令嬢である妹と一緒に寝ても賢者でいられる方法を試してたらチート能力が備わった件

つきの麻友

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魔法使いルーチェ

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 ハッキリとした食欲と性欲が逆という区別はわからないが、俺は頭の中にある言葉が浮かんだ。

「ムフ」

 そう、ムフだ。有名な漫画家が生んだこの単語に全て集約されていると言っても過言ではない。

 ムフの後ろにハートマークが付けばより完璧だ。引越し屋ではないハートのマークだ。

 食事が男女一緒にできないことに不憫は感じないが、銭湯が混浴当たり前でしかも風呂場の時は羞恥心が無さそうだという。

 異世界パラダイスな満足感に浸っていたのだが、もう少し先の何かに閃きそうだったのだが。

「すんません、私を雇ってくれる話はどんなんですかね?」

 ルーチェの言葉で閃きそうな何かは消えて無くなった。

「それより、今日の敵に俺のブラックソードが全く効かなかったんだ。なにか武器はないのか?」

 不良品を見るような目で見てくるルーチェに用途を説明してやった。

「まるで魔法やなぁ」

 本物の魔法使いに言われるのだから大したものだが、効果が無いのでは話にならない。

「武器なら遊佐丘義光があるだろう。美術館に飾ってあるから明日にでも取りに行けば良い」

「あれって、製作費十億掛かったこの国の聖剣なんじゃないのか?」

 ロイエルーンの太っ腹な発言に驚きながら聞き返した。

「貴様の先祖みたいな者が残した物は全て返すのが恩義ってものだろう」

 若い男は私利私欲で扱うくせに、こういう所は義理堅いのだと感心してしまう。

「じゃあ残りの九十億も貰えるのか?」

「すまんな。先々代の王から財政厳しくてな。というより散財し過ぎなのだ。直ぐに用意できるのは一千万しかない。これでたちまちは許せ」

 一千万。現世での研修が無事に終えたら獲られる年収の額だった。なんだか懐かしく思いながら、この金額が今はそれで充分だと思っている。

「ルーチェとか言ったな。貴様を雇う件、出来高払いで雇ってやろう。ただし、普段の衣食住はウタルに支払ってもらえ。こいつ、何もしないで大金を獲ているからのう」

「はい?」

「ウタル、おおきに! これからよろしく頼んまっせ!」特に食事の件でお世話になりますぅ」

 勝手に決められて俺は魔法使いを一人、雇うことになったのであった。

「あの、ちなみにですが、もし私が隣国のスパイでここで魔法使って爆撃でもしてたらどうなってますか?」

「その時はウタルが命懸けで守ってくれるだろう? まぁアテにはしていないが、その前にシーヴァイルに殺されていただろう。いくら平和ボケしてたとしても、無警戒でいるわけにはいかんのでな」

 ソファに座っているロイエルーンは足を組み替えながら笑っていた。

 その後、俺達は六時から開かれる緊急会議に同席した。

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