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猫耳の有無の理由ですか?

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「なんであいつらにブラックソードが効かなかったんだろうか」

「壊れてるんちゃうの?そやけどキュウイは効いてたやんか。しかも強烈すぎて失神ってウケるわ」

 揺れる馬車の中で、美術館に聖剣ヨシミツを取りに行っている道中。

「バナナなら今日もあるよ」

 学園が休みなのでミゼルも一緒に、ルーチェと三人で向っていた。

 向う美術館には鉄道の線路から遠いので移動手段は馬車に決めた。

 そもそも城がある街から水工場までの線路一本しかないみたいだが。

 駅付近は発展しているが、基本的にのどかな草原が広がっている国の印象を受けた。

 ルーチェが育った港町は、水工場から離れているが、城からは近いらしい。

「せやけど、昨日の会議に参加させてもろたけど、国王のところも一筋縄ではいかんみたいやったな」

「ルーチェもそう感じたか? 参謀のゴルゴムって一派はロイエルーンの国王派に全て突っかかっていく反対派だったな。俺たちの事も良く思ってないようだったしな」

「あれやろ。どこの馬の骨かわからん者がいきなり現れて親族と名乗るとか、国王の女好きにも困ったものですな。安心してください、私はサラブレッドの馬の骨ですよ。からの会議室の沈黙はウケたな。自分、ようあの状況で自虐ネタ放り込んだで。その勇気は認めるけどあれは寒かったな」

「忘れてくれ。場の空気を良くしようとして逆に失敗したんだ」

 あまりにも立場が悪くなるばかりの攻撃をゴルゴムにされたので、ギャグで返したのだが失敗に終わった昨日のことをルーチェに笑いのネタにされる。

「あの後なぁ、牢屋に入れるわけにも一人にするわけにもいかんからって、シーヴァイルはんの部屋で一緒に寝ろ言われて、これは来た、私にも春が来た、まだ心の準備できてないのにぃって思ってたんやけど、なぁんも無しでグッスリやで。私の爆乳目の前にしてホンマ自信無くすで」

 現世なら、本当かぁ? と疑う所だが、ルーチェの猫耳は健在である。

 既に経験者だったら、行為の有無はわからないのだが。

 初めての者に手を出すのは躊躇するってことなのだろうか。

 少女漫画の王子様位のイケメンは女性に困ってないのかもしれないが。

 ん? なんだか腹立ってきたぞ。

 俺は現世の時から、モテる男が複数の女性と関係を持つから、俺のように平均以下のポテンシャル保持者に縁が無くなるのだ。

 と、自分がモテないのはイケメンの責任にしていた。そもそもその考えがモテない理由の一つだということは知らないふりをしていた。

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