令嬢である妹と一緒に寝ても賢者でいられる方法を試してたらチート能力が備わった件

つきの麻友

文字の大きさ
106 / 138
あなた本当に魔王ですか?

105

しおりを挟む
「クラッチロウ!」

「申し訳ございません。ただ、コイツは強いってだけで我々を見下しております。その態度が我慢できないのです。おい良く聞けよ。ここにおわすお方は現世の神様。俺はこの方から生まれたんだ。つまり俺は神の子と言っても過言ではないんだ。それをいち人間が少しばかり力があるからって調子に乗ってんじゃねーぞ」

 中指立ててオラオラとしてくる。こんな神の子はいやだってラジオのコーナーがあったら採用されそうなくらい神の子と程遠い。

「調子に乗ってないし、実際強いし、一応元神のスペンサーには少しばかり気を使っているだろ!  ただ神の子か数の子か知らんが、俺より弱っちいお前にまで気を使ってられるかって言ってんだ」

 お返しに中指と人差し指を立ててやったが裏ピースになっただけであった。

「俺はなぁ、腕力だけで威張り散らす奴が大っ嫌いなんだよぉ!」

「それお前じゃん。ちなみにそんな奴俺も嫌いだわ」

 素で返答したことで、クラッチロウはポカーンとして立ちすくむ。スペンサーにケツを叩かれしょぼんとしてしまった。

「これくらいにしないか二人共。案外気の合う者同士かも知れないぞ?」

 スペンサーの言葉に二人揃って顔を横に降り否定アピールをした。スペンサーはニコッと笑ったまま何も言わなかった。

 浴槽から立ち上がり、俺達二人の間に入りながら肩を組んだ。

「さぁ、最後の仕事だ。月野ウタル。君を現世に戻してあげるよ」

 わかっていたのに、唐突に言われてまだ心の準備が出来ていなかった。

「本当に、最初に言ってたこの星の再生するために人類消滅はしないって約束してくれるのか?」

「あぁ、約束だ。神としての本来の役目をここから果たしていくつもりだ。あの時は孤独だったが今はクラッチロウもいる」

「そうか。そう言ってくれると安心して現世に帰れる……」

「気になっているんだろ?  妹達のことが」

 そう。ミゼルとキャゼルには必ず帰ると約束した。それは魔王に殺されないで無事に帰るという意味だった。魔王を討伐するということは現世に帰れるということ。妹達は帰れる状態になっても自分達の所に帰ってくると信じていたのだろう……。

「ウタル」

 両手を拡げるスペンサー。

「すんませんスペンさん。フルチンで悟り開くようなオーラ止めてもらえません?」

「月野ウタル、貴様はまたスペンサー様に文句言いやがって、この無礼者!  それにスペンサー様のサーを省略して呼ぶな!」

 今度は俺だけ胸ぐらを捕まれる。

「スペンサー様に恥ずかしさなど皆無!  むしろスペンサー様のお裸を崇め奉れ!」

「いやー、それは無理だわ。神って言われなきゃイケメンロン毛の露出狂だもの」

「貴様ー!」

 とりあえずクラッチロウは神であるスペンサーに対する文句というか注文があると突っ掛かってくる。これが師弟愛なのか?まさかBL的なものではあるまいな?

 師弟愛と言うけど、スペンサーから生まれたっていってたな。ということはスペンサーが出産するのか?  一人で?  そもそも人じゃないから一神っていうのかな?

 などど胸ぐらを捕まれてガックンガックン揺さぶられながら考えていたが、未知的なことは幾ら考えても答えは出ないというのが答えで、聞くのが早い。

「脳震盪起こすわ」

 クラッチロウの腕でを止め、誕生の事を恐る恐る尋ねた。

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

ヒロインだと言われましたが、人違いです!

みおな
恋愛
 目が覚めたら、そこは乙女ゲームの世界でした。  って、ベタすぎなので勘弁してください。  しかも悪役令嬢にざまあされる運命のヒロインとかって、冗談じゃありません。  私はヒロインでも悪役令嬢でもありません。ですから、関わらないで下さい。

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

笑う令嬢は毒の杯を傾ける

無色
恋愛
 その笑顔は、甘い毒の味がした。  父親に虐げられ、義妹によって婚約者を奪われた令嬢は復讐のために毒を喰む。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

処理中です...