ご注文は以上でよろしいですか? セットで私はいかがですか? 憧れの人にそう言われて付き合ったら幼馴染が闇堕ちして先輩がデレた。

いーじーしっくす

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呼び止める声

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 俺の話を聞きながら、乃々華は時折、『へ……へぇ、ふぅ~ん』と顔を引き攣らせながら聞いていたけど、最後まで話したその途端──

「きゃはははははっ!   そんなの偶然に決まってるじゃん!  それか、よく買ってくれる客だと思われてるとかじゃない?   勘違いしすぎぃ~!」

 俺の肩をバンバン叩きながら大笑いし始めた。

「貴様ぁ!   言ってはならないことをっ!    なんとなくそうなんだろうと思ってた事を言いやがったな!?」
「自分でも思ってたんじゃん。ダメじゃん。脈ナシじゃん」
「やめろっ!   それ以上は言うなっ!」
「キョウにはなんていうか……高嶺の花っていうの?   そんな感じの子は無理だって。同じ学校には誰が気になる子とかいないの?」
「学校に?   いないな。全然」
「あっそう」
「あ、でも、この前の朝礼で表彰されてた三年生いるじゃん?   確か……書道だっけ?   その人は好こ。なんつーか、完成された美人って感じ?   包容力半端なさそうだし」
「胸が?」
「胸が」
「色々理由付けても結局そこじゃんかぁ~!」

 やかましい。それだけじゃないやい!   ちょっと糸目っぽい感じで、あらあらうふふ笑いが似合いそうな大人っぽい先輩なんだよ。名前なんだったかな?   眠くて覚えてないんだよなぁ~。あと、体型は少しふっくらしてるようにも見えたけど、それは胸のせいかもしれない。ヤバい。
 ……あ、やっぱり理由は胸か?   いやいやまさか。
 だって人柄とか知らないからな。印象強い部分が頭に残るのは仕方がない。うん。仕方がない。
 まぁ、これから関わる事も無いだろうし。言うだけはタダって事で。

「つーかその話はどうでもいいから学校行くぞ」

 話を終わらせるためにそう言って俺は歩き出す。

「どうでもいいって……キョウにはね……」
「ん?    なんだよ」
「なんでもないよーだ。べー!」
「べーって子供かよ……」

 その後、俺は乃々華と一緒に学校に行くと、特に何事もない平穏で退屈な時間を過ごした。
 そしてあっという間に放課後になり、俺は部室棟に向かう。
 俺が所属する【久鳴岳《くめいがく》学園   排球部】と書かれたドアを開くと……開くと……開っ……開かないっ!?  Why?    何故!?

 そこで俺のスマホが鳴る。相手は部長。内容は〖今日女バレが練習試合で体育館使えないから休みー!〗だってさ。

「おいおい、もっと早く言えよ……。はぁ、まぁいいや。丁度今日はソシャゲのイベント開始の日だし、エムドエヌドに出も行ってダラダラ進めっかな」

 俺は一人そう呟くと、澤盛さんのいる店に向かって歩き出す。いや、いるかわからないけどな。
 だけど俺は希望を捨てずに向かう。その結果──いませんでしたっ!
 そのことに若干肩を落としつつ、今日は部活が無いせいであまり腹も減ってなかったから、ポテトとドリンクだけを頼んで窓際の席に座る。
 ポケットからスマホを出して目の前に置いて、ポテトを掴みながらゲーム起動。
 それからしばらくゲーム、食べる、外を眺める、を繰り返しているうちにスマホの充電が無くなった。

「……帰るか」

 ゴミを捨ててトレーを片付けると、自動ドアをくぐって外に出る。するとそこで視界の端にデニムワンピースの上に、白いストールを羽織った女の人の姿が見えた。てか、店の中にいる時からチラチラ見えてたんだけど、まだいたのか。距離があるせいか顔はよく見えないけど、ストレートの長い髪が印象的だった。大学生くらいかな?

「なんだ?   さっきからいるけど待ち合わせか?  まったく。女の子を待たせるとはけしからん。まぁ俺は待ったことも待たせたこともないけど。あ、言ってて悲しくなってきた。帰ろ……」

 時間を見ようとしていつものようにスマホを手に取り、何も映さない画面を見た後、ため息をついて家に向かって歩き出すこと十数歩。
 後ろから近づいてくる足音。その音が止まると同時に声をかけられた。

「あ、あのっ……!」
「?」

 その声に振り向き、声の主を視界の中におさめると、そこに映ったのは先程のワンピースの女性。
 そしてさっきまで見えなかった顔を見る。その人は──

「え?   あれ?」

 澤盛さんだった。
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