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形勢逆転です
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「それでお前は何しに来たんだ?」
「俺は国王に打診をしに来ただけだ」
「受け入れられると思っているのか?」
「思ってないさ。受け入れられない時は宣戦を布告することになっている。その後はそっちの出方次第で俺はそこまでしか聞いていない。上が決めるさ」
淡々と喋るダンパーに、今思いついたような口ぶりではないことが伺える。むしろ、とっさに思いついて機転を利かした発言ができるような気がしないのは顔のせいだろうか?
「穏やかじゃないな。けど戦争になったら僕の実力をカイト様に見せつけれる。惚れられたらどうしよう!?」
「戦争になったら希少価値のある魔法使いが高値で雇われるかもしれんな。今まで貧乏してたけど職業魔法使いを選択してたツキが回ってきそうやな」
なんか、後ろで戦争になったら自分の利益しか考えていないのが二人いるのだが。これが平和ボケなのだろうか。
「水工場を奪って何する気なのよ!? 育毛には効果ないのよ!」
「俺はハゲてるんじゃない! 元から髪の毛なんて生えてないんだよ!」
ミゼルの言葉にキレて顔が赤くなりながら鼻息が荒くなっている。ハゲたのではないが、ハゲと思われるのには怒りを感じるのだろうか。
「コップ一杯の水あげるからそれ持って帰って我慢してなさい! いーっだ!」
国王の娘として怒っているのか、ただ単にダンパーの顔が気に入らなくて怒っているのかは聞いてみないとわからないが、怒っているミゼルは戦争で自分の利益だけを考えている後ろの二人よりかは幾らかマシだろうか。
「お前らふざけたこと言いやがって! 戦争だぞ!」
血管が切れそうな程、顔を真っ赤にして怒鳴っているダンパーを無視して、荷台の方に振り向いて聞いた。
「隣国の軍事力ってそんなに脅威なのか?」
「君は知らないのかい? 小さな国なのに我儘で卑怯で色んな国から相手にされていない国だぞ。それが理由かは知らないが軍事には力を入れているって話だが、我が国の軍事力の敵ではないだろう」
どの世界にも、そんな国はあるんだな。しかし、自軍の実力と他国との差くらいわからないものなのか。圧倒的な差でなければ戦争を仕掛けてくるのか。それとも…?
「勝算が無いのに戦争を仕掛けると思うか? 貴様がどんな魔法を使ったか知らんが、兵隊共を何人倒したところで俺達の敵じゃないぜ」
「やっぱり隣国の連中はバカなのか?」
「なんでも欲しいから攻めてくるんやろ。勝てる戦争なんやから受けてたてばええねん。私も楽して稼げるわ」
「待て待て、魔法使いなんて雇わなくても弓使いが遠方からの攻撃で一蹴だろうに。カイト様の指示を仰ごうではないか」
「ミゼルは戦争になっても学校にいくよぉ」
四人は隣国が驚異的な軍事ではない安堵からか、好き勝手言いながらダンパーがなにかを言っているのに耳を傾けている者はだれ一人いなかった。
「聞けよお前ら!」
「うるさいで自分! あんたらが戦争したいって言ってるから前向きに検討してるんやないか」
「いや、まず水工場をだな…」
「そななん、タダではいどうぞって渡すわけないやろ? 聞かんでもわかることやん。ほなら戦争しかないやろ」
「いや、まずはカイト様の指示をだな」
ラチがあかない状況を繰り返して、ダンパーの言うことは耳に入ってこなかった。
「あーーー! じゃあ交渉決裂ってことで戦争するんだな!? 後悔するなよ!」
「望むところよ! アンタなんか首を洗って羊数えて寝て待ってなさい! うちのお兄ちゃんがギッタギタにしてあげるんだから!」
「上等だ! 兵隊倒したところでいい気になってたら命がいくらあってもたりないぜ!」
「その言葉、そっくりそのままノシつけてお返しするわよ!」
ミゼルは興奮して言い返しているが完全に他力本願である。
「俺は国王に打診をしに来ただけだ」
「受け入れられると思っているのか?」
「思ってないさ。受け入れられない時は宣戦を布告することになっている。その後はそっちの出方次第で俺はそこまでしか聞いていない。上が決めるさ」
淡々と喋るダンパーに、今思いついたような口ぶりではないことが伺える。むしろ、とっさに思いついて機転を利かした発言ができるような気がしないのは顔のせいだろうか?
「穏やかじゃないな。けど戦争になったら僕の実力をカイト様に見せつけれる。惚れられたらどうしよう!?」
「戦争になったら希少価値のある魔法使いが高値で雇われるかもしれんな。今まで貧乏してたけど職業魔法使いを選択してたツキが回ってきそうやな」
なんか、後ろで戦争になったら自分の利益しか考えていないのが二人いるのだが。これが平和ボケなのだろうか。
「水工場を奪って何する気なのよ!? 育毛には効果ないのよ!」
「俺はハゲてるんじゃない! 元から髪の毛なんて生えてないんだよ!」
ミゼルの言葉にキレて顔が赤くなりながら鼻息が荒くなっている。ハゲたのではないが、ハゲと思われるのには怒りを感じるのだろうか。
「コップ一杯の水あげるからそれ持って帰って我慢してなさい! いーっだ!」
国王の娘として怒っているのか、ただ単にダンパーの顔が気に入らなくて怒っているのかは聞いてみないとわからないが、怒っているミゼルは戦争で自分の利益だけを考えている後ろの二人よりかは幾らかマシだろうか。
「お前らふざけたこと言いやがって! 戦争だぞ!」
血管が切れそうな程、顔を真っ赤にして怒鳴っているダンパーを無視して、荷台の方に振り向いて聞いた。
「隣国の軍事力ってそんなに脅威なのか?」
「君は知らないのかい? 小さな国なのに我儘で卑怯で色んな国から相手にされていない国だぞ。それが理由かは知らないが軍事には力を入れているって話だが、我が国の軍事力の敵ではないだろう」
どの世界にも、そんな国はあるんだな。しかし、自軍の実力と他国との差くらいわからないものなのか。圧倒的な差でなければ戦争を仕掛けてくるのか。それとも…?
「勝算が無いのに戦争を仕掛けると思うか? 貴様がどんな魔法を使ったか知らんが、兵隊共を何人倒したところで俺達の敵じゃないぜ」
「やっぱり隣国の連中はバカなのか?」
「なんでも欲しいから攻めてくるんやろ。勝てる戦争なんやから受けてたてばええねん。私も楽して稼げるわ」
「待て待て、魔法使いなんて雇わなくても弓使いが遠方からの攻撃で一蹴だろうに。カイト様の指示を仰ごうではないか」
「ミゼルは戦争になっても学校にいくよぉ」
四人は隣国が驚異的な軍事ではない安堵からか、好き勝手言いながらダンパーがなにかを言っているのに耳を傾けている者はだれ一人いなかった。
「聞けよお前ら!」
「うるさいで自分! あんたらが戦争したいって言ってるから前向きに検討してるんやないか」
「いや、まず水工場をだな…」
「そななん、タダではいどうぞって渡すわけないやろ? 聞かんでもわかることやん。ほなら戦争しかないやろ」
「いや、まずはカイト様の指示をだな」
ラチがあかない状況を繰り返して、ダンパーの言うことは耳に入ってこなかった。
「あーーー! じゃあ交渉決裂ってことで戦争するんだな!? 後悔するなよ!」
「望むところよ! アンタなんか首を洗って羊数えて寝て待ってなさい! うちのお兄ちゃんがギッタギタにしてあげるんだから!」
「上等だ! 兵隊倒したところでいい気になってたら命がいくらあってもたりないぜ!」
「その言葉、そっくりそのままノシつけてお返しするわよ!」
ミゼルは興奮して言い返しているが完全に他力本願である。
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