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第二章

第三十二話

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まっほは今幽霊やってるんだけど。その事情を話しておくね。グラビアアイドルでのスイーツ大食い競争での出来事。あるアイドルの大ファンがレターの返事がないことの逆恨みで、スイーツに毒を盛ったのね。毒入りはそのアイドルに当たる予定だったんだけど、誰かが会場に間違い電話をかけてしまい、準備スタッフが席を外して、スイーツが入れ替わってしまって、結果として、まっほのところに毒入りが来て。

で、今霊界にいるわけ。天獄にも地獄にも逝きたくなかった。『現世』がよかったわけじゃない。でも、このまま成仏してしまうのはすごく嫌だったのね。だからここに来てやりたいことをやるんだ。大好きなスイーツが食べられないのは残念だけど。そう、幽霊は食事ができないのね。そういう意味では都たんがうらやましい。でも食に関する思いは今も強くあるので、何でも味見してしまうんだよね。

まっほは霊界でもグラドルとして活躍したいと考えているんだよ。自分と同じような境遇で、霊界にきてしまった人をひどくかわいそうだと思う。自分も『現世』でやりたいことが十分にできず、悔しい思いをした。『現世』への心残りはあるけど、苦労続きからの解放感があって、ジバクにはならずにここに来た。

でもやはりやり残したことに対する思いが強い。自分の力で貧しい孤児院を豊かにしたいとの願望がある。孤児で霊界に来た人を集めて、元気付ける機関を作りたいと思っている。ちょっと夢物語入っちゃってるけどね。これからも頑張るよ。】


万?の身の上話を聞いて、美緒。
「そうか。でもつらくはないんだな、万?。」
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