3 / 116
第一章
第二話・桃羅ノイズ発動
しおりを挟む
そんなふたりのやり取りを見ていた顕微鏡・双眼鏡・天体望遠鏡少女しのぶ。眇めた眼をさらに冷たく細くした。
「ねえ、桃ちゃん。その会話って、ただの仲のよいバカ兄妹にしかみえないけど。」
「ありがとうしのぶ。だからしのぶは親友なんだよ。てへッ。」
「別にほめてないし。」
「しのぶもお兄ちゃんにパンツ見せる?」
「えっ、ムリムリ、ゼッタイムリ!わたしのパ、パンツなんて、大悟兄さんには目の毒だよ!ねえ、大悟兄さん!」
「う、うむ。しのぶは冗談を言えない性格だからな。」
「くだらないわ。」
眉根を寄せながら三人の会話を聞いていた楡浬が、大きめな声を出した。すると、イケメンのサッカー部エースストライカーに告白して『ごめんな』を食らった女子中学生の淡過ぎる夢のように、会話が突然途切れた。
四人はいつもの登校ルートを10分ほど歩いて、今は学校の正門前である。門には黍尊(しょそん)高等学校とある。ここは去年までは、黍尊女子高校であったが、今は共学となり、校名を変更したのだが、まだ十分に定着しておらず、従前通り『キビジョ』と呼ばれている。男子生徒もほとんど入学していないのが現状である。
学校が近づくにつれて、声をかけてくる女子もいる。
「おはよう。宇佐鬼くん。」
「桃羅ノイズ発動!」
「キャー!」
近づいてきた女子はどこかへ飛ばされてしまった。
「またノイズか。いい加減にしなよ、桃羅。」
「ダメだよ、お兄ちゃん。女子はみんなオオカミなんだよ。お兄ちゃんを狙っているんだからね。モモが常に桃羅ノイズという魔法の盾で、お兄ちゃんを守るんだよ。」
「はあ。朝からたいへんだよ。」
嘆息する大悟は5メートル後ろを歩く楡浬に視線を送ろうとしたがやめた。
大悟と楡浬は今年16歳になった高校一年生であるが、桃羅としのぶは大悟よりも1歳年下である。それでも四人は同級生である。しのぶと桃羅は飛び級入試でこのキビジョに入学したのであった。
「それじゃあ、お兄ちゃん。あたしはここで。」
「おう、じゃあな。」
大悟と楡浬・しのぶはいつものように、教室に入っていったが、桃羅は違う校舎に向かって行った。
「ねえ、桃ちゃん。その会話って、ただの仲のよいバカ兄妹にしかみえないけど。」
「ありがとうしのぶ。だからしのぶは親友なんだよ。てへッ。」
「別にほめてないし。」
「しのぶもお兄ちゃんにパンツ見せる?」
「えっ、ムリムリ、ゼッタイムリ!わたしのパ、パンツなんて、大悟兄さんには目の毒だよ!ねえ、大悟兄さん!」
「う、うむ。しのぶは冗談を言えない性格だからな。」
「くだらないわ。」
眉根を寄せながら三人の会話を聞いていた楡浬が、大きめな声を出した。すると、イケメンのサッカー部エースストライカーに告白して『ごめんな』を食らった女子中学生の淡過ぎる夢のように、会話が突然途切れた。
四人はいつもの登校ルートを10分ほど歩いて、今は学校の正門前である。門には黍尊(しょそん)高等学校とある。ここは去年までは、黍尊女子高校であったが、今は共学となり、校名を変更したのだが、まだ十分に定着しておらず、従前通り『キビジョ』と呼ばれている。男子生徒もほとんど入学していないのが現状である。
学校が近づくにつれて、声をかけてくる女子もいる。
「おはよう。宇佐鬼くん。」
「桃羅ノイズ発動!」
「キャー!」
近づいてきた女子はどこかへ飛ばされてしまった。
「またノイズか。いい加減にしなよ、桃羅。」
「ダメだよ、お兄ちゃん。女子はみんなオオカミなんだよ。お兄ちゃんを狙っているんだからね。モモが常に桃羅ノイズという魔法の盾で、お兄ちゃんを守るんだよ。」
「はあ。朝からたいへんだよ。」
嘆息する大悟は5メートル後ろを歩く楡浬に視線を送ろうとしたがやめた。
大悟と楡浬は今年16歳になった高校一年生であるが、桃羅としのぶは大悟よりも1歳年下である。それでも四人は同級生である。しのぶと桃羅は飛び級入試でこのキビジョに入学したのであった。
「それじゃあ、お兄ちゃん。あたしはここで。」
「おう、じゃあな。」
大悟と楡浬・しのぶはいつものように、教室に入っていったが、桃羅は違う校舎に向かって行った。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる