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第四章

第六話

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「あいつか。向こうから出てきたな。この作戦が成功したらしい。」

「そうね。あたしの魅力の虜になってるはずだわ。」

「そういうことにしておこう。よしよし。」
 美緒は由梨の頭をなでなでしている。

「ちょ、ちょっと、気持ち悪・・・気持ちいい。」
 由梨は官能的な表情で、恍惚としている。美緒の技はスゴイらしい。

「なにを騒いでいる。お前たちはいったい何者だ。」
 ついに学生帽は美緒たちの前に出てきた。

「そちらからやってくるとは好都合だな。我らは霊界から来たが人間界にいる生徒会だ。」

「複雑な境遇の生徒会だな。全部女子のようだな。女子高か?それなら興味あるのだが。」

「いやそうではない。女子でないものもいる。」

「女子高でないのは残念だ。出てきた意味がなくなった。帰る。」

「ちょっと待て。ここにいる女子四人ならどうだ。」

「レベル高いな。でも俺の好みではないな。何かサービスはあるのか?」

「そんなことはどうでもいいだろう。それよりも貴様名前を名乗れ。我は神代美緒だ。神と呼ぶがいい。」

「自分で神とは恐れ多いヤツだな。いいだろう。その鼻柱をへし折ってくれる。俺は倉井光(くらいひかる)だ。よく覚えておけ。」

「暗いのに光るのか。矛盾だらけの名前だな。」

「ほっとけ。親が勝手に付けたものだ。俺はそもそも気にいらんのだがな。」

「倉井光よ。貴様がこのプールのジバクどもの大騒ぎを起こして、さらに現世の人間の魂を入れ替えたりしてるんだな?」

「そうだとしたらどうする。」

((退治するだけどす。))

「天獄か地獄に行ってもらうわよ。」
 いきなり、絵里華と由梨が倉井に飛びかかった。『カッ!』同時に、倉井のからだから光が放たれた。ふたりは倉井に触れたかどうかのギリギリのところで、跳ね飛ばされて、プールのフェンスにけたたましく激突した。金網が人型に湾曲している。

「絵里華、由梨、大丈夫か?」
 美緒、万步が慌ててふたりに駆け寄り、心配そうに抱きかかえる。

((う、う、う。痛いどす。))
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