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ビサスからの旅人 レイラ
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ビサス島の冬の朝はゆっくりと始まる。森林地帯もグレーに凍ったビサス海も皆静かに氷の下になり、静かに息をつぐのである。人は暖かいレンガ造りの家で過ごすし、獣も時々いたずらに人里に顔を出す妖魔達も姿を見る事はない。
人々はのんびりと朝をむかえパンを焼き香草茶を飲む。男達はまきをわったり、獣の皮をなめしたり銃やだんびらの手入れをする。女達は麦粉をねったり、ソーセージを作ったり、毛皮で帽子や上着を縫う。子供達は雪の谷間に探検に行き夏の間にうめておいた宝物を掘り出して、それはきらきら光る水晶のかけらや虹虫の羽根だったりするが、自分の獲物の自慢をするのである。
ビサスはマックレーリ本国から唯一切り離された北方に位置する小島である。人口三千人、一年の大半は雪に覆われている。収入は夏の間に漁に出てとった魚と、一年中季節を問わず実るポアの実と花である。濃い塩分のビサス海で育った魚と甘く汁気をたっぷりふくんだポアの実は非常に美味であるし、乾燥させたポアの花弁は強い良い香を出すので香袋につめたり婦人の香水としてマックレーリ国をはじめ遠方の国の貴族に需要が高い。どれも高価でさばけるので、夏の稼ぎでビサスの民は一年中ゆったりと暮らせるのだった。 ビサスの中心地には領事官の小さな屋敷と何件かの酒場、あつあつのスープや肉の燻製、ポア酒やポアのパイを売る屋台が集まって小さいながらも賑わいを見せている。ビサスの民は生活と同様、ゆったりとした気性なのでここ何十年も争いや略奪がない。いたずらな妖摩どもが時々あやしげな幻想で人をおどかすくらいである。ゆるやかに時は過ぎ、あたたかな食糧と金や銀の酒があれば人々は幸せなのだった。
「旅に出ようと思うんだけどねえ」
レイラは慎重に言った。ここはビサスで一番栄えている酒場ヴァン。いくつかの椅子とテーブルに壁一面の酒瓶を背に3人座ればいっぱいのカウンターがある。
テーブルを拭いていたリリの手が止まった。
「旅ってどういうこと? どこへ行くの? いつ帰ってくるの? レイラ姐さん」
思いがけないショックにリリはすがるようにレイラを見た。
「ちょっと待ってよ、リリ」
レイラはリリを見返した。
リリは若い。すらりとした手足も雪から生まれてきたような肌も褐色の瞳も、何もかもが美しい。明日への夢といつかは現れるだろうまだ見ぬ恋人への期待に胸がはちきれそうなのがレイラにはよく分かる。毎日がうれしく、今の自分にかなえられない事などないと思っている。世界は自分中心に回っていて、いつかはなにか素晴らしい出来事があるだろう、とわくわくしていられる。ところがとレイラは我が身をふりかえって思う。自分はリリの年よりも十も過ぎている。昔もっていた希望もいつのまにか無くしてしまった。愛する人とその子供を抱く夢もかなわず、ちっぽけな酒場の歌い手で時は過ぎて行く。漆黒の髪にリリ同様雪のような肌、鋭い光を持った瞳。レイラは今が一番美しい時期だが、はりのある歌声に成熟した身体、ビサス一の歌い手で美女と言われてもこれからはくずれていくだけだろう。ほんの少し前には愛する人と美しい夢を見た時期もあったが、夢はうつつに思い出は清らかに消えてしまった。
(デニス、むかえに来ると言ってもう二年が過ぎてしまったわ。海賊だったあんたの頭の中にはもうあたしの存在すらないのかしらね)
だからあの人を探して旅に出ようと思った。夜半、一人で寝る事や冷たいベッドの一人目覚める事の寂しさはどんな物にもかえられない。レイラの器量にいいよる男は多数いる。 ビサスの領事官やビサス港を仕切る船館のダン親方など。
それでもとレイラは思う。たった一人の男がここにいなければなんの意味もないのだ。
「だからさ、あたしが旅に出たあとはあんたがここをやっていけばいいわ。クリスと一緒になって二人でやるものよし、やらないなら売ってしまってもいいの」
「まじで言ってんの? レイラ姐さん」
とうとうリリの瞳はうるみ、レイラの均整のとれた身体がゆがんでうつっている。
「あデニスをね探しに行こうと思って。いまマックレーリにいるらしいから」
気休めにレイラは嘘をついた。確かにデニスはマックレーリ国へ行くと言った。二年前に。(何の目標もないままあの人を待って年老いていくなら、あの人を探して旅の途中でのたれ死ぬか山賊の餌になるのもいいかもしれない)
真剣にレイラはそう考えていた。
「危ないよう。女の一人旅なんて死にに行くようなもんだよ。分かってんの?」
リリの言い分ももっともである。マックレーリ国、プリンセス王国、ザザ大国、いくつもの国がひしめきあっているローランド地方。国間をぬって縦横に走るいくつもの街道。 村から村へ街から街へ、その街道ぞいには凶悪な山賊や盗賊が巣くっていた。貧しい暮らしに耐えかねて身をやつした者、みなしごが生きる手段としてしかたなく選んだ結果、根っからの悪で喜んで身を落とした者。賞金首の的になり反対に追われる者もいた。それらは皆、多少の衝撃には耐えられる皮の服にずぼんを着け腰には頑丈な大ナイフか細い剣をさしている。野性馬を手足のように操り敏捷な動きをし、軍隊のように攻撃略奪するのだった。そして、一歩間違えて妖魔地帯にはいるローランドの魔賊、妖魔族の支配者ギルオンのふところなのである。妖魔の一族は死の暴走車、轟音をたててやってきて街道を焼きつくす狂気の嵐。リリの心配は大袈裟な物ではなかった。
「街道筋の山賊ども、あの有名な極悪ゼータだって、もしあんなのにとっつかまってごらんよ。殺されるならまだましだよ。あいつらは女に目がないし、どんな目にあわされるか分かったもんじゃないよ」
リリは身ぶるいしておぞけをふるった。
「それに妖魔地帯に迷いこんでごらん。妖魔は人間を食べるそうだ」
「分かってる」
「分かっちゃないよ。妖魔のボスのギルオンを知ってるかい。それは恐ろしい姿をしてるって。何もかも焼きつくす炎を吐く馬に乗り、鋼鉄の鎧や甲をつけて大きな大きなダンビラで神経を一本ずつそぎとられるよ。手下の妖魔どもは邪悪な光で生きながら獲物を焼くんだ。やつらは獲物の絶叫が一番のお楽しみなんだよ」
「何もそう悪い方にばっかり考えるのはおよし。今すぐ出て行くわけでもないし、雪が溶けるまでは身動きはとれないわよ。さあ、店の開く時間よ。用意しましょう」
と、レイラは言って陽気に笑った。
人々はのんびりと朝をむかえパンを焼き香草茶を飲む。男達はまきをわったり、獣の皮をなめしたり銃やだんびらの手入れをする。女達は麦粉をねったり、ソーセージを作ったり、毛皮で帽子や上着を縫う。子供達は雪の谷間に探検に行き夏の間にうめておいた宝物を掘り出して、それはきらきら光る水晶のかけらや虹虫の羽根だったりするが、自分の獲物の自慢をするのである。
ビサスはマックレーリ本国から唯一切り離された北方に位置する小島である。人口三千人、一年の大半は雪に覆われている。収入は夏の間に漁に出てとった魚と、一年中季節を問わず実るポアの実と花である。濃い塩分のビサス海で育った魚と甘く汁気をたっぷりふくんだポアの実は非常に美味であるし、乾燥させたポアの花弁は強い良い香を出すので香袋につめたり婦人の香水としてマックレーリ国をはじめ遠方の国の貴族に需要が高い。どれも高価でさばけるので、夏の稼ぎでビサスの民は一年中ゆったりと暮らせるのだった。 ビサスの中心地には領事官の小さな屋敷と何件かの酒場、あつあつのスープや肉の燻製、ポア酒やポアのパイを売る屋台が集まって小さいながらも賑わいを見せている。ビサスの民は生活と同様、ゆったりとした気性なのでここ何十年も争いや略奪がない。いたずらな妖摩どもが時々あやしげな幻想で人をおどかすくらいである。ゆるやかに時は過ぎ、あたたかな食糧と金や銀の酒があれば人々は幸せなのだった。
「旅に出ようと思うんだけどねえ」
レイラは慎重に言った。ここはビサスで一番栄えている酒場ヴァン。いくつかの椅子とテーブルに壁一面の酒瓶を背に3人座ればいっぱいのカウンターがある。
テーブルを拭いていたリリの手が止まった。
「旅ってどういうこと? どこへ行くの? いつ帰ってくるの? レイラ姐さん」
思いがけないショックにリリはすがるようにレイラを見た。
「ちょっと待ってよ、リリ」
レイラはリリを見返した。
リリは若い。すらりとした手足も雪から生まれてきたような肌も褐色の瞳も、何もかもが美しい。明日への夢といつかは現れるだろうまだ見ぬ恋人への期待に胸がはちきれそうなのがレイラにはよく分かる。毎日がうれしく、今の自分にかなえられない事などないと思っている。世界は自分中心に回っていて、いつかはなにか素晴らしい出来事があるだろう、とわくわくしていられる。ところがとレイラは我が身をふりかえって思う。自分はリリの年よりも十も過ぎている。昔もっていた希望もいつのまにか無くしてしまった。愛する人とその子供を抱く夢もかなわず、ちっぽけな酒場の歌い手で時は過ぎて行く。漆黒の髪にリリ同様雪のような肌、鋭い光を持った瞳。レイラは今が一番美しい時期だが、はりのある歌声に成熟した身体、ビサス一の歌い手で美女と言われてもこれからはくずれていくだけだろう。ほんの少し前には愛する人と美しい夢を見た時期もあったが、夢はうつつに思い出は清らかに消えてしまった。
(デニス、むかえに来ると言ってもう二年が過ぎてしまったわ。海賊だったあんたの頭の中にはもうあたしの存在すらないのかしらね)
だからあの人を探して旅に出ようと思った。夜半、一人で寝る事や冷たいベッドの一人目覚める事の寂しさはどんな物にもかえられない。レイラの器量にいいよる男は多数いる。 ビサスの領事官やビサス港を仕切る船館のダン親方など。
それでもとレイラは思う。たった一人の男がここにいなければなんの意味もないのだ。
「だからさ、あたしが旅に出たあとはあんたがここをやっていけばいいわ。クリスと一緒になって二人でやるものよし、やらないなら売ってしまってもいいの」
「まじで言ってんの? レイラ姐さん」
とうとうリリの瞳はうるみ、レイラの均整のとれた身体がゆがんでうつっている。
「あデニスをね探しに行こうと思って。いまマックレーリにいるらしいから」
気休めにレイラは嘘をついた。確かにデニスはマックレーリ国へ行くと言った。二年前に。(何の目標もないままあの人を待って年老いていくなら、あの人を探して旅の途中でのたれ死ぬか山賊の餌になるのもいいかもしれない)
真剣にレイラはそう考えていた。
「危ないよう。女の一人旅なんて死にに行くようなもんだよ。分かってんの?」
リリの言い分ももっともである。マックレーリ国、プリンセス王国、ザザ大国、いくつもの国がひしめきあっているローランド地方。国間をぬって縦横に走るいくつもの街道。 村から村へ街から街へ、その街道ぞいには凶悪な山賊や盗賊が巣くっていた。貧しい暮らしに耐えかねて身をやつした者、みなしごが生きる手段としてしかたなく選んだ結果、根っからの悪で喜んで身を落とした者。賞金首の的になり反対に追われる者もいた。それらは皆、多少の衝撃には耐えられる皮の服にずぼんを着け腰には頑丈な大ナイフか細い剣をさしている。野性馬を手足のように操り敏捷な動きをし、軍隊のように攻撃略奪するのだった。そして、一歩間違えて妖魔地帯にはいるローランドの魔賊、妖魔族の支配者ギルオンのふところなのである。妖魔の一族は死の暴走車、轟音をたててやってきて街道を焼きつくす狂気の嵐。リリの心配は大袈裟な物ではなかった。
「街道筋の山賊ども、あの有名な極悪ゼータだって、もしあんなのにとっつかまってごらんよ。殺されるならまだましだよ。あいつらは女に目がないし、どんな目にあわされるか分かったもんじゃないよ」
リリは身ぶるいしておぞけをふるった。
「それに妖魔地帯に迷いこんでごらん。妖魔は人間を食べるそうだ」
「分かってる」
「分かっちゃないよ。妖魔のボスのギルオンを知ってるかい。それは恐ろしい姿をしてるって。何もかも焼きつくす炎を吐く馬に乗り、鋼鉄の鎧や甲をつけて大きな大きなダンビラで神経を一本ずつそぎとられるよ。手下の妖魔どもは邪悪な光で生きながら獲物を焼くんだ。やつらは獲物の絶叫が一番のお楽しみなんだよ」
「何もそう悪い方にばっかり考えるのはおよし。今すぐ出て行くわけでもないし、雪が溶けるまでは身動きはとれないわよ。さあ、店の開く時間よ。用意しましょう」
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