Dark world~Adventurers~

yamaken52

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第十三話 3

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エルディアは知っていた。

シュリンの家の家計が苦しく、彼女の母親が必死になって娘の夢を実現させるために、学費を捻出していたことを。

そして、父親がいないことも知っていた。

彼女の夢は世界の料理や料理史の研究者になることだった。

そして、世界の様々な料理を実家の宿屋のメニューにして、島一番の宿屋にし、有名になれば、父親も帰ってくるかもしれないと言うものだった。

それだけに、エレーナの言葉は許せなかった。

「ふん!確かにあなたに連絡は伝えたわよ。私だって、あんたたちなんか、どうだっていいんだから!」

そう言ってエレーナは、ドアを強く閉め、部屋から出て行った。

シュリンはドアに向って顔をしかめ、舌を出していた。

「べーっだ!私、あの人凄く嫌いです!ちょっとお金持ちだからって、いつも偉そうにしてて、あたしの友達にも言ってて、評判悪いんですよ!」

「……放っておけばいいわ、相手にする必要なんてない……」

「だけど、先輩。代わりに言ってくれてありがとうございます。ちょっと、すーっとしました!けど、あのまま、あの人が言ってたらどうなってたんですか?」

「……焼いてたわ」

シュリンは驚き、止めるように言った。

「―――えええっ!それは、流石に不味いですよ!」

「……冗談よ」

「そ、そうですか……まあ、そりゃそうですよね……(たまに冗談か本当かわからないときが……)」

「……焦がすぐらいで許すわ」

シュリンは再び驚いた。

「えっ……」

そして彼女の驚く顔を見た、エルディアは、少し笑っていた。

「ふっ……これも冗談よ」

からかわれたことを悟ったシュリンは、両方の頬を膨らませ抗議した。

「もうっ!先輩!からかわないで下さいよ!」

「ふふ、ちょっとだけさっきのお返し……。シュリン……学院長に呼ばれているみたいだから、私は行くわ」

「……そうですか。でも、なんの用事でしょうね?」

「……さあ」

エルディアは眼鏡をしまうと立ち上がり、本を元にあった場所へ入れ、部屋から出て、学院長のいる部屋へと向かおうとした。

そして部屋を出た瞬間、シュリンが男の学生とぶつかった。

中性的な顔立ちの線の細い、黒髪の男だった。

「―――痛っ!」

彼女は、その男の胸の辺りに頭を打ち付け、軽くよろめき、壁に手をついた。

そして、男は僅かに体制を崩しただけだった。

しかし、手に持っていた本が落ちる。

男はシュリンを睨みつけると、甲高い声で怒鳴り声を上げた。

「おい!気をつけろ!」

エルディアは、シュリンに近寄り、彼女の安全を確かめながら、落ちた本を見ていた。

(……見たことない、文字……あれは……?)

シュリンは口元を膨らませ、反論した。

「……むぅー、そっちもちゃんと前を見てなかったでしょ!……あっ」

「うるさい!どけ!」

男はすぐに彼女を跳ね除け、本を拾うと、どこかへ行ってしまった。

エルディアは、先ほどの本が気になっていた。

(ちょっと見てみたい……だけど、あれは、新発見か何かで見つかった物?……)

そしてエルディアは、シュリンのことをすぐに思い出し、無事なのか彼女に尋ねた。

「シュリン、大丈夫?」

「はい……」

シュリンは、何かを思い出したのか、怒るのをやめ、冷静になっているようだった。

「エル先輩、あの人って確か……」

「シュリン、知っているの?」

「前に見たことがあるんですけど、確か、名前はクリ…ス……『クリス・ヴィガル』だったかな?」

エルディアは、その名前を聞いて思い当たることがあった。

「『ヴィガル商会』……」

「あっ!そうですよ、あの人、ヴィガル商会の一人息子のクリス・ヴィガルですよ」

2人は学院長室目指して歩き出した。

ヴィガル商会

近年、急成長をしオリディオールにある商会の中でも上位に属する商会である。

しかし、評判は良くなかった。

儲けている主なものは、盗品などが集まる闇市や娼館、闇賭博などで、財を成したと言われている。

最近は世間の目も気になるのか、表の仕事で儲けていることになっていた。

「しかも、あの人の親が学院にかなりの額の寄付をしていて、なんでも特別扱いされているとか……確か、男子の友達に聞いたんですけど、寮の最上階の一角にあの人専用の部屋があるって言ってましたよ。だから、誰も入れないんだとか……」

「そうなの……」

しばらく歩いていると、外の景色が見える廊下へ2人は辿り着いていた。

学院長の部屋は、もうすぐそこの場所だった。

そして、辺りをふと見ると中庭が見え、学生たちが談笑しながら昼食を取っているのが見えた。

(……そう言えば、お昼だったわね……あとでシュリンと一緒に寮の部屋で……)

寮の部屋は基本的に相部屋になっていた。

エルディアとシュリンは同じ部屋だった。

最近、学院を去る女生徒がいた。

それは、シュリンの部屋だった。

そこで、彼女はすぐに寮長に掛け合い、交渉の末、エルディアに来てもらっていた。

だから、階の一部を独占することなど、信じられなかった。

「羨ましいと言えば羨ましいですけど……広すぎて寂しくないんですかね?」

「……そうね……だけど、今の部屋が少し狭く感じるのは、シュリンが色んな物拾ってくるからでしょ……」

「うっ……そうですけど……けど、必要なんです!」

「シュリン……ちょっとは片付けて。寮母のリーネさんは、凄くうるさいんだから……」

そして2人は、学院長のいる部屋の前にいつの間にか着いていた。

他の部屋の扉と比べると大きく、頑丈そうなつくりの木製の扉だった。

「はーい……あっ、もう着きましたよ」

「ええ、そうね……じゃあ、行ってくるわ……」

「はい!行ってらっしゃい!私は、一足先に寮の部屋に行ってきますね。あとで一緒に!」

そう言ってシュリンは、手を振ると走り去っていった。

それを確認したエルディアは、木製のドアを軽くノックした。

コンッ!コンッ!

そして、名を告げようとしたとき、部屋の中から高齢の男性の声がした。

「……入ってきなさい」

エルディアは、すぐに部屋に入った。

そして、部屋の中に入ると、学院長と、他にも2人の男がいた。

一人は、白い髪を持ち、褐色の肌の男で、耳に少し大きめの金で出来たイヤリングをし、首にはネックレスをしていた。

そして普段着の上にクロークと言う、襟があり、袖のない深い朱色の外套を着ている者だった。

見た目は優男と言う感じだった。

もう一人は、青味がかった灰色の髪をもち、整った顔立ちの切れ長の目つきの鋭い男で、スケイルアーマーという、シーサーペントの鱗で作られた青い鎧を着て、腰にはロングソードをぶら下げていた。

2人ともエルディアよりも遥かに背は高かった。

そして学院長は2人の男を前にして大きく重量感のある、机の近くの椅子に座り、待っているようだった。

2人の男は彼女が部屋に入るなり、振り返ると、それがエルディアだと分ると彼女を見るなり、笑顔になっていた。

そして白い髪を持ち、褐色の肌の男が声をかけてきた。

「やあ!エルちゃん。まさか、あなただったとはね!」

もう一人の男も声をかけてきた。

「エルディアか!それならば、この話考えてやってもかまわんぞ、学院長」

褐色の肌の男が、目つきの鋭い男に向って、やや呆れ気味に話し掛けていた。

「あなたは、分り易いですね『クフィン』……」

青い鱗の鎧を着た男も反論していた。

「黙れ、お前は金のためだろ、『カーリオ』」

カーリオと言われた男は、すぐに反論していた。

「失礼なことを言わないで下さい。他にも理由はたくさんありますよ?それに、エルちゃんが手伝ってくれるなら早く終わりそうですし……」

「貴様!さっきから馴れ馴れしいぞ!」

エルディアは、2人を軽く睨み、静かにするように言った。

「2人とも静かにして……」

クフィンと言われてた男は無表情なまま黙り、カーリオと言う人物は両手を広げ、にやけながら黙った。

クフィンと呼ばれた男は、名を『クフィン・ダルグレン』と言った。

彼は、『オリディオール自警団』に所属する人物である。

オリディオール自警団

冒険者ギルドと並んで、審議会の下部組織。

最初は、オリディオール島を守る為に組織された団体だったが、近年、開拓地が増えたため、新たに開かれた町も守護する対象としている。

主な仕事は、治安の維持、暴徒の鎮圧、災害救助、滞納している税の徴収、要人の護衛、そして、時には海賊や山賊とも戦ったり、町に現れた魔物との戦闘など非常に多くの任務をこなす。

軍隊のように階級が存在する。

また、冒険者から自警団にクラスを変えることもでき、その逆も可能であった。

そのため、冒険者を引退した者などが多く在籍していた。

クフィンは、何となく生きていた。

剣の腕はかなりあったが、冒険者には興味を示さなかった。

人付き合いもあまり得意ではなかった。

一日中喋らないでいても平気なほどだった。

そして一度だけ、冒険をし魔物と戦い、それなりの報酬を獲得することに成功していたが、彼は特に冒険者として喜びや、やりがいを見出せなかった。

だから彼は、比較的安全な自警団へ道を進めた。

彼の配属先は、このレイアークの町だった。

そして、何も起こることのない日々を過ごしていた。

クフィンは、学院の警備を中心に行っていた。

いつものように校舎の回りを巡回する。

そして、今度は庭園の中を歩いた。

毎日同じ事をすることに飽きていたクフィンは、その日、いつもと違うことを少しだけしようと思った。

それは、普段巡回しないところをするというものだった。

そんな時に、彼はエルディアと出合った。

彼女は、中庭の庭園の大きな木が茂っている場所の近くで座り、毎日同じ場所で本を読んでいた。

表情一つ変えることなく。

いつも一人だった。

それは自分も同じだった。

クフィンは、そこに親近感を感じた。

この女も何もなく、何となく生きているのか?

自分と同じように。

校舎で見かけても、誰かと会話しているところも見なかった。

彼女は、いつもつまらなさそうにしているように見えた。

毎日繰り返される同じような出来事。

変わり映えのしない会話。

そして、一年ほどが経ったある日、この女に友人が出来ているようだった。

彼女は、一見すると変わらないように見えたが自分には分った。

以前より明るく、活き活きとしていた。

そして、さらに嬉しそうにしている日があった。

それは、手紙を読んでいる時だった。

嬉しそうだったり、寂しそうだったり、懐かしそうに僅かだが表情を変え、手紙を読んでいた。

いつも読んでいる本では、そんなことは無かったのに。

クフィンは、なぜか気になった。

そしてあるとき、彼女が何かを一人で雨の中、中庭を探していたことがあった。

どうやら、眼鏡を無くしていたようだった。

そのとき初めてクフィンは、エルディアに声をかけ、探すのを手伝った。

エルディアは「自分で探すからいい」と言っていたが、それを無視して彼は無言で手伝った。

そしてクフィンが彼女の眼鏡を見つけることに成功した。

(……ん、これか……)

しかし、どうやら誰かに意地悪されていたようだった。

彼女の眼鏡が割れていた。

「……おい、女。これはお前のか?」

クフィンから奪い取るように眼鏡を取ると、割れていることにエルディアは気づいた。

そして彼女は、それを大事そうに抱え、その場でうずくまった。

2人とも無言でしばらく雨に打たれていた。

そして、クフィンがその沈黙を破った。

「……とりあえず、ここにいても冷えるだけだ……その眼鏡は諦めるんだな。そうなってしまってはどうしようもない……」

エルディアは、無言で立ち上がった。

そして、その時、彼女が悲しそうな顔をしているのを初めて彼は見た。

(大事な物だったみたいだな……そう言えばカーリオの奴から聞いたな……あの手紙は、故郷の人間から送られてくると……いつまでもそんなことでは……)

クフィンは彼女の腕を引張り、呼び止めた。

「おい、いい加減、故郷と言う過去ばかり見るのはよせ!今を見つめ、この場所で精一杯生きろ。お前は、今この学院にいるんだ。だから、その眼鏡は俺が忘れるために捨ててやる。もうそうなっては必要ないだろ、俺に渡せ!」

そして、エルディアから奪い取ろうとした。

しかし、クフィンは思いっきり、頬を引っ叩かれた。

雨のせいで濡れていたためもあって、水面を叩くような音が辺りに響いた。

「―――っ!」

そのときクフィンは、肉体的な痛みだけではなく、心にも痛みが走った。

その痛みは全身に駆け巡るようだった。

(―――これは!?)

そしてその時、彼は生きていると初めて実感した。

今まで自分が経験したことの無いこと。

少しだけ気になった人物に、叩かれた。

ただそれだけなのに。

何もない灰色の夢の中を彷徨うような日々に、突然起きた、痛みと言う現実。

肉体的な痛みは、これまで何度もあった。

だが、心の奥底まで来る痛みは、今まで無かった。

(これが生きると言うことか!……これが!)

胸の奥に、熱い炎が宿ったように思えた。

彼の灰色の日常はその時、色をもった。

そして、彼は思った。

(いつの間にか、好いていたんだ……俺は……この女を……なぜかはわからんが……自分が感じたことを信じてみよう……それが、今までの俺に無かったことだ……そして、始まりと言うやつは、こんなもんでいいんだ……今の俺にとってはな!)

そして、クフィンは叫んだ。

「おい、女。俺はお前が好きになったらしい……だから、俺の女になれ!」

エルディアは、そんなクフィンを無視し、その場を走り去った。

そこには、雨に打たれ、呆然と立ち尽くすクフィンだけがいた。

(どういうことだ……?)

そして、何日か経ったとき、クフィンはエルディアのもとへ謝りに来た。

自分が失礼なことをしたと言うことを、カーリオに言われ、気づいたクフィンは、彼女に謝った。

どこか自分は他の人と比べて、何か欠如しているところがあるとも言っていた。

だが、好きだと言うことは本当だとも言っていた。

そして、カーリオからの助言だったが、「友達でいいから、たまに話をしてくれるだけでいい」とクフィンは彼女に言った。

エルディアも、あの後、眼鏡を見つけてくれたのはクフィンだったのを思い出し、その相手に暴力を振るってしまったことを少し後悔していた。

だから彼女は、渋々許すことにした。

たまにクフィンから、他愛もない話をエルディアにする程度の間柄だった。

そして、今に至るのだった。

そして、もう一人のカーリオと呼ばれていた者は、名前を『カーリオ・バルド』と言った。

彼は、ジルメイダ・バルドの息子だった。

このラドルフィア魔法学院を卒業し、学院の東に研究部屋を持っており、父親と同じく、鉱石の研究をしていた。

エルディアが学院に入った年に始めて行った新入生のクエストで、人見知りが激しい彼女が困っていた時に、カーリオがそれを察したのか、声をかけてくれた。

彼はその時、最上級生だった。

そして、クエストを無事終えたときに、彼はエルディアに甘い言葉を巧みに使い、口説いてきた。

だが、エルディアは、すぐにはっきりと迷い無く断った。

あまりの速さに、カーリオは目をしばたかせ驚き、声を上げて笑った。

「ははははっ!こんなに早く拒否されたのは初めてですよ。……だけど、なんとなく最初からわかってました。断られるかなって……ね」

「……じゃあ、なぜ手伝ってくれたんですか?」

「んー、「困っている魅力的な女性は、絶対に助けなさい」って親にそう言われて育ったんです」

その答えにエルディアは、呆れていた。

「何それ……」

彼女の呆れ顔を見たカーリオは、軽く笑った。

「ははっ!」

そして、そのことを教えた人物を思い出した彼は、なぜか先ほどのような元気はなくなっていた。

「……詳しく言うと父親なんですが……ね……」

「変わった人ですね……」

「ああ、私にはそんな畏まった言い方しなくていいですよ。好きじゃないんです……私の家の者は、みんなそうなんですよ」

「……わかった……」

彼女の答え方に満足したのか、カーリオは再び表情を明るくさせ、エルディアに話しかけた。

「ふふっ、それでいいですよ。よろしく……そして、ようこそ!ラドルフィア魔法学院へ、エルちゃん」

カーリオは一度断られたら、すぐに諦め、また別の可能性のある、新たな出会いを求め、向って行く人物のようだった。

エルディアを口説いたのは、その一度限りで、そのあとは普通に友人のように、困っていたら色々と教えてくれていた。

だから、彼女はカーリオには感謝もしていた。

だが、魅力的な女の人を見つけたら、すぐに声をかけているのは相変わらずだった。

そして、クフィンとカーリオは学院である事件が起こったことをきっかけに知り合ったと言っていた。

「スティラート君の言う通りだ。まだ彼女は決めていないんだぞ!全く……」

ここでやっと学院長が、口を開いた。

この学院長の名前は『オイゲル・ラドラー』と言った。

彼は最近、学院長に就任したところだった。

元々この男は、中堅の商会を運営していた。

魔法学院の学院長は、審議会のメンバーになることができる。

メンバーになることができれば、様々な美味しい思いが出来るのだと言う。

そして、前任の学院長が年老いたことにより、引退すると言う話を聞き、彼は審議会のメンバーになるために各地に根回しや賄賂などを送り、政治的な思惑で就任した人物だった。

だから魔法とは無縁の人物だった。

そして、オイゲルは金目の物に目が無い人物でもあった。

今日も良く見ると、手に何やら不気味な杖を持っていた。

杖の頭の部分に4つの小さな骸骨がある杖だった。

それを見た、カーリオが学院長に聞いていた。

「なかなか良い杖を持ってますね、学院長」

オイゲルは、嬉しそうに答えた。

「……ん、おお、君には分るかね?……フフフ、これはね、つい先ほど届いた物だ。知り合いからの頂き物だよ」

クフィンが、オイゲルに眉をひそめながら尋ねていた。

「それは……『ユニークアイテム』か?」

冒険者は、冒険などで、武器や防具や道具などのアイテムを手に入れることがある。

そして、それらのアイテムは鑑定士に見せることで、様々な等級のようなものに分けられる。

【アトリビュート】 神が持っていた、もしくは神が直接生み出した、作ったと言われるアイテム。

【レジェンド】  伝説の偉人が持っていたと言われる物。

【ユニーク】   古代の名工や名のある職人が作った一点もの。

【レア】     通常のアイテムより、良い魔法のルーンなどの特殊効果がたくさんついていたりする。

【ノーマル】  低級のルーンなどが数個ある程度の物や量産品等の普通のアイテム。

【セットアイテム】  特別なルーン等が施された物で、全て揃うことによって、特殊な魔法の力が発動することが出来るアイテム。

これらは、重なることもある。

そう言った場合は、より高いものから名を呼ばれることもある。

レジェンドユニークとか、ユニークレアなどと呼ばれる。

エルディアは、その杖が持つ邪悪な姿に、思わず自分が思ったことを口に出していた。

「……呪われていそう……」

それを聞いたオイゲルは軽く笑うと、髑髏の杖を見ながら大丈夫だと言ってきた。

「ははっ、私も最初はそう思ったがね、発見されてすぐに鑑定に出したら、どうやら呪われてはいないみたいなんだ。しかし、今のところ、どの文献にも載っていないらしくてね……だから、アイテム研究の方へ渡そうと思っておるのだが……まあ、ユニークなのは確実だよ、はははっ!あとは、レアかレジェンドか……値の張る物に違いは無いはずだ」

そう言ってオイゲルは嬉しそうに杖を撫でていた。

「……それで学院長、私達に話とは?」

カーリオが本題を聞こうとしていた。

「ああ、そうだった。実はな、今日3人を呼んだのは、あることを調べて欲しいんだ」

それを聞いたエルディアが怪訝な顔をし、尋ねていた。

「……あること?」

そこでオイゲルの表情が曇った。

そしてあまり言いたくなさそうに、彼は話を始めた。

「……まだ、噂程度の話らしいいんだが………どうやら最近、学生達の中で悪魔を呼び出す儀式をしている者がいるという話があってな」

クフィンもエルディアと同じような顔になり、オイゲルに聞いていた。

「そんなことをして何になるんだ?」

それにエルディアが答えていた。

「願いを何かと引き換えに叶えてくれるって、本で読んだことある……」

彼女の話を聞いた、カーリオは良からぬ事を考えているようだった。

表情を緩ませ、天井を見ながら呟いていた。

「願いですか……それなら私も叶えて欲しいですねぇ……」

その呟きを聞いたクフィンが、カーリオを睨みつけながら話し掛けていた。

「お前は、どうせ、女か石のことだろ」

カーリオは、全く気にすることなく、クフィンに答えた。

「お、分ってますね、クフィン。これ以上最高なことなんてありますか?」

クフィンはすぐに、反論していた。

「それはお前だけだ、一緒にするな!それに……」

2人のやり取りを我慢して聞いていたオイゲルが話を本題に戻そうと会話に割って入ってきた。

「こら、君達、話が逸れているぞ!」

カーリオが、すぐにオイゲルに謝っていた。

「これは、これは、申し訳ありません、ラドラー学院長。それで、私たちにどうしろと?」

「君達には、その噂が事実かどうかを調べて欲しいんだ。そして、もし、そのようなことをしている者がいた場合、直ちにその行為を中止させ、私のもとへ連れて来て欲しい」

エルディアが最悪の事態を想定して聞いていた。

「………既に呼び出されていたら?」

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