4 / 20
4.封筒
しおりを挟む
__________φ(..)___________
助からなかった妹の遺体の確認に
手術室に入って行った小夏さんは
出て来てからも毅然としていて
間に合わなかった両親に連絡をとり
俺と連絡先を交換してから
「すみません、木室さん
大変なご迷惑をおかけしました
後日御礼に伺いますので
またお話しを聴かせてください
今日はもう、お帰りください……
本当にありがとうございました」
そう言って頭を下げた
俺は たまたま真冬さんと出逢って
こんなことに巻き込まれただけで
なんの関係もない人間だ
無理を言って残ることも出来ず
後ろ髪を引かれる思いで帰宅した
.....✒️ .....
それからしばらくの間
──あの時
俺と話をしてなかったら?
俺が買い物袋を忘れなかったら?
もう少し早く駐車場を抜けていて
轢かれずに済んだんじゃないか?
別れ際に何度も頭を下げ去って行った
彼女との微笑ましい瞬間を思い出して
泣きそうになりながら
考えても仕方ないことを
ぐるぐると考えた
眠くなって目を瞑るのに
瞑った暗闇の中で
鼓膜を震わせる車の異音と
軽々と飛ばされた彼女の体が
地面に落下した鈍い音と映像が
鮮明に思い出され
何度も弾けるように目を覚ました
不眠に陥った俺は
睡眠導入剤を処方してもらい
ようやく眠れるようになった
関係ないといえば
関係ないのかもしれない
だけど知らぬ顔も出来なかった俺は
目の前で轢かれた
“森和 真冬”さん享年27歳の
通夜会場にも足を運んだ
あの事故から葬儀まで
1週間が過ぎていた
若くして亡くなった彼女の通夜では
訪れる人が皆、涙を流していた
少ししか話してないけれど
可愛らしい人だった
皆に愛されていたんだろう
そう容易に想像できた
笑顔の遺影を前にすると
胸を掴まれたように息が詰まり
彼女の最後の姿が思い出され
目頭が熱くなるのを堪えられなかった
「ぁ……木室さん」
「……(*_ _))ペコ」
焼香をさせてもらい
ご遺族に頭を下げて会場を後にした
「木室さん、待ってください!」
会場から出たところで
後ろから呼び止められた
振り返ると出入口付近に
小夏さんが立っていた
3つ離れているらしいのに
本当に2人はよく似ていた
ペコリと頭を下げる
「木室さん、遠いところまで
ありがとうございました
明日の告別式は結構ですので
あの、これを……」
「?」
彼女から白い封筒を手渡された
その表には何も書かれていない
「なんですか?」
「お気をつけてお帰りくださいね
では失礼いたします」
そう言うと彼女は
そそくさと会場に戻って行った
喪服姿の彼女を見送り
手元の封筒を返して見るが
裏にも何も書かれてない
「……なんだ?……あ、電車!」
ここは県境の田舎町
1つ乗り遅れると次までが長い
中身は後で確認しようと
とりあえず内ポケットに押し込み
電車に遅れないように帰路を急いだ
・
・
・
“郷布駅”
ここは県境にある小さな無人駅で
各駅停車の鈍行しか停らない駅だ
ホームに入ると電車がやって来た
「ふぅ……間に合った」
ラッシュ時間を少し過ぎた頃
それでもまぁまぁ人がいる電車内
空席は見当たらず扉にもたれ
受け取った封筒を覗くと
現金が入っていた
「えっ!?」
大声を出し注目を浴びてしまった
ペコ(。_。 (゚ㅂ゚ )(。_。(゚ㅂ゚ )ペコ
周りに頭を下げ
静かにこの現金の意味を考えた
香典返しは受付けで貰ってるし
何かの手違いかもしれない
受け取るわけには いかないよな
戻って返すべきか?
腕時計を確認……
今から戻ると帰りの電車がなくなる
仕方ない
後日連絡を取って返そう
そう思い
この日はそのまま帰宅した
.....✒️ .....
助からなかった妹の遺体の確認に
手術室に入って行った小夏さんは
出て来てからも毅然としていて
間に合わなかった両親に連絡をとり
俺と連絡先を交換してから
「すみません、木室さん
大変なご迷惑をおかけしました
後日御礼に伺いますので
またお話しを聴かせてください
今日はもう、お帰りください……
本当にありがとうございました」
そう言って頭を下げた
俺は たまたま真冬さんと出逢って
こんなことに巻き込まれただけで
なんの関係もない人間だ
無理を言って残ることも出来ず
後ろ髪を引かれる思いで帰宅した
.....✒️ .....
それからしばらくの間
──あの時
俺と話をしてなかったら?
俺が買い物袋を忘れなかったら?
もう少し早く駐車場を抜けていて
轢かれずに済んだんじゃないか?
別れ際に何度も頭を下げ去って行った
彼女との微笑ましい瞬間を思い出して
泣きそうになりながら
考えても仕方ないことを
ぐるぐると考えた
眠くなって目を瞑るのに
瞑った暗闇の中で
鼓膜を震わせる車の異音と
軽々と飛ばされた彼女の体が
地面に落下した鈍い音と映像が
鮮明に思い出され
何度も弾けるように目を覚ました
不眠に陥った俺は
睡眠導入剤を処方してもらい
ようやく眠れるようになった
関係ないといえば
関係ないのかもしれない
だけど知らぬ顔も出来なかった俺は
目の前で轢かれた
“森和 真冬”さん享年27歳の
通夜会場にも足を運んだ
あの事故から葬儀まで
1週間が過ぎていた
若くして亡くなった彼女の通夜では
訪れる人が皆、涙を流していた
少ししか話してないけれど
可愛らしい人だった
皆に愛されていたんだろう
そう容易に想像できた
笑顔の遺影を前にすると
胸を掴まれたように息が詰まり
彼女の最後の姿が思い出され
目頭が熱くなるのを堪えられなかった
「ぁ……木室さん」
「……(*_ _))ペコ」
焼香をさせてもらい
ご遺族に頭を下げて会場を後にした
「木室さん、待ってください!」
会場から出たところで
後ろから呼び止められた
振り返ると出入口付近に
小夏さんが立っていた
3つ離れているらしいのに
本当に2人はよく似ていた
ペコリと頭を下げる
「木室さん、遠いところまで
ありがとうございました
明日の告別式は結構ですので
あの、これを……」
「?」
彼女から白い封筒を手渡された
その表には何も書かれていない
「なんですか?」
「お気をつけてお帰りくださいね
では失礼いたします」
そう言うと彼女は
そそくさと会場に戻って行った
喪服姿の彼女を見送り
手元の封筒を返して見るが
裏にも何も書かれてない
「……なんだ?……あ、電車!」
ここは県境の田舎町
1つ乗り遅れると次までが長い
中身は後で確認しようと
とりあえず内ポケットに押し込み
電車に遅れないように帰路を急いだ
・
・
・
“郷布駅”
ここは県境にある小さな無人駅で
各駅停車の鈍行しか停らない駅だ
ホームに入ると電車がやって来た
「ふぅ……間に合った」
ラッシュ時間を少し過ぎた頃
それでもまぁまぁ人がいる電車内
空席は見当たらず扉にもたれ
受け取った封筒を覗くと
現金が入っていた
「えっ!?」
大声を出し注目を浴びてしまった
ペコ(。_。 (゚ㅂ゚ )(。_。(゚ㅂ゚ )ペコ
周りに頭を下げ
静かにこの現金の意味を考えた
香典返しは受付けで貰ってるし
何かの手違いかもしれない
受け取るわけには いかないよな
戻って返すべきか?
腕時計を確認……
今から戻ると帰りの電車がなくなる
仕方ない
後日連絡を取って返そう
そう思い
この日はそのまま帰宅した
.....✒️ .....
40
あなたにおすすめの小説
俺にだけツンツンする学園一の美少女が、最近ちょっとデレてきた件。
甘酢ニノ
恋愛
彼女いない歴=年齢の高校生・相沢蓮。
平凡な日々を送る彼の前に立ちはだかるのは──
学園一の美少女・黒瀬葵。
なぜか彼女は、俺にだけやたらとツンツンしてくる。
冷たくて、意地っ張りで、でも時々見せるその“素”が、どうしようもなく気になる。
最初はただの勘違いだったはずの関係。
けれど、小さな出来事の積み重ねが、少しずつ2人の距離を変えていく。
ツンデレな彼女と、不器用な俺がすれ違いながら少しずつ近づく、
焦れったくて甘酸っぱい、青春ラブコメディ。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛想笑いの課長は甘い俺様
吉生伊織
恋愛
社畜と罵られる
坂井 菜緒
×
愛想笑いが得意の俺様課長
堤 将暉
**********
「社畜の坂井さんはこんな仕事もできないのかなぁ~?」
「へぇ、社畜でも反抗心あるんだ」
あることがきっかけで社畜と罵られる日々。
私以外には愛想笑いをするのに、私には厳しい。
そんな課長を避けたいのに甘やかしてくるのはどうして?
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
〜仕事も恋愛もハードモード!?〜 ON/OFF♡オフィスワーカー
i.q
恋愛
切り替えギャップ鬼上司に翻弄されちゃうオフィスラブ☆
最悪な失恋をした主人公とONとOFFの切り替えが激しい鬼上司のオフィスラブストーリー♡
バリバリのキャリアウーマン街道一直線の爽やか属性女子【川瀬 陸】。そんな陸は突然彼氏から呼び出される。出向いた先には……彼氏と見知らぬ女が!? 酷い失恋をした陸。しかし、同じ職場の鬼課長の【榊】は失恋なんてお構いなし。傷が乾かぬうちに仕事はスーパーハードモード。その上、この鬼課長は————。
数年前に執筆して他サイトに投稿してあったお話(別タイトル。本文軽い修正あり)
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる