64 / 116
第二章
第五十話・自家発電
しおりを挟む
窓はないが明るい部屋。大企業の社長が座るような大きな木製の机と椅子。そこにいる長い黒髪の美少女。スーッと通った鼻筋。少し骨ばった頬。いかにも高貴そうな雰囲気を醸し出し、グレーのセーラー服が落ち着きを与えている。
「ようこそ。灰兎学園生徒会室へ。ワタクシは一条華莉奈と申します。この学校の生徒会長を務めております。人間の分際で、ここまで来られるとは驚いてイキ対馬に行きそうになりましたわ。」
「お嬢様。初対面の人間にそのカタカナ使いは通じない用語と思われます。」
「どこの誰が四十八手使いですの。」
「お嬢様。全然脈絡がありません。」
「あんたたちの言葉遊びにつきあってるヒマはないんだが。」
「つ、つきあう?い、いきなり、このワタクシにコクって、男女交際を要求するとはいい度胸してますわね。こちらにも心の準備が必要なのですが。」
「お嬢様。彼の発言に、コクりと交際要求のかけらもありません。」
「あんたたち。ずいぶん、やっかいな人、いやウサミミたちだなあ。」
「『ずいぶん立ち』とはすごく元気でいらっしゃるのね。そういうのは朝だけかと思いましたわ。」
「お嬢様。これ以上会話を混乱させることはお止めください。」
「まともに話ができるか超不安なんですけど。こちらから一方的に話をさせてもらうぞ。オレのうちには、剣徒楡浬というウサミミがいて、饅頭人に食われてしまった。今のところ、意識はあるが、からだと精神が腐りつつある。楡浬を食った饅頭人が防腐剤を使用していなかったらしい。そのせいで楡浬に腐敗が始まったようだ。こちらで調べたところでは、防腐剤は生徒会長である一条華莉奈さんが所持しているとのことだ。だから、防腐剤をもらうために地獄までやってきたというわけだ。」
「ここにやってきた事情は理解しましたわ。しかし、圧倒的かつ一方的な要求をなさるのね。それが人間流なのかしら。受け入れる女性の体位とか考えないとうまく結ばれませんわよ。」
「お嬢様。未経験なハズなのに、したことがあるような発言は慎んでください。」
「ほ、ほっときなさいですわ。ワタクシにとって、楡浬さんがどうなろうがどうでもいいことですわ。自分の家の都合で人間界に行って、そこでどうなろうが、自家発電ですわ。」
「お嬢様。自己責任と訂正させていただきます。」
「ようこそ。灰兎学園生徒会室へ。ワタクシは一条華莉奈と申します。この学校の生徒会長を務めております。人間の分際で、ここまで来られるとは驚いてイキ対馬に行きそうになりましたわ。」
「お嬢様。初対面の人間にそのカタカナ使いは通じない用語と思われます。」
「どこの誰が四十八手使いですの。」
「お嬢様。全然脈絡がありません。」
「あんたたちの言葉遊びにつきあってるヒマはないんだが。」
「つ、つきあう?い、いきなり、このワタクシにコクって、男女交際を要求するとはいい度胸してますわね。こちらにも心の準備が必要なのですが。」
「お嬢様。彼の発言に、コクりと交際要求のかけらもありません。」
「あんたたち。ずいぶん、やっかいな人、いやウサミミたちだなあ。」
「『ずいぶん立ち』とはすごく元気でいらっしゃるのね。そういうのは朝だけかと思いましたわ。」
「お嬢様。これ以上会話を混乱させることはお止めください。」
「まともに話ができるか超不安なんですけど。こちらから一方的に話をさせてもらうぞ。オレのうちには、剣徒楡浬というウサミミがいて、饅頭人に食われてしまった。今のところ、意識はあるが、からだと精神が腐りつつある。楡浬を食った饅頭人が防腐剤を使用していなかったらしい。そのせいで楡浬に腐敗が始まったようだ。こちらで調べたところでは、防腐剤は生徒会長である一条華莉奈さんが所持しているとのことだ。だから、防腐剤をもらうために地獄までやってきたというわけだ。」
「ここにやってきた事情は理解しましたわ。しかし、圧倒的かつ一方的な要求をなさるのね。それが人間流なのかしら。受け入れる女性の体位とか考えないとうまく結ばれませんわよ。」
「お嬢様。未経験なハズなのに、したことがあるような発言は慎んでください。」
「ほ、ほっときなさいですわ。ワタクシにとって、楡浬さんがどうなろうがどうでもいいことですわ。自分の家の都合で人間界に行って、そこでどうなろうが、自家発電ですわ。」
「お嬢様。自己責任と訂正させていただきます。」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる