令嬢である妹と一緒に寝ても賢者でいられる方法を試してたらチート能力が備わった件

つきの麻友

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はじめましてこんにちは、魔王ですか?

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「理由はどうであれ、現状敵側についているってことは事実だ」

「厄介やでそれは。魔導士なんかまともに相手できるかいな。学校の先生が束になってもかなわへんで」

「それは魔法の話だろ? 戦闘はまた別だし、クラッチロウは手出しするなって言ってたから一人ずつ片付けていけばいいんだよ。それよりカイトを頼む」

 左手で抱えていた十字架を下ろす。

「カイト様……」

 俺の指示通りにルーチェに盛り上がらせた氷を切断して浴槽の形にした。そして持ってきた水の樹の枝から水を出し、下から炎で沸かして風呂を作り凍った下半身から融かすようにした。

「もっと水出して、もっと急いで沸かして」

「やってるがな」

「カイト……」

 ミゼルも悲しそうな目でカイトを見つめる。

「便利な道具がまだあったとはなぁ。素直に渡しておけばソイツも死なずに済んだかもしれないのだがな。要はぬるいってことなんだよ」

 死んだと決めつけられ、その張本人に言われて腹立たなかった者はここにはいなかっただろう。望みをまだ誰も捨てていなかったのだけが救いだったが。怒りをぶつけるよりカイトの救出が先決しているようなので俺が代表して怒りをぶつけることにした。

「クラッチロウだったっけな? お前、カイトが死んだらお前も殺すぞ」

「ほぉ、この俺にそんな言葉使って大丈夫かぁ? その自信が後で後悔のするぞぉ?」

「ちなみにお前が持って帰ったそのケースの中身、カイトの作戦で偽物だから。本物は今こっちでカイトの救出に使われてるやつだから。自信満々で仕事した感じになっているけど無駄中の無駄だからな。ドヤ顔で魔王に見せて偽物でしたーって怒られる前に教えてやった俺に感謝しろよ?」

「貴様ー!」

「名前で呼べよ、この使えない手下さんよぉ」

「うらぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 ゼロスタートから全力で加速して剣を振り切ってきた。怒りが冷静さを浸食し力任せに剣を振るう。

 避けた剣の威力は、氷の壁を風圧で傷つける程であった。流れ弾のようにミゼル達に被害が及ばないように距離を取る。しかし必ず背にいるように配置して戦いを続けた。

 数分、クラッチロウの攻撃が続いた頃だろうか、後ろでカイトを呼ぶ声が聞こえてきた。どうやらカイトの意識が戻ったようだ。まだ予断は許さない状況かもしれなかったがなんとかデッドラインは超えたと安堵する。

「カイト……」

「カイト様!」

「ミゼル様……。それにセリカも……。僕は、生きているのか……」

「生きていますよ、カイト様……」

「そうか……。ここは……?」

 事の一部始終をセリカはカイトに説明した。任務遂行の為に身を挺して守ったケースなのに、敵のアジトで己の救出の為に使用されることに言葉を失っていた。

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