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第一章
第十三話・饅頭人との対決
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クロワッサンのようにねじ曲がった指は後ずさりする楡浬の下腹部をフォーカスして、トッププロゴルファーのパットのように正確にアプローチしていく。さらに恐怖で震えるスカートを容赦なくめくりあげ、その下にある無抵抗なウサミミイラストのゴムに指をかけた。
「オレは饅頭大食い選手権で優勝したスーパーヒーローだぁ。矢でも饅頭でも持って来い。食べるのは饅頭。矢で串刺しして饅頭三姉妹でも四姉妹でも食い尽くして萌え尽くしてやるぞぉ~。」
楡浬から5メートル離れた地点で倒れていた大悟は頭を強く打って意識が泳いでいた。ちなみに饅頭大食い選手権なる大会は実在しない。苦悶する楡浬は横目で大悟を見ながら唇を噛みしめている。
「あのバカ。こんな時にアタシを助けないでいつ助けるのよ。」
饅頭人は楡浬のパンツをがっしりと掴んで、下ろそうと少し肌から引き離した。
「大悟っ。許嫁として認めるから、助けて~!」
「認める、許嫁だと?」
聞き飽きていたフレーズだったが、楡浬の断末魔の叫びは大悟の魂を揺り動かすのに十分だった。
大悟は圧倒的な瞬発力で立ち上がり、楡浬を襲う饅頭人を捕まえて、からだを引きちぎった。腕をもがれた饅頭人はたまらず横転した。
『ぐにゃぐにゃぐにゃ』という耳障りな雑音と共に千切れた部分はすぐに再生された。大悟はふたたび自分の手をカギ爪のように使って、饅頭人の胴体を引き裂いた。やはり饅頭人のからだはすぐに復活した。
「このままじゃ埒があかないわ。大悟の日常と同じじゃない。この役立たずの昼行灯。許嫁って言葉なんて歩かない辞書にしか載ってないわ。」
歩かない辞書はごく普通にどこの家にもある。助けられたことにお礼もなく悪口雑言を大悟に浴びせる楡浬。
「そんなこと言われても、オレは魔法を持ってないし。むしろ楡浬の方が髪の毛一本くらいは攻撃力があるだろう。」
「どこが髪の毛一本よ。三本ぐらいはあるわよ。」
「そういう意味じゃねえ!何かやってくれよ。オレの許嫁だろ。無価値なものだけど、無価値はカネでは買えないぞ。不等価交換だからな。」
「何正しいロジックを展開してるのよ。無意味な会話はなんだかアタマに来るわ。」
楡浬のからだから、いい湯加減の蒸気が出てきた。
「大悟。シワが少なくて、味噌汁にすら使えないあんたの脳みそを壊してやるわ。」
「脳みそは味噌汁には使えないぞ。ダシを取るだけにしろ。」
「またまた人をバカにして~。」
饅頭人そっちのけで、大悟を襲撃しようと足を踏み出しする楡浬。
その時、楡浬のローファーが転がっていた饅頭人の千切れたパーツを踏んでしまい、楡浬のからだは滑って宙に舞い、C難度の空中回転をクリア。そのまま大悟の背中にドッキング。楡浬子亀を載せた親亀大悟は饅頭人を熱烈ハグ。その瞬間、大悟は背中を強くプッシュされた。大悟の脊髄から何かの信号が大脳へ奔流した。
「この異物感。キタ~!これが背中スイッチ(バックコード)だ!」
大悟の背中に電気のような波が流れ、楡浬と大悟の全身は真っ赤に変色した。そのまま大悟は饅頭人を抱き締めると、饅頭人は悲鳴のような叫び声を上げてからだから、『シューシュー』と音を出して、消えた。
「やった。饅頭人を倒したぞ。こいつは熱に弱いのか。そこは饅頭らしいな。」
「そうね。これがアタシたちの最初の共同作業ってとこかしら。ホントに許嫁っぽいわね。・・・。い、いつまでこんな羞恥プレイポーズとってるのよ。早く下ろしなさいよ。」
「ゴメン。もう背中にプレッシャーは感じないし。さっきはどうして、異物感があったんだろうか。」
「そんなの上から飛びかかったからに決まってるでしょ。って、常にアタシの大海はボリュームに満ち溢れてるハズなんだからねっ。」
大悟から降りた楡浬は背を向けて大悟に声を発していた。大悟には見えなかったが緩んだ表情には笑みがあった。
「オレは饅頭大食い選手権で優勝したスーパーヒーローだぁ。矢でも饅頭でも持って来い。食べるのは饅頭。矢で串刺しして饅頭三姉妹でも四姉妹でも食い尽くして萌え尽くしてやるぞぉ~。」
楡浬から5メートル離れた地点で倒れていた大悟は頭を強く打って意識が泳いでいた。ちなみに饅頭大食い選手権なる大会は実在しない。苦悶する楡浬は横目で大悟を見ながら唇を噛みしめている。
「あのバカ。こんな時にアタシを助けないでいつ助けるのよ。」
饅頭人は楡浬のパンツをがっしりと掴んで、下ろそうと少し肌から引き離した。
「大悟っ。許嫁として認めるから、助けて~!」
「認める、許嫁だと?」
聞き飽きていたフレーズだったが、楡浬の断末魔の叫びは大悟の魂を揺り動かすのに十分だった。
大悟は圧倒的な瞬発力で立ち上がり、楡浬を襲う饅頭人を捕まえて、からだを引きちぎった。腕をもがれた饅頭人はたまらず横転した。
『ぐにゃぐにゃぐにゃ』という耳障りな雑音と共に千切れた部分はすぐに再生された。大悟はふたたび自分の手をカギ爪のように使って、饅頭人の胴体を引き裂いた。やはり饅頭人のからだはすぐに復活した。
「このままじゃ埒があかないわ。大悟の日常と同じじゃない。この役立たずの昼行灯。許嫁って言葉なんて歩かない辞書にしか載ってないわ。」
歩かない辞書はごく普通にどこの家にもある。助けられたことにお礼もなく悪口雑言を大悟に浴びせる楡浬。
「そんなこと言われても、オレは魔法を持ってないし。むしろ楡浬の方が髪の毛一本くらいは攻撃力があるだろう。」
「どこが髪の毛一本よ。三本ぐらいはあるわよ。」
「そういう意味じゃねえ!何かやってくれよ。オレの許嫁だろ。無価値なものだけど、無価値はカネでは買えないぞ。不等価交換だからな。」
「何正しいロジックを展開してるのよ。無意味な会話はなんだかアタマに来るわ。」
楡浬のからだから、いい湯加減の蒸気が出てきた。
「大悟。シワが少なくて、味噌汁にすら使えないあんたの脳みそを壊してやるわ。」
「脳みそは味噌汁には使えないぞ。ダシを取るだけにしろ。」
「またまた人をバカにして~。」
饅頭人そっちのけで、大悟を襲撃しようと足を踏み出しする楡浬。
その時、楡浬のローファーが転がっていた饅頭人の千切れたパーツを踏んでしまい、楡浬のからだは滑って宙に舞い、C難度の空中回転をクリア。そのまま大悟の背中にドッキング。楡浬子亀を載せた親亀大悟は饅頭人を熱烈ハグ。その瞬間、大悟は背中を強くプッシュされた。大悟の脊髄から何かの信号が大脳へ奔流した。
「この異物感。キタ~!これが背中スイッチ(バックコード)だ!」
大悟の背中に電気のような波が流れ、楡浬と大悟の全身は真っ赤に変色した。そのまま大悟は饅頭人を抱き締めると、饅頭人は悲鳴のような叫び声を上げてからだから、『シューシュー』と音を出して、消えた。
「やった。饅頭人を倒したぞ。こいつは熱に弱いのか。そこは饅頭らしいな。」
「そうね。これがアタシたちの最初の共同作業ってとこかしら。ホントに許嫁っぽいわね。・・・。い、いつまでこんな羞恥プレイポーズとってるのよ。早く下ろしなさいよ。」
「ゴメン。もう背中にプレッシャーは感じないし。さっきはどうして、異物感があったんだろうか。」
「そんなの上から飛びかかったからに決まってるでしょ。って、常にアタシの大海はボリュームに満ち溢れてるハズなんだからねっ。」
大悟から降りた楡浬は背を向けて大悟に声を発していた。大悟には見えなかったが緩んだ表情には笑みがあった。
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