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決着
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「シーザー、お前をぶちのめして全部終わりにしてやる」
「っち、この忙しい時に。まあいい、一刻も早くベンツの仇を取りたいと思っていたからな。てめえを速攻でつぶして、その次にこのクソ馬鹿どもだ」
アレックスが入場曲を背にして突撃すると、暗殺チームの指揮を執っていたシーザーも振り返って応戦する。
アレックスは手四つで組み合おうと手を突き出して突進した。
しかしシーザーは応じない。
「アホめ! がら空きだぜ」
シーザーはガードがない顔面へ、二本の指を立てて突きいれた。目つぶしだ。
「ぐっわ、卑怯なことを」
目つぶしがまともに入った。アレックスは全くの無防備だった。プロレスで目つぶしは反則なうえに、組み合うのがお約束である。決闘という神聖な戦いをやっているつもりのプロレスラーは、この事態を想定していなかった。
「のんきなこと言ってんじゃねーぞ、今やってんのはお行儀のいいプロレスじゃねえ。やるかやられるか、マジのやり合いだ」
アレックスは目を抑えてもだえる。
シーザーはその背後に回り込むと、アレックスの首に腕を巻きつけ、しめ落としにかかった。一気に勝負を決めようというのだ。
アレックスもただ黙ってやられるわけにはいかない。自分の首を絞めつける腕にぶら下がって全体重をかけ、直後にぶら下がりを解除した。すると一瞬締め付けが弱まり、首と腕の間に隙間ができる。その隙間に腕を滑り込ませて首絞めを外し、腕をつかんで背負い投げした。プロレスの技術である。
シーザーは背中をしたたか打ち付け、呼吸が止まった。
畳みかけるチャンス。アレックスは馬乗りになろうととびかかった。
その刹那、シーザーが倒れたまま石を拾って投げた。
それがアレックスの額に直撃し、一瞬、意識が飛ぶ。たまらずにひざをついてしまい、頭を振って意識を回復させた。
「プロレスなんぞガキのお遊戯と思っていたが、なかなかやるじゃねえか」
「お前こそ。くそ野郎そのものだが、それだけに少しはできるようだな」
両者はにらみ合った。お互いを敵として憎しみあっていたが、技を見て強者と認め合った。プロレスの技術もストリート・スタイルも、お互いに未知だ。二人は自分の力をぶつける場所を定めるだけでなく、相手の技の出どころも探る。迂闊な行動は危険だ。
いったいどうすべきか。男たちはにらみ合いながら考えていたが、同時に同じ結論を出した。
「面倒くせえ。ぶん殴ってやらあ」
両者は同時に駆け出し、激突した。
アレックスはシーザーの腹をぶん殴った。
シーザーはうめき声をあげて腹を抑えるが、すぐに拳を固め、殴り返す。
アレックスの左ほほに拳が当たる。目に火花が走ったが、それを耐えて、また拳を握る。
二人は絶叫しながら拳を固め、殴りあった。怒りや憎しみがそうさせたのか、ただ考えるのが面倒だったのかはわからないが、ストリート・スタイルもプロレス技もない純粋な拳のぶつけ合いだった。拳に力を込めて一発殴ると一発殴られる。そしてまた拳に力をこめるという、原初の戦いだった。ガツンとアレックスの拳が鳴り、ガツンとシーザーの拳が鳴る。
一進一退の戦いだが、徐々に形勢は傾いていく。
(勝てる)
という確信を得たのはアレックスだった。シーザーがたたらを踏みはじめ、反撃のパンチも軽くなっている。プロレスラーである彼にとって殴り合いは本分であったが、ストリート・スタイルは勝つことが本分である。殴られるための肉体を作っているプロレスラーのほうが有利な展開であり、その差が出たのであろう。
「これでとどめだ」
ありったけの力を込めた拳は、シーザーのほほに直撃。シーザーは大の字になって倒れ、ピクリとも動かない。暗殺チームのリーダーは、プロレスラーに叩き伏せられた。
「うおおおおおおおお、俺の勝ちだあああああ」
アレックスはオーフェンからプロメテウスのほぐちをむしり取ると、それを高く掲げながら勝利の雄たけびを上げた。この叫びはセントラルパーク中に響き渡り、戦闘中の暗殺チームとレスラーに多大な影響を与えた。なんせリーダーと切り札が陥落したのである。レスラーは仲間の勝利によって鼓舞され、逆に暗殺チームは大きく動揺した。これまで両者は互角の勝負をしていたが、一気にプロレスラーが押す形となり、ついに暗殺チームの全員が倒れた。
「やった、勝ったわ。警察のみんな、早く悪者を捕まえに来て」
フィオナが拡声器で呼びかけると、規制線を守っていた警官が走り寄ってくる。
「Tシャツのやつらは悪党じゃない。スーツを着て倒れてるやつらに手錠を駆けろ」
アレックスのファンである警官が指揮を執り、暗殺チームが次々にとらえられていく。その中にはシーザーやオーフェンという親玉の姿も含まれている。
「っち、この忙しい時に。まあいい、一刻も早くベンツの仇を取りたいと思っていたからな。てめえを速攻でつぶして、その次にこのクソ馬鹿どもだ」
アレックスが入場曲を背にして突撃すると、暗殺チームの指揮を執っていたシーザーも振り返って応戦する。
アレックスは手四つで組み合おうと手を突き出して突進した。
しかしシーザーは応じない。
「アホめ! がら空きだぜ」
シーザーはガードがない顔面へ、二本の指を立てて突きいれた。目つぶしだ。
「ぐっわ、卑怯なことを」
目つぶしがまともに入った。アレックスは全くの無防備だった。プロレスで目つぶしは反則なうえに、組み合うのがお約束である。決闘という神聖な戦いをやっているつもりのプロレスラーは、この事態を想定していなかった。
「のんきなこと言ってんじゃねーぞ、今やってんのはお行儀のいいプロレスじゃねえ。やるかやられるか、マジのやり合いだ」
アレックスは目を抑えてもだえる。
シーザーはその背後に回り込むと、アレックスの首に腕を巻きつけ、しめ落としにかかった。一気に勝負を決めようというのだ。
アレックスもただ黙ってやられるわけにはいかない。自分の首を絞めつける腕にぶら下がって全体重をかけ、直後にぶら下がりを解除した。すると一瞬締め付けが弱まり、首と腕の間に隙間ができる。その隙間に腕を滑り込ませて首絞めを外し、腕をつかんで背負い投げした。プロレスの技術である。
シーザーは背中をしたたか打ち付け、呼吸が止まった。
畳みかけるチャンス。アレックスは馬乗りになろうととびかかった。
その刹那、シーザーが倒れたまま石を拾って投げた。
それがアレックスの額に直撃し、一瞬、意識が飛ぶ。たまらずにひざをついてしまい、頭を振って意識を回復させた。
「プロレスなんぞガキのお遊戯と思っていたが、なかなかやるじゃねえか」
「お前こそ。くそ野郎そのものだが、それだけに少しはできるようだな」
両者はにらみ合った。お互いを敵として憎しみあっていたが、技を見て強者と認め合った。プロレスの技術もストリート・スタイルも、お互いに未知だ。二人は自分の力をぶつける場所を定めるだけでなく、相手の技の出どころも探る。迂闊な行動は危険だ。
いったいどうすべきか。男たちはにらみ合いながら考えていたが、同時に同じ結論を出した。
「面倒くせえ。ぶん殴ってやらあ」
両者は同時に駆け出し、激突した。
アレックスはシーザーの腹をぶん殴った。
シーザーはうめき声をあげて腹を抑えるが、すぐに拳を固め、殴り返す。
アレックスの左ほほに拳が当たる。目に火花が走ったが、それを耐えて、また拳を握る。
二人は絶叫しながら拳を固め、殴りあった。怒りや憎しみがそうさせたのか、ただ考えるのが面倒だったのかはわからないが、ストリート・スタイルもプロレス技もない純粋な拳のぶつけ合いだった。拳に力を込めて一発殴ると一発殴られる。そしてまた拳に力をこめるという、原初の戦いだった。ガツンとアレックスの拳が鳴り、ガツンとシーザーの拳が鳴る。
一進一退の戦いだが、徐々に形勢は傾いていく。
(勝てる)
という確信を得たのはアレックスだった。シーザーがたたらを踏みはじめ、反撃のパンチも軽くなっている。プロレスラーである彼にとって殴り合いは本分であったが、ストリート・スタイルは勝つことが本分である。殴られるための肉体を作っているプロレスラーのほうが有利な展開であり、その差が出たのであろう。
「これでとどめだ」
ありったけの力を込めた拳は、シーザーのほほに直撃。シーザーは大の字になって倒れ、ピクリとも動かない。暗殺チームのリーダーは、プロレスラーに叩き伏せられた。
「うおおおおおおおお、俺の勝ちだあああああ」
アレックスはオーフェンからプロメテウスのほぐちをむしり取ると、それを高く掲げながら勝利の雄たけびを上げた。この叫びはセントラルパーク中に響き渡り、戦闘中の暗殺チームとレスラーに多大な影響を与えた。なんせリーダーと切り札が陥落したのである。レスラーは仲間の勝利によって鼓舞され、逆に暗殺チームは大きく動揺した。これまで両者は互角の勝負をしていたが、一気にプロレスラーが押す形となり、ついに暗殺チームの全員が倒れた。
「やった、勝ったわ。警察のみんな、早く悪者を捕まえに来て」
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