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第一章
第四話・教師の猛攻
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教師はこれまで以上に淫靡な笑みを浮かべている。一旦教壇に戻り、新緑の森林で深呼吸でもするように、スーッと大きく息を吸った。すると、教壇から降りて、生徒の方に動き出した。
「今日から先生のポジションをシフトしちゃうよ。」
「ま、まさかこっちに座るんじゃないですよね。」
「その、ま・さ・か、よ。うれしいでしょ?」
女教師は空いていた机に腰掛けた。そこは大悟の席の前である。
「うれしくなんかない。いい加減にしてくれ、桃羅!」
「いいじゃない。実の兄妹なんだから、教師とか、生徒とか関係ないよ。飛び級だけじゃ、お兄ちゃんのクラスメイトになるかどうかもわからないし、座席も自由に選べないから、さらにチャレンジして、教員試験も受けて教師になったんだから。教師の権益を限界まで行使するよ。」
桃羅の学力は飛び抜けており、一気に教師就任まで駆け抜けたのである。学力に関しては天才的である。だが、そういう人種は往々にしてどこかの常識に欠けてしまう。人間の能力はバランスよく神に構成されているのである。
「じゃあ、授業を始めるよ。宇佐鬼君、いや面倒だからお兄ちゃんで統一するね。お兄ちゃんも家と同じく敬語不要でいいよ。さっきもタメ口きいてたし。」
「お願いだから、やめてくれ~!」
「教師権限でやめないよ。うふっ。では授業を始めちゃうよ。お兄ちゃんが狂喜乱舞する個人授業を開始するね。英語からだね。」
桃羅は机に後ろ向きに座っているので、大悟を真正面に見ている。
「これじゃ、まるでお見合いじゃないか!」
「さすがお兄ちゃん。よくわかってらっしゃる。内申書に百点満点をつけるよ。有名大学推薦レベルアップアップだよ。」
「アップアップですでに転覆してるよ。そんな点数いらねえよ。」
「まあまあ、遠慮されずに、なんなら大サービスしちゃうけど。チラッチラッ。」
立ち上がって、スカートをさかんに開く桃羅。大悟が完全スルーを決め込んでしまったので、諦めたのか授業を開始した。
「わかったよ。お兄ちゃん、ここを読んでね。」
大悟はほくそ笑む桃羅を見て、諦めたのか、深く溜め息をついてからリーディングの教科書を読み始めた。
「アイ、ラヴ、マイシスター、ベリーマッチ。なんだこりゃ。」
「正解だよ。よくできました。」
「これは中1レベルじゃねえか。」
「お兄ちゃん。授業中に愛の告白は困るよ。てへッ。」
悪意に満ちた桃羅の笑顔に、大悟はなすすべなしであった。
しかし、教師桃羅は教室中に聞こえるように大きな声で話して、しっかりと授業はやってのけた。タダモノではない。結果を残しているからこそ、クビにもならずに教師を継続できている。
この日の授業はすべて桃羅が担当であった。一方、大悟は顔を机にこすりつけてなにやらぼそぼそとつぶやいており、明らかに疲労困憊していた。
「アタシには桃羅ノイズは効かないんだけど、こうして遠慮して、大悟と距離を取るのはいいことなのかしら。」
ぽつりと呟いた楡浬は一日中、溜息をついていた。
「今日から先生のポジションをシフトしちゃうよ。」
「ま、まさかこっちに座るんじゃないですよね。」
「その、ま・さ・か、よ。うれしいでしょ?」
女教師は空いていた机に腰掛けた。そこは大悟の席の前である。
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「いいじゃない。実の兄妹なんだから、教師とか、生徒とか関係ないよ。飛び級だけじゃ、お兄ちゃんのクラスメイトになるかどうかもわからないし、座席も自由に選べないから、さらにチャレンジして、教員試験も受けて教師になったんだから。教師の権益を限界まで行使するよ。」
桃羅の学力は飛び抜けており、一気に教師就任まで駆け抜けたのである。学力に関しては天才的である。だが、そういう人種は往々にしてどこかの常識に欠けてしまう。人間の能力はバランスよく神に構成されているのである。
「じゃあ、授業を始めるよ。宇佐鬼君、いや面倒だからお兄ちゃんで統一するね。お兄ちゃんも家と同じく敬語不要でいいよ。さっきもタメ口きいてたし。」
「お願いだから、やめてくれ~!」
「教師権限でやめないよ。うふっ。では授業を始めちゃうよ。お兄ちゃんが狂喜乱舞する個人授業を開始するね。英語からだね。」
桃羅は机に後ろ向きに座っているので、大悟を真正面に見ている。
「これじゃ、まるでお見合いじゃないか!」
「さすがお兄ちゃん。よくわかってらっしゃる。内申書に百点満点をつけるよ。有名大学推薦レベルアップアップだよ。」
「アップアップですでに転覆してるよ。そんな点数いらねえよ。」
「まあまあ、遠慮されずに、なんなら大サービスしちゃうけど。チラッチラッ。」
立ち上がって、スカートをさかんに開く桃羅。大悟が完全スルーを決め込んでしまったので、諦めたのか授業を開始した。
「わかったよ。お兄ちゃん、ここを読んでね。」
大悟はほくそ笑む桃羅を見て、諦めたのか、深く溜め息をついてからリーディングの教科書を読み始めた。
「アイ、ラヴ、マイシスター、ベリーマッチ。なんだこりゃ。」
「正解だよ。よくできました。」
「これは中1レベルじゃねえか。」
「お兄ちゃん。授業中に愛の告白は困るよ。てへッ。」
悪意に満ちた桃羅の笑顔に、大悟はなすすべなしであった。
しかし、教師桃羅は教室中に聞こえるように大きな声で話して、しっかりと授業はやってのけた。タダモノではない。結果を残しているからこそ、クビにもならずに教師を継続できている。
この日の授業はすべて桃羅が担当であった。一方、大悟は顔を机にこすりつけてなにやらぼそぼそとつぶやいており、明らかに疲労困憊していた。
「アタシには桃羅ノイズは効かないんだけど、こうして遠慮して、大悟と距離を取るのはいいことなのかしら。」
ぽつりと呟いた楡浬は一日中、溜息をついていた。
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