35 / 67
第二章
第三十一部分
しおりを挟む
ここは学校。ちょうど放課後になり、遼斗は特進クラスの教室を出た。メイド長の授業が長引き、同行する玲羅も遼斗のそばにいなかった。それだけでなく、他の黒メイドたちも姿を見せていない。
「どうして誰もいないんだろう。授業終了が長引いているのかな?」
首を傾げながら、校門に続く長い廊下をひとりで歩いている遼斗の前に、女子生徒が現れた。頬かむりをしており、顔が見えない。
「見たことのない女子だな。」
「そうじゃな。ワシはずっと前から王子のことを知っているんじゃからな。ククク。」
低くハスキーな声に、遼斗は聞き覚えがなかった。
「まさか、他の製薬会社の刺客か?」
キャンセラーグラスを煌めかせて身構える遼斗。
「あれ?王子ともあろうお方が戦闘態勢を取るのかのう。いつも黒メイド隊に守られているから、何もできないと思っておるがのう。でもムダな努力はどこまで行っても報われないのが人生じゃがな。ククク。」
「ここに黒メイドたちが来ないのは、貴様のせいか。いやそうなんだな。」
「ご名答じゃな。授業ですぐに解決できるようなトラブルが発生したら、多少の延長はやってしまうよな。花瓶が落ちて水がこぼれたとか、時計が少し遅れたとか、たまたまチョークが切れて補充が必要になったとか、そんな事象が授業の終わる寸前に発生したら、騒ぎにならずに、終了時間が延びてしまうよな。小さなことだから、同時にすべての教室で起こったとしても、他のクラスのことはすぐにはわからないんじゃな。それだけのことじゃ。ククク。」
『ビュッ!』
頬かむり女が何かを遼斗に投げつけた。遼斗の頬に一筋の赤い線が走った。それは遼斗の頬をかすり、後ろの壁でへしゃげた。
「ワシのリンゴ攻撃を、まさに紙一重でかわしよったな。」
「痛いなあ。まさか毒リンゴじゃないだろうな。」
「それは大丈夫じゃ。学校で殺人をするのは校則違反じゃろうから。」
「殺人していい、いけないとか、校則に規定はないぞ。ということは、殺人してもいいということになるのかな?不思議だ。」
「ずいぶん余裕な発言じゃな。校則よりも上位法の刑法に抵触すると思われるんじゃが。」
「どうしてオレの命を狙うんだ?」
「いまさら聞くのがそこなのか。まあ殺される運命にあるかもしれないとでも言っておこうかの。」
言葉を発しながらリンゴ飛ばしを続ける頬かむり女。いずれも遼斗の体を掠める程度で、ダメージを与えるには至っていない。
「この攻撃の効果はじっくり、ねっとり、びちゃびちゃじゃしっとり肌から、ワシのように。」
「言ってる意味がさっぱりわからないぞ。老婆にしっとり肌とか、物理的にあり得ないだろう。」
「老婆じゃと!最も言ってはならんことを口にしおって。こんな若い高田馬場によくも、よくも!」
「自分でババ言ってるし。」
「まあよいわ。もう答えは出ておるし。」
「どうして誰もいないんだろう。授業終了が長引いているのかな?」
首を傾げながら、校門に続く長い廊下をひとりで歩いている遼斗の前に、女子生徒が現れた。頬かむりをしており、顔が見えない。
「見たことのない女子だな。」
「そうじゃな。ワシはずっと前から王子のことを知っているんじゃからな。ククク。」
低くハスキーな声に、遼斗は聞き覚えがなかった。
「まさか、他の製薬会社の刺客か?」
キャンセラーグラスを煌めかせて身構える遼斗。
「あれ?王子ともあろうお方が戦闘態勢を取るのかのう。いつも黒メイド隊に守られているから、何もできないと思っておるがのう。でもムダな努力はどこまで行っても報われないのが人生じゃがな。ククク。」
「ここに黒メイドたちが来ないのは、貴様のせいか。いやそうなんだな。」
「ご名答じゃな。授業ですぐに解決できるようなトラブルが発生したら、多少の延長はやってしまうよな。花瓶が落ちて水がこぼれたとか、時計が少し遅れたとか、たまたまチョークが切れて補充が必要になったとか、そんな事象が授業の終わる寸前に発生したら、騒ぎにならずに、終了時間が延びてしまうよな。小さなことだから、同時にすべての教室で起こったとしても、他のクラスのことはすぐにはわからないんじゃな。それだけのことじゃ。ククク。」
『ビュッ!』
頬かむり女が何かを遼斗に投げつけた。遼斗の頬に一筋の赤い線が走った。それは遼斗の頬をかすり、後ろの壁でへしゃげた。
「ワシのリンゴ攻撃を、まさに紙一重でかわしよったな。」
「痛いなあ。まさか毒リンゴじゃないだろうな。」
「それは大丈夫じゃ。学校で殺人をするのは校則違反じゃろうから。」
「殺人していい、いけないとか、校則に規定はないぞ。ということは、殺人してもいいということになるのかな?不思議だ。」
「ずいぶん余裕な発言じゃな。校則よりも上位法の刑法に抵触すると思われるんじゃが。」
「どうしてオレの命を狙うんだ?」
「いまさら聞くのがそこなのか。まあ殺される運命にあるかもしれないとでも言っておこうかの。」
言葉を発しながらリンゴ飛ばしを続ける頬かむり女。いずれも遼斗の体を掠める程度で、ダメージを与えるには至っていない。
「この攻撃の効果はじっくり、ねっとり、びちゃびちゃじゃしっとり肌から、ワシのように。」
「言ってる意味がさっぱりわからないぞ。老婆にしっとり肌とか、物理的にあり得ないだろう。」
「老婆じゃと!最も言ってはならんことを口にしおって。こんな若い高田馬場によくも、よくも!」
「自分でババ言ってるし。」
「まあよいわ。もう答えは出ておるし。」
0
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています
きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる