイメージしろよ」
目を閉じて集中してたのに、急に終わりになって一気に気が抜けたのだが、そうもいかず目を開いたら巨大な”W”が目の前に立ち塞がっていた。
「な、なんだコイツ!合体したのか?」
恐らくそうなのだろう、他の”W”は見えずその巨大な”W”だけになっている。頭は大きな倉庫の天井に着く程になっている。
両手にはダンプでも真っ二つにできそうな程の爪がこちらを狙っていた。
「しょ、所長!」
「分か《わー》ってるって!」
ブラックソードを下段に構えた所長は、大きく息を吸って、一気に吐き出した。
一瞬!落雷でもあったかのように所長のブラックソードが光ったかと思うと電流が飛び散るように武器《ソード》に絡みついている。
「斬《ざん》……」
「あ、ちょっと待ってください。なんだか僕、できそうなのでやらせてもらえませんか?」
集中している所長を止めて、なんだかさっきの俺が止められた仕返しみたいになってしまったが、目の前の巨大で間違いなく今まで戦った中で一番手強いだろう”W”を倒すことができたら、自分の自信になるし、今までの訓練の成果を試せる気がした。
「やれるのか?そいつは……」
任せてください、という返事を言う時間さえも惜しく、俺は集中してそっと目を閉じようとした時、”W”が大きく口を開けて吐き出したのは、バックドラフトのように爆発的な炎が俺に遅い掛かってきた。
「え?」
中学生の時に体験したキャンプファイヤーの時に、わりと離れていても炎っていうのは熱さを感じるものだなぁと思ったが、今はその比ではない燃え滾るような熱量が目の前から襲ってくるのだ。
たちまち目の前が真っ赤になり、立ちすくむしかできなかったが、横から遮った風が炎を切断するという現象が起こった。
「そいつは炎を口から出すかもしれないから気を付けろ!」
いやいやいや、先に言ってくださいよ。と言いたいのだが、唖然として言葉にならなかった。
落ち着きを少しだけ取り戻した俺は所長の後ろに急いで身を隠した。
「すんません所長、僕にはまだ早かったみたいです!」
ハハハと笑われたが、笑われても仕方ないくらいカッコ悪かった。
「威勢は良かったが、もう少しでウタルの丸焦げが見れてたな」
何も言い返せない状態で所長の後ろに隠れていた。再び”W”は俺達目掛けて炎を吐き出したが、所長のブラックソード一振りで炎は切断され、威力を失った。
「斬《ざん》・邪気諦観《じゃきていかん》」
眩しいほどに光輝いた所長のブラックソードは、下段の構えからの一振りで稲妻のように走った光が”W”を真っ二つにした。
地に倒れた”W”から黒い煤《すす》が立ち上り灰になって消えて行った。
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