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形勢逆転です
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「重たっ」
片手で突き付けていた剣の重さに疲れて、思わず剣先を地面まで落としてしまった。
「危ねっ!」
ダンパーは足元に突き刺さった剣に戦き、尻もちをついて倒れてしまった。
百キロもある剣が足元に落ちてきたら、誰でも驚いてしまうだろう。
昨日は偶然もあって逃がした相手が、今日には手も足も出ないどころか、何があったか把握できない状態で剣を突き付けられている。連れていた兵隊三十人が一瞬で消された事実を受け止めるのには時間が足りないのだろう。
食いしばった歯が、怒りを表しているが同時に悔しさも感じ取れる。
俺もここまで圧倒的に差が出るとは思っていなかったが、ある意味賭けに出て勝ったということか。
普通に考えて、キュウイやバナナで気絶させれるはずもないが、気絶させれるほどの衝撃を与える力があるとしたらと過程してみた。
その時は必死で不思議に思わなかったが、一瞬で奴らの前にたどり着けたこと。
極めつけは、聖剣ヨシミツが百キロもあるのに持ち上げることが容易だったことだ。
普段では気付かなかったが、集中すると力が上がる。筋力が上がるのか重力が下がるのか詳しい事はわからないが、この異世界ではチート的な能力が備わっているのだろう。
おそらく、聖剣ヨシミツを作った転移者も、そのチート能力に気付いたからこんな化け物のようなデカさにしたのだろう。
転移者全ての者にこのチート能力が備わっていたとしたら、ダンパーも当てはまるかもしれなかった。しかし、昨日の戦いがあったからダンパーはこの異世界の人々と同じ能力だろうと掛けに出た。
「殺せ! ここの責任のすべては俺にある!」
「殺さねぇから所属と目的を言えって言ってんだろ! 殺すぞ!」
「お兄ちゃん、物騒な言葉で矛盾なこと言っちゃだめだよぉ」
馬車の荷台から呑気ながらも的を得たことを言われ、コホンと咳払いをして気を取り直した。
「お前もやられっぱなしじゃ、死んでも死にきれねぇだろ? 逃がしてやるチャンスをやるから所属と目的を言えよ。三度目はないぞ」
強く歯を噛みしめていたダンパーは観念したかのように肩の力を抜き、脱力した声を発した。
「俺は隣国からの使いで来た。目的は水の工場の占拠」
「なんだと!?」
正式に軍には所属していないが、聞き捨てならないと言わんばかりにセリカが身を乗り出してダンパーの言葉に反応をした。
「我が国の資金源のようなものだぞ? そこを占拠などとふざけたこと言いやがって」
「ホンマやで。こいつ生かしておけんで」
「まぁ待て二人とも」
二人をなだめながらも、穏やかなことではない事は理解できる。
昨日遠足で行ったあの工場で製造している水は、輸出をしてこの国の財源になっている。その工場が占拠されればこの国が傾いてしまうのは容易に想像できる。
片手で突き付けていた剣の重さに疲れて、思わず剣先を地面まで落としてしまった。
「危ねっ!」
ダンパーは足元に突き刺さった剣に戦き、尻もちをついて倒れてしまった。
百キロもある剣が足元に落ちてきたら、誰でも驚いてしまうだろう。
昨日は偶然もあって逃がした相手が、今日には手も足も出ないどころか、何があったか把握できない状態で剣を突き付けられている。連れていた兵隊三十人が一瞬で消された事実を受け止めるのには時間が足りないのだろう。
食いしばった歯が、怒りを表しているが同時に悔しさも感じ取れる。
俺もここまで圧倒的に差が出るとは思っていなかったが、ある意味賭けに出て勝ったということか。
普通に考えて、キュウイやバナナで気絶させれるはずもないが、気絶させれるほどの衝撃を与える力があるとしたらと過程してみた。
その時は必死で不思議に思わなかったが、一瞬で奴らの前にたどり着けたこと。
極めつけは、聖剣ヨシミツが百キロもあるのに持ち上げることが容易だったことだ。
普段では気付かなかったが、集中すると力が上がる。筋力が上がるのか重力が下がるのか詳しい事はわからないが、この異世界ではチート的な能力が備わっているのだろう。
おそらく、聖剣ヨシミツを作った転移者も、そのチート能力に気付いたからこんな化け物のようなデカさにしたのだろう。
転移者全ての者にこのチート能力が備わっていたとしたら、ダンパーも当てはまるかもしれなかった。しかし、昨日の戦いがあったからダンパーはこの異世界の人々と同じ能力だろうと掛けに出た。
「殺せ! ここの責任のすべては俺にある!」
「殺さねぇから所属と目的を言えって言ってんだろ! 殺すぞ!」
「お兄ちゃん、物騒な言葉で矛盾なこと言っちゃだめだよぉ」
馬車の荷台から呑気ながらも的を得たことを言われ、コホンと咳払いをして気を取り直した。
「お前もやられっぱなしじゃ、死んでも死にきれねぇだろ? 逃がしてやるチャンスをやるから所属と目的を言えよ。三度目はないぞ」
強く歯を噛みしめていたダンパーは観念したかのように肩の力を抜き、脱力した声を発した。
「俺は隣国からの使いで来た。目的は水の工場の占拠」
「なんだと!?」
正式に軍には所属していないが、聞き捨てならないと言わんばかりにセリカが身を乗り出してダンパーの言葉に反応をした。
「我が国の資金源のようなものだぞ? そこを占拠などとふざけたこと言いやがって」
「ホンマやで。こいつ生かしておけんで」
「まぁ待て二人とも」
二人をなだめながらも、穏やかなことではない事は理解できる。
昨日遠足で行ったあの工場で製造している水は、輸出をしてこの国の財源になっている。その工場が占拠されればこの国が傾いてしまうのは容易に想像できる。
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