魔境放眼は地獄へ行く

木mori

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第一章

第十八話・まるでルル●シュ

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 騙流のお姫様抱っことほぼ同時に、衣好花も顔を大悟に向けている。

「あたいはショタ大好物だです。豪慾の字。」

 豪慾という二文字が額に浮かんだ。

「なんだこいつらは。ダルマ文字に額文字?ノーマルじゃねえ。」

《まる、アブノーマルプレイ、オッケー。》

 再びダルマ文字が空中展開。

「ショタはアブノーマルじゃないぞです。範内の字。」

 こちらは連続額文字。

 さらにふたりは続けた。

《まる、ダルマ使い。ダルマ、操るのが得意。》

 騙流はハムスターのリングのようにダルマ軍団を宙でぐるぐると回転させた。

「あたいはギミック魔法だです。その一部を恥ずかしげに公開するぞです。周恥の字。」

 衣好花の額に心なしか紅色が差した。そして、衣好花はどこからともなく奇妙な物体を多数出してきた。

「これは、小さなマネキンの手足じゃないか。それもかなりリアルで、生きていたみたいだし。すごく不気味だぞ。」

「不気味とは失礼な。これは本来手足のないダルマに付けて使うものだです。使着の字。」

「つまり、騙流のダルマと衣好花のギミックを合成すると完成バージョンとなるということか。」

《その通り。バカと手足、使いよう。》

ダルマ文字が作られた。それを見た衣好花が表情をドス黒く変えた。

「そんなことを言うからあたいたちはうまくいかないんだです。憤過の字。」

《それ、まるのセリフ。悪いの、ギミック手足。付けても使いものにならない。》

 衣好花はダルマに手足を付けて歩かせてみたが、すぐに倒れた。

「やっぱり役立たないだです。オマル以下。そこまで言うかです。ならばこうしてやるぞです。合隊の字。」

 バラバラだった小さな手足がアリジゴクに落ちたアリのように集まっていく。これはかなりキモい。そしてそれらはだんだんと生物らしきモノを形成していく。

「完成したです。すばらしきショタ像だです。これぞ、名付けて、ショタイゴちゃん。擦魔の字。」

 衣好花は恍惚としてショタイゴちゃんをすりすりしている。

「こいつら、ヤバい人種だ。家に連れて行って大丈夫か。」

 こうして大悟たち一行は新たな居候を伴って帰宅した。

「これって、まるで小さい頃のお兄ちゃんじゃない!萌えた!パンチラ、パンチラ、パンチラ!」
桃羅は狂ったようにリンボーダンスを始めた。居候受入れ可の意思表明である。

 家は大きいので、部屋(ハード)には問題がなかったが、人間関係(ソフト)はスーパーコンピューターでも解析できない複雑な状態を惹起した。

 騙流たちがやってきた翌朝、ヒンニュウ着信音が目覚まし代わりにうるさく鳴った。

『大ちゃん、モモちゃんへ。朝からラージえっちはダメたからね。スモールえっちは一夜分が溜まってるから仕方ないけど。』

「朝からひどいメールだな。」

『そうだよ、お兄ちゃん。朝えっちはせめてミドルかメザニンじゃないと。』

「メザニン?中二階とかどういう意味だ?中二病の親戚か。」

『知りたいの?お兄ちゃん、朝からスモールえっちだね。』

「余計なことを聞いてしまった。それより続きを見なければ。」

『そうだよ。続きだよ。継続は力なりだよ。』

「母さんはこちらのボケ、ツッコミを読んでるな。まるでルル●シュだ。」

『駅近くのショッピングモールに饅頭人喰疑者が出たんだよ。放課後大至急急行してね。』

「放課後まで待ってって言ってるのに、大至急もなかろうに。」

『放課後になったら、急いでって意味だよん。あまりに早いとモモちゃんがかわいそうだからね。』

「意味不なことを言うな。」

『モモちゃんは教師のお仕事があるからだよ。社会人の責任は地球よりも重いんだよ。』

「大げさ過ぎるぞ。」

『今回から騙流ちゃんと衣好花ちゃんも一緒だよ。女の子ばかりでハーレムになるけど、大ちゃんのリビドーはママが独占採掘権を持ってるからよろしく。』

「ホントわからないメールだな。偽物の宝地図だよ。なあ桃羅。」

「むむむ。ママを侮れない。お兄ちゃんはモモが守りながら掘っちゃうからね。」

「ますますわからねえ。とても血のつながった親、兄妹と思えない。てか、エロさは塩基配列が見えるようだが。」

「お兄ちゃん、それは誉めすぎ。照れるよ、デレるよ。」

「誉めてないし、照れ、デレは出入り禁止だ!」
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